Privacy Policy Cookie Policy Terms and Conditions 黄禹錫 - Wikipedia

黄禹錫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

黄禹錫
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各種表記
ハングル 황우석
漢字 黃禹錫
平仮名
(日本語読み仮名)
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片仮名
(現地語読み仮名)
ファン・ウソク
ラテン文字転写: Hwang Useok
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黄禹錫(ファン・ウソク、1952年12月15日 - )は韓国生物学者。世界レベルのクローン研究者とされ、ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の研究を世界に先駆け成功させたと報じられた。韓国人で自然科学部門では初のノーベル賞を期待され、韓国政府や韓国国民の期待を一身に集め「韓国の誇り」( pride of korea )と称されたこともあった。

しかし2005年末に発覚した、ヒト胚性幹細胞捏造事件(ES細胞論文の捏造・研究費等横領・卵子提供における倫理問題)により学者としての信用は地に落ちた。また、正攻法でES細胞を作り出そうとしていた民間企業では、「体細胞からES細胞を作成した」との発表で研究の打ち切りを余儀なくされた例もあり、ES細胞や再生医療分野の研究は彼の捏造研究が与えたダメージから未だに回復していない。

目次

[編集] 生い立ち

忠清南道扶余郡出身。幼い頃に父親と死別し、母子家庭農家で小さな頃から牛の世話をする境遇の中、牛の世界的な研究家になるという夢を持った。貧しい中から親戚の援助や奨学金を得て大田高等学校、ソウル大学校獣医学部へと進み、研究者になって以降は1日4時間しか寝ずに働いたという立志伝中の人物であった。

1993年には韓国初の牛の人工授精に成功、1999年に韓国初の牛のクローンを誕生させることに成功し、医者などに比べて韓国での社会的関心や評価の低い獣医学という分野ながら脚光を浴びた。その後、2003年には牛海綿状脳症(BSE)に耐性を持った牛、さらにヒトに臓器を提供できる無菌処理をした豚を誕生させて世界的な研究者として認識されるようになった。

[編集] ES細胞論文捏造事件

2004年2月に体細胞由来のヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに世界ではじめて成功したと発表した(サイエンス誌2004年3月12日号・電子版同年2月12日付)。それまでヒツジドリー)、ウシなどの哺乳類においては体細胞由来クローン技術はある程度確立されていた。しかし、ヒトはおろか、サルなどの霊長類においてすら体細胞由来クローンの成功例はなく、世界中の生物学会を驚愕せしめた。

2005年5月には患者の皮膚組織から得た体細胞をクローニングして、そこから患者ごとにカスタマイズされたES細胞11個を作製したと発表し(サイエンス誌2005年6月17日号・電子版5月19日付)、脊椎損傷やさまざまな病気を抱える世界中の患者に希望の光を与えた。また、この際に使用した卵子が184個に過ぎないという異常な効率のよさも脚光を浴び、技術の実用化への可能性が高まったとされた。

しかし、2005年11月前後を境に、韓国国内で人卵子売買、不法卵子での人工授精手術や代理母などのブローカーの存在が明るみになり出し、ブローカーや産婦人科病院などにも警察の捜査が入ることとなった。その中には、黄禹錫教授と共に長年幹細胞研究を行い2005年論文の共著者でもあった盧聖一・ミズメディ病院理事長も含まれていた。

そして、2005年11月10日、2005年論文の共著者の一人である米ピッツバーグ大学のジェラルド・シャッテン教授が、ソウル大学黄禹錫教授が卵子を「違法に入手している」とメディアに公表したのが発端となり、研究対象となる卵子を入手した方法が倫理基準に照らして問題があることが判明してスキャンダルとなった。また、2005年論文に添付された培養細胞の写真が2個を11個に水増しした虚偽のものであった(本人はコピーミスと主張している)ことが問題となった。

2005年12月15日、卵子提供で協力関係にあり、黄教授とともにES細胞の論文を発表した盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長が韓国文化放送(MBC)テレビのインタビューで「黄教授は論文の内容が虚偽だったことを認めた」事実を明らかにした。これにより「サイエンス」誌で発表された論文のES細胞に対する疑惑が高まり、その後の調査の過程で完全な捏造であることが確定し、サイエンスに発表されたES細胞に関する2つの論文(2004年2月・2005年5月)は、2006年1月にサイエンス編集部の判断ですべて削除された。

当該論文の共同執筆者であったジェラルド・シャッテンは、「重大な疑惑がある」として2005年に掲載された論文から自分の名前を削除してほしいとサイエンス誌に申請したが、却下されている。

ヒトクローン胚作製の成功、ヒトES細胞の作製の成功だけではなく、BSE耐性を持つとされるクローン牛、これまで難しいとされてきた犬のクローンなどを成功させたと発表してたが、調査結果により犬のクローン以外は全てねつ造であると報告された。

この捏造事件により、『クローニングによってES細胞の製造ができる』という前提のもとに行われていた研究はすべて灰燼に帰したも同然となり、ES細胞に関する研究は長年の遅滞を余儀なくされている。

[編集] 韓国社会の反応

2004年の論文発表以降、韓国社会は黄の成果に熱狂。生化学研究・再生医学の世界的中心が韓国になることやその経済効果への期待、自然科学部門のノーベル賞を韓国社会にもたらすことへの期待が膨らみ、研究チームに対する国民の支持や政府・企業からの支援が増大した。

韓国政府は黄禹錫を「最高科学者」の第1号に認定。最高科学者には研究費として年間30億ウォンの支援が行われる予定であったという。また、政府によって24時間の警護が行われ、その提唱する世界幹細胞バンクに多額の援助を行い、「黄禹錫バイオ臓器研究センター」を設立するなど支援を惜しまなかった。民間からは大韓航空ファーストクラスに10年間乗り放題、業績を記念して5メートルを越す巨大な黄禹錫石像が建立され、インターネットでは数々のファンクラブが生まれたという。

その他に韓国国家イメージ広報大使、韓国報道人連合会認定「誇らしい韓国人大賞」受賞(ペ・ヨンジュンも同賞受賞者)、韓国情報通信部はヒトクローン胚作製を記念した記念切手を発行(後に販売中止、および回収)し、黄禹錫記念公園構想が存在したという。

こういった熱狂の渦の中、黄禹錫は国民的英雄に祭り上げられていった。韓国国民はその研究における倫理問題を指摘した韓国文化放送 (MBC)の報道調査番組『PD手帳』に対して「国益を損じた」とスポンサーへの不買運動を展開。韓国のインターネット社会ではMBCを「非国民」と断ずる論調にあふれた。この結果、PD手帳からすべてのスポンサーが降板、放送休止に追い込まれた。また、本来こうした倫理問題や論文の真贋性を調査し報道する役割のメディアも、これらの問題よりも殆どがMBCの報道姿勢とその取材手法に問題を摩り替えてしまった。更に、MBC全体へのデモも無数に行われ、MBCの看板ニュース番組や他の番組にもスポンサーへの不買・視聴拒否運動が拡大し、黄禹錫に対する批判は許されないという風潮が作り上げられていった。この影響でMBCの全番組の視聴率が低下した。

この当時、疑惑は卵子入手の倫理問題だけであったために、「ボランティアで卵子を提供したい」と1000人以上の女性が申し込みを行ったともされる。しかし、問題点が卵子入手時の倫理問題から論文の捏造、さらにすべての業績に疑いが及ぶにいたってこういった黄禹錫を支持する声も尻つぼみに終わり、ボランティアの募集も打ち切られることとなった。

その一方で捏造を「敵対組織の陰謀」として信じようとはせず、熱狂的なまでに黄禹錫を擁護する韓国人も多く、研究継続を訴え抗議の焼身自殺をする者まで現れた。これは黄禹錫が朝鮮民族の持つ理想的な英雄像(貧乏な家に生まれ、親孝行をしつつ苦学して大成する)にぴったりと当てはまるためでもある。その様子をもって『まるで黄禹錫教のよう』とする声もある。

[編集] 事件の背景

韓国は現在まで平和賞以外にノーベル賞の受賞者が無い。自然科学分野でノーベル賞を狙える世界的科学者は黄禹錫が最初であり、彼の業績への期待は並々ならぬものがあった。結果、国民的英雄として強い影響力を確立した黄禹錫に、疑念を抱いた少数の研究者達も口を閉ざさざるを得なかった。しかし、韓国政府は本来ならばノーベル賞受賞を国家として育成するのではなく、広く世界に貢献できる研究者を対象に支援体制を整えるべきであるとは考えず、捏造事件後に於いても、あくまでノーベル賞受賞者を生み出すべく、スター・ファカルティー(Star Faculty)支援事業を本格化させている。これは科学分野でノーベル賞を受賞するに値する科学者を選定し、10年間で一人当たり最大20億ウォンの政府支援をするという破格の予算消費事業である。

そもそも今回の事件は、韓国系主要新聞等が、日本がノーベル賞を受賞する度にプロパガンダの如く「日本に追いつき追い越せ」といった様な無責任な社説等を載せ、民族意識を強調扇動していることにも一因があると考えられている。実際メディア出身の姜亨澈(カンヒョンチョル)淑明女子大教授は朝日新聞の取材に対して「植民地時代に日本メディアから学んだ権威主義が未だに残り、民主化されても大衆を啓発しようとする」と民主化された今でも全く改善されない韓国メディアのナショナリズム扇動の体質に問題があると指摘している。これらのことが重なり、韓国国民の間では、民族的劣等感を払拭する為にはノーベル賞学術部門での受賞が必須であるとの激しい焦燥感が生まれ、これまでにも文学賞の発表の度ごとに期待や失望をくりかえしていた。

これに対して国際社会からは、こういった学問的精神から遠くかけ離れた見当違いの政策が莫大な国家予算の無駄遣いを生み、様々な欲望が絡んで世界的捏造事件を引き起こす温床として批判されている。また、ノーベル化学賞を受賞した日本の田中耕一島津製作所の一サラリーマンであり、援助などは何も受けていなかったことによる衝撃などから、韓国内でも懐疑的な見方が少なくない。

[編集] 事件の経緯

[編集] 2003年

  • 12月 - BSE耐性があるとされる牛をクローン技術で作製。

[編集] 2004年

  • 2月 - サイエンス誌(3月12日号)で体細胞由来のヒトクローン胚、およびES細胞の作製に成功と発表。ともに世界初の業績。(電子版2月12日付)
  • 12月 - サイエンス誌、ヒトクローン胚の作製を10大ニュースの3位に選定。ネイチャー誌は1位に選定。

[編集] 2005年

  • 2月 - ソウル大学の獣医学部部長に就任。
  • 2月 - 韓国政府、ヒトクローン胚からのES細胞複製成功を記念して記念切手発行。
  • 5月 - 患者の体細胞をクローンし、カスタマイズされたES細胞の作製に成功と発表(サイエンス誌2005年6月17日号・電子版5月19日付)。世界初の業績。
  • 5月 - BSE耐性を持つとされている牛、韓国内に検証施設がないために日本に渡る。黄禹錫チームの一員、「先進文化を伝えた王仁が日本に渡ったのと同じこと」と発言。
  • 6月 - 韓国政府、黄禹錫を第1号最高科学者に認定、政府要人並みの警護をつける。
  • 6月 - 黄禹錫、韓国と諸外国の技術水準の違いを「外国の研究チームはわれわれの核移植技術を前にすると、とてもここまで精巧に行うことはできないと意欲をなくす。ペレサッカーと町内サッカーの差」と発言。自分たちの精巧な技術は普段からの箸の使用のおかげと説明。
  • 6月 - 大韓航空より10年間トップクラスで利用可能なフリーパス(研究活動支援証書)を受ける。
  • 8月 - ネイチャー誌に世界初の体細胞由来のイヌクローンに成功と発表。スナッピー(SNU+PUPPY=Snuppy、「ソウル大学の子犬」)と命名。
  • 10月 - 世界初の「ES細胞ハブ(世界幹細胞ハブ)」が韓国・ソウル大学病院内に設立される。2日間で登録患者数は1万人を突破。
  • 11月12日 - 共同研究者のジェラルド・シャッテンが倫理的な問題からES細胞ハブへの参加を取りやめると発表。
  • 11月14日 - タイム誌、2005年の「もっとも驚くべき発明」(The most amazing inventions of 2005)にクローン犬を選定。
  • 11月22日 - MBCの報道番組、『PD手帳』が卵子売買をスクープ。
  • 11月23日 - 黄禹錫チームに属する女性研究員2人が、自身の卵子を提供していたことが判明(アカハラ疑惑)。
  • 11月24日 - アメリカの科学誌『サイエンティフィックアメリカン(日本語版:日経サイエンス)』、今年の研究リーダー50のトップに黄禹錫、およびそのチームを挙げる。
  • 11月下旬 - 「国益を損じた」として『PD手帳』のスポンサーに対して韓国内で不買運動がスタート。全スポンサーが降板。さらに真偽不明のままにもかかわらずMBCに対して「国益を損なった歪曲報道を謝罪しろ」とのデモが行われる。
  • 11月26日 - 『PD手帳』放映のMBC社屋前にて、午後4時から2時間に渡り抗議のろうそくデモが行われる。
  • 12月1日 - サイエンス誌、黄禹錫の研究内容を擁護。
  • 12月1日 - MBCのニュース番組、『ニュースデスク』でES細胞そのものの真偽論争を報道。韓国ネチズン、即座にスポンサーの不買運動を開始。
  • 12月2日 - 6日の『PD手帳』第二弾追及特集の放送を前に、取材に協力したピッツバーグ大所属の研究員が「MBCに圧迫的な取材を受けた」と説明、『PD手帳』の取材倫理が問われる事態に。(この研究員に黄禹錫チームから5万ドルの口止め料とも取れる大金が渡っていたことが後で判明)
  • 12月4日 - 『PD手帳』の責任者を刑事処罰しろとの抗議運動で韓国最高検察庁のサーバダウン。
  • 12月6日 - 黄禹錫、入院。『PD手帳』第二弾追及特集は放送されず。
  • 12月7日 - MBC、『PD手帳』の放送を中断。事実上の打ち切り。
  • 12月8日 - 黄禹錫バイオ臓器研究センター、着工。約35億円を費やし、最新設備を備える計画。
  • 12月8日頃 - サイエンスに提出された論文に添付された写真が数枚の写真を分割した可能性が高く、また写真そのものを加工した痕が見られるとの報告が2ちゃんねる及び韓国の掲示板にあがる。
  • 12月10日 - ピッツバーグ大学在職の韓国人教授がサイエンスに提出された論文に添付された写真は、2枚から11枚に水増しされたものだと告白。
  • 12月11日 - 黄禹錫、ソウル大学に検証を要請。
  • 12月12日 - 2週間の加療が必要だった黄禹錫、退院。比較的元気そうに見えたというがなぜか夜に再入院。
  • 12月14日 - ジェラルド・シャッテン、「重大な捏造の疑惑がある」として自分の名前を5月に提出された論文から削除するようサイエンス誌に要請。サイエンス誌から却下される。
  • 12月15日 - MBC、『ニュースデスク』にて黄禹錫の作製したES細胞は存在していなかったという論文共同執筆者・盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長の証言を放映。
  • 12月15日 - 『サイエンティフィックアメリカン』、黄禹錫チームを「今年のトップ50」に掲載したことを撤回。
  • 12月15日 - ソウル大学の副学長が「今日は韓国科学界の国恥日」と発言。
  • 12月15日 - MBC、突如午後10時に『特集 PD手帳はなぜ再検証を要求したのか』の特別番組を放送しこれまで報道できなかった内容を追加で放送した。
  • 12月16日 - 黄禹錫、記者会見で論文添付の写真捏造を認め、論文は撤回すると発表。ヒトクローン胚、ES細胞を作製したことは事実と主張。ただし、ES細胞そのものはカビで汚染されてしまい手元には存在しないため、10日後に発表すると述べるにとどまる。
  • 12月17日 - 韓国政府はES細胞汚染の報告を受けていたが、国益を考え隠蔽していたことが判明。
  • 12月19日 - 5月の発表では185個の卵子から11個のES細胞を作製したと発表していたが、実際に使用された卵子は1200個を超えていたことが判明。
  • 12月20日 - クローン技術の専門家である米アドバンストセルテクノロジー社のロバート・ランザは2004年2月のヒトクローン胚作製自体がでっち上げと発言。
  • 12月20日 - ネイチャー誌、クローン犬についての検証開始をアナウンス。
  • 12月21日 - ソウル大学調査委員会、22日に予定していた中間発表を23日以降に延期すると発表。
  • 12月23日 - ソウル大学調査委員会、2005年5月のクローン技術に関する論文は虚偽だと中間発表。引き続き、残りのES細胞、およびヒトクローン胚作製、クローン犬スナッピーについても検証を続ける予定。
  • 12月23日 - 黄禹錫、国民に対する謝罪会見。ソウル大学教授職の辞職を言明。
  • 12月23日 - 中断されていた『PD手帳』が1月3日より再開されると発表。
  • 12月24日 - サイエンス誌、独自の判断で論文の取り消しもあるとアナウンス。
  • 12月24日 - 黄禹錫を支持するインターネット同好会「アイラブ黄禹錫」の会員がソウル市内・清渓川でろうそく集会を繰り広げる。
  • 12月26日 - 韓国マスコミ、ソウル大学の調査で残りの2個のES細胞もヒトクローン胚からのものではなかったと報道。また、韓国検察当局は同日、黄教授と研究チームの計十人に出国禁止命令を出した。
  • 12月27日 - 一部の韓国マスコミ、2005年の論文に採用されたES細胞は患者の体細胞とDNAが一致したと、真実とはまったく逆の報道を行う。
  • 12月29日 - ソウル大学の調査委、2005年の論文に際して作成されたES細胞とされたものはすべて虚偽であったと報告。
  • 12月29日 - 2004年2月の論文の世界初とされるヒトクローンES細胞もDNAが一致せず捏造の可能性が高いとの一次分析検査が出る。
  • 12月29日 - サイエンス誌、黄禹錫チームの取り下げ請求がなければ調査結果を受けて2005年のES細胞論文を削除することを決定。2004年の論文も調査結果を見て削除することを検討。
  • 12月30日 - 黄禹錫、韓国、仏教界幹部とのインタビューで、『論文捏造問題は、他者のよる陰謀』、『源泉技術は6ヶ月あれば、再演可能』、『ES細胞の優位性を強調、成体幹細胞技術は行き詰った技術』と発言。

[編集] 2006年

ソウル大学校での黄禹錫支持者による抗議デモ。これがエスカレートし、暴行事件にまで発展する。2006年2月20日撮影。
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ソウル大学校での黄禹錫支持者による抗議デモ。これがエスカレートし、暴行事件にまで発展する。2006年2月20日撮影。
  • 1月3日 - 放送が再開されたMBC『PD手帳』「幹細胞神話の真実」編を放送。2004年、2005年の実験に使用された卵子は1600個以上、そのほとんどが売買、アカハラによって得られたものであることを報道。2005年のカスタマイズ化されたES細胞作製の捏造については、2004年の論文では特許が得られないことが原因ではないかと推測。
  • 1月8日 - MBC『PD手帳』10日放送予定の内容を一部公開し黄教授が韓国国内で初めて作ったとされるクローン牛「ヨンロン」についても捏造された可能性があるとの見方を報道。
  • 1月10日 - ソウル大学調査委員会は最終調査報告で黄教授の研究チームが世界で初めてヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製したと発表した2004年2月のサイエンス誌論文についても捏造であると断定した。また、黄禹錫チームが主張したES細胞作製に対する基幹技術に独創性を認めるのは難しいとの最終結論を出し、2002年11月から2005年11月までの3年間に4病院で129人から2061個の卵子が採取、提供されたと発表した。
  • 1月10日 - サイエンス誌のドナルド・ケネディ編集長は、『黄禹錫教授チームのヒト胚性幹細胞(ES細胞)論文の捏造が明らかになったことから、2004年2月の論文も2005年5月論文とともに削除する方針』との声明文を発表した。
  • 1月11日 - 韓国政府は、2005年6月に黄氏に贈った「第1号最高科学者」を含め、政府関連の公職をすべて剥奪することを決めた。韓国郵政事業本部は、ES細胞複製の成功を記念して2005年2月に発行した記念切手の販売の中止と未販売分の全量回収を発表した。
  • 1月12日 - 韓国検察当局、黄禹錫ソウル大教授の自宅や研究室など関係先を家宅捜索。
  • 1月12日 - 黄禹錫、ソウル大学調査委員会の最終調査報告を受け記者会見を開き、『論文筆頭著者として論文捏造のすべての責任』、『研究員の卵子提供と対価提供による卵子使用』を認め謝罪した。ただ一方、黄氏は、『論文捏造の直接責任は共同研究者』、『チームは現時点での世界最高の技術を保持』、『ES細胞は6ヶ月あれば再演可能』と重ねて強調した。
  • 1月12日 - サイエンス誌は、2004年2月論文と2005年5月論文の2本の論文を編集部判断で正式に削除したと発表した。
  • 1月13日 - 韓国政府は、将来のノーベル賞を受賞するに値する科学者に対して支援する、スター・ファカルティー (Star Faculty) 支援事業の第1回対象者として物理、化学、生物学など3分野の科学者11人を最終選定したと発表した。
  • 1月15日 - 黄禹錫の誕生日でもあるこの日、ソウルにおいて私設ファンクラブである『ファンサモ』が主導した5000人規模の黄禹錫擁護デモが行われ、デモ会場にて「黄禹錫教授頑張ってください」なる歌が披露され、いまだに支持している人間が少なくないことを示した。
  • 1月19日 - WTN(世界技術ネットワーク)は、昨年11月に黄禹錫に授与した生命工学賞の撤回を発表した。
  • 1月25日 - ソウル中央地検・特別捜査チームはミズメディ病院から押収したES細胞のDNAを分析した結果ソウル大調査委員会の調査内容と一致したこと、黄禹錫教授チームが作ったとしている体細胞クローンES細胞は存在しなかったと発表。
  • 2月6日 - 韓国政府監査院は黄禹錫が政府、および民間から寄せられていた研究支援金のうち、62億ウォンを不正に使用していたと中間報告をした。
  • 2月22日 - 黄禹錫を支持する団体がソウル大学でデモを行い、ソウル大学職員に怪我を負わせるという事件がおきる。
  • 3月1日 - 黄チームによって提出されていた狼のクローンに成功したと主張していた論文が、サイエンス誌からリジェクトされる。
  • 3月14日 - 黄の研究室に所属していた大学院生全員の指導教授が変更され、いわゆる黄チームは解散。
  • 3月14日 - 韓国分子細胞生物学会は黄を除名処分とした。
  • 3月20日 - ソウル大学は黄禹錫を免職処分とした。
  • 4月21日 - 黄禹錫、ソウル大学が行った懲戒処分を不服とし教育人的資源部に取り消し審査を請求した。
  • 5月12日 - 韓国検察当局は、胚性幹細胞捏造事件で、黄禹錫・元ソウル大教授を詐欺、業務上横領、生命倫理法違反の罪で在宅起訴したと発表した。
  • 6月27日 - 黄の後援会が経費を負担し、既に捏造が発覚したES細胞研究に関する国際特許を10カ国・地域で申請する見通しであるとソウル大学が明らかにした。
  • 7月18日 - 韓国政府は、黄に対する科学技術勲章創造章の叙勲の取り消しを決定。
  • 8月18日 - 黄禹錫は、「雌牛生命工学研究院」設立の許可を韓国科学技術部から受け、無菌豚を利用した異種臓器移植等の研究を再開したことが明らかになった。

[編集] 参考リンク

[編集] 外部リンク

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