BK117 (航空機)
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概要 | |
分類 | 多用途ヘリコプター |
定員 | 7~10人 |
製造者 | 川崎重工業/MBB(現ユーロコプター) |
寸法 | |
全長 | 13.0m |
全幅 | 11.0m |
全高 | 3.85m |
翼面積 | -- |
重量 | |
自重 | -- |
最大重量 | 3,350kg |
機関 | |
エンジン | チュルボメカARRIEL 1E2 ×2 |
出力 | -- |
性能 | |
最大速度 | 278km/h |
航続距離 | 555km |
実用上昇限度 | -- |
初飛行 | 1979年6月13日(ドイツ) |
BK117は日本の川崎重工業と西ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブロウム(MBB)社(現ユーロコプター・ドイツ社)が共同で開発・製造した民間用ヘリコプター。消防や救急用の様々な拡張装備が用意されており、日本でも多くの自治体が採用している。
目次 |
[編集] 開発経緯
川崎重工業ではKH-4やKHR-1研究機で得た技術力を持って、1960年代から7席クラスの民間用国産ヘリKH-7の開発を行っていたが、オイルショックの影響で頓挫していた。一方、西ドイツ(当時)のMBB社では、1975年(昭和40)ごろから7~10席クラスのBo107ヘリコプター開発を計画しており、両社のねらいがほぼ同じところから、1977年(昭和52)に「BK117」の呼称で共同開発が合意された。
開発資金と開発分担率は50:50パーセントで完全に対等なパートナーとなっており、担当部位は、川崎が胴体・トランスミッション・降着装置など、MBBがメインローター・テールローター・テールブーム・尾翼・油圧系統・操縦系統などの開発を担当し、メインローターと油圧系統はMBBが開発したBo105のものをベースとした。エンジンはライカミングLTS-101-650B-1(600shp)を2基搭載した。
1979年(昭和54)6月13日にドイツ側で初飛行、日本でも8月10日に初飛行した。1982年(昭和57)末に「国産ヘリ」として初めて日本国内の型式証明を取得。1983年(昭和58)から量産型BK117A-1の納入を開始し、その後に数々の派生型を製造、エンジンも途中からチュルボメカ「アリエル」1E2 に改められた。2005年(平成16)3月までに日本国内で139機が生産され、国内の運行事業会社、各自治体の防災ヘリコプターや、警察向けとして採用されているほか、アジア各国やオセアニア地域への輸出されている。また、ユーロコプターによってドイツでも販売され、欧州を中心に500機余りを受注、450機以上を売り上げている。ただし、自衛隊を含む軍隊については、日本政府の武器輸出三原則を考慮して、救難・救命を除く作戦運用目的としては、販売を控えてきた。
1997年(平成9)からはフルモデルチェンジを行ったBK117C-2(ドイツ名EC145)の開発もはじまり、1999年(平成11)6月12日にドイツで初飛行、2000年(平成12)3月15日に日本でも初浮揚、3月21日に初飛行した。なお、BK117C-2/EC145の開発からは、川崎とMBBは発展型や受注活動など将来展開(特に海外での軍事転用について)をめぐって利害が対立し、共同開発の契約を解消した。このため、双方は別種の機体として販売することが可能となっている。
[編集] 機体
機体の特徴は、MBBのBo108(EC135の原型)と非常に似ているが、こちらのほうが一回り大きい。キャビン両側にはスライド式ドアを、キャビン後端に観音開きドアを設置し、救急用や輸送用など様々なニーズに対応できる多用途ヘリとした。機関はシンプルな構造を採用しながら頑丈なつくりとし、操縦油圧・燃料・電源などの重要なシステムは二重化して、高い安全性と信頼性を確保した。無関節型ローター・ハブ・システムは操縦応答性に優れており、高い運動性と操縦性を確立した。また、ローター駆動系統は100万飛行時間を超える運用実績で定評がある。オプションにより、計器飛行方式による運航が可能である。
[編集] 派生型
- BK117
- シリーズ最初の型式で、エンジンはライカミング LTS101-650B-1 を2基搭載。1982年(昭和57)12月に形式証明取得。
- BK117A-3
- 有効搭載重量を350kg増加したタイプ。1985年(昭和60)6月に形式証明取得。
- BK117A-4
- ホバリング性能および上昇力を向上したタイプ。1986年(昭和61)8月に形式証明取得。
- BK117B-1
- エンジンを LTS101-750B-1 に換装し、高温・高空性能を向上したタイプ。1988年(昭和63)3月に形式証明取得。
- BK117B-2
- B-1の有効搭載重量を150kg増加したタイプ。1993年(平成5)3月に形式証明取得。
- BK117C-1
- エンジンをチュルボメカ「アリエル」1E2 に換装し、高温・高空性能を向上したタイプ。1995年(平成7)6月に形式証明取得。C-1を使用してGPS(全地球測位システム)とフライ・バイ・ワイヤー方式操縦システムを発展、融合させた実験機を製作し、1999年(平成11)4月から2000年(平成12)10月までの飛行実証試験を行った。
- BK117C-2 / EC145
- C-1のキャビンスペースを約30%拡大、全備重量も150kg増加させて3,500kgとしたタイプ。2000年(平成12)3月21日に初飛行(日本)、2001年(平成13)3月30日に日本の形式証明を取得し、11月7日に初号機を納入した。C-1の特徴を継承しつつ、運動性能やキャビンの快適性を向上させた機体で、新型操縦室による広い視界を確保し、統合計器システムにより計器の配列をシンプルなものにするなど、パイロットの負荷を軽減した。また、燃料タンクの増量や新型ブレードを採用して、ローター性能の向上などにより航続距離を150km延長して700kmの飛行を可能とし、騒音・振動も大幅に低減した。
- ユーロコプターのEC145は、2006年(平成18)6月29日にアメリカ陸軍の次期多用途ヘリコプターUH-145として採用されることが決定した。調達予定数は352機、契約金額は13億ドル(約1,500億円)、今後20年間の部品補給や技術支援などを含むライフ・サイクル金額は30億ドル(約3,400億円)。
[編集] 登場作品
- 相棒(テレビ朝日のドラマ作品。警視庁保有のヘリコプターとして)
- 仮面ライダークウガ (警視庁等のヘリコプターとして)
- ゴジラvsメカゴジラ (国連Gフォースのヘリコプターとして)
- よみがえる空-RESCUE WINGS- (TVアニメ、石川県の防災ヘリコプターとして)