Samba
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Samba (サンバ) は、マイクロソフト社のネットワークシステムを実装したフリーソフトウェア。 Linux、Solaris、BSD などの UNIX 系 OS を用いて、Windows のファイルサーバやプリントサービスを提供する。
1992年、Andrew Tridgell によって最初のバージョンが開発され、後に GPL にて公開された。2006年4月時点の最新安定バージョンは3.0.22である。
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[編集] 特長
Samba は 12 のサービスと 12 の通信プロトコルの実装で、NetBIOS over TCP/IP (NetBT)、SMB/CIFS、DCE/RPC のほか、MSRPC、NetBIOS ネームサーバ (NBNS) として知られる WINS サーバ、NT ドメインログオンを含めた NT ドメインプロトコルスイート、セキュアアカウントマネージャ (SAM) データベース、ローカルセキュリティ認証 (LSA) サービス、NT プリントサービス (SPOOLSS)、そしてバージョン3ではケルベロス認証と LDAP を必要とする Active Directory が含まれている。これら全てのサービスとプロトコルが、NetBIOS とか SMB などとしばし間違って使われている。
大雑把には、Windows NT 4.0サーバの機能と、バージョン3では一部 Windows 2000サーバの機能を持つ。日本語環境で使用する場合には一部設定の変更が必要となるが、本家のNTサーバと異なり、本体価格やクライアント分のライセンス料などが一切不要であることや、アクセス権の指定など一部機能は本家を上回る部分もあるため、企業を中心にSambaを導入する例も増えている。
[編集] 名前の由来
Samba という名前は、Microsoft Windows で使用されているネットワークファイルシステム「SMB (Server Message Block)」に、2 つの母音を入れて作られている。Samba はもともと「smbserver」と呼ばれていたが、TotalNET Advanced Server という製品を販売している Syntax 社から登録商標であるとの通告があったため、名前が変更された。Syntax 社は SMBserver の商標もまた所有していた。
[編集] 主な機能
[編集] ファイルサーバ
共有フォルダと呼ばれるサーバ側の空間に、ファイルを格納する機能。NAS としての機能を果たす。
アクセス権を設定できるため、特定のユーザに同じファイルを提供するといった用途が実現できる。 ACL をサポートする環境なら、ユーザやグループ毎に細かくアクセス権を指定することも可能だ。 Windows サーバと比べて、「$」で終わる共有名でなくても隠し共有にできる利点がある。(隠し共有…共有名の検索やリストアップを行っても画面に現れないが、正しい名前を指定すればアクセスできる共有フォルダ)
[編集] プリントサーバ
Windows クライアント向けのプリントサーバ機能。
[編集] Windows NT ドメインコントローラ
Windows NT 4.0サーバで提供される機能で、NT ドメインと呼ばれるネットワーク領域内で、ユーザやクライアントコンピュータの管理を行う機能。Samba 2.2 から提供された。
ユーザアカウントやコンピュータアカウント、アクセス権などの情報を中央集権的に管理し、ユーザ認証やシングルサインオンなどのサービスを提供する。
- プライマリドメインコントローラ (PDC)
- ユーザアカウントやコンピュータアカウントなどの、データの原本を持つコンピュータ。
- バックアップドメインコントローラ (BDC)
- PDC のデータのコピーを持つコンピュータ。
- ドメインメンバ
- PDC の認証を受けたコンピュータや、そのコンピュータを利用するユーザ。
ドメインメンバ (利用者側) からは、PDC と BDC は同じ機能を提供しているように見える。 BDC はバックアップの機能を提供しているため、ドメイン内に存在しなくても構わない。同じドメイン内に PDC と BDC が両方存在している場合、ドメインメンバは原則として BDC にサービスの提供を依頼する。
Samba は PDC/BDC の機能を提供することができ、NT ドメイン内にメンバとして参加することもできる。ただし、Windows サーバと Samba ではアカウント情報の同期の取り方が異なるため、同じドメイン内で Windows サーバの PDC と Samba の BDC を運用すること、或いはその逆はできない。(なおバージョン3からユーザやグループなどの属性を保持したまま、NT 4.0ドメインからSambaドメインへの移行がサポートされた。)
[編集] Active Directory ドメインメンバ
Windows 2000 サーバ以降から提供される Active Directory ドメインへのドメインメンバとしての参加機能。Samba 3 から提供された。
Active Directory は前述の NT ドメインに代わるもので、既存のネットワーク技術を応用して構成されている。ユーザアカウントなどの管理情報を LDAP ディレクトリサービスに格納し、認証機構にケルベロス、名前解決に DNS、管理情報の配布やコピーに TCP/IP のみを使用する。
[編集] smbclient
UNIX 側から Windows や Samba の共有フォルダに接続するためのクライアントソフトウェア。
標準的なコマンドラインプログラム ftp のような操作で、共有フォルダに接続し、ファイルを操作することができる。