鉄道員 (ぽっぽや)
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『鉄道員』(ぽっぽや)は、浅田次郎の短編小説。『小説すばる』平成7年(1995年)11月号に掲載され、のちに同名の短編集にまとめられ、1997年4月に集英社から刊行された(ISBN 4087742628)。
廃線を間近にしたローカル線(北海道の元運炭路線。現実に1984年~1994年にかけて、特定地方交通線指定などにより、ほとんどが廃止された)の駅長に訪れる幸福を描いた作品。第117回直木賞受賞作。140万部を売り上げ、1997年を代表するベストセラー作品となった。
また、1999年に降旗康男監督、高倉健主演により映画化され、第23回(1999年度)日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞など主要部門をほぼ独占した。
映画化と同じ1999年には講談社『月刊アフタヌーン』9月号にてながやす巧による漫画が掲載され、同年に単行本も発売された。2002年にはテレビ朝日系で、青春時代編のドラマも放送されている。
目次 |
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
主人公の佐藤乙松(おとまつ)は、北海道にある廃止寸前のローカル線「幌舞線」の終着駅・幌舞駅(ほろまいえき)の駅長である。鉄道員一筋に生きてきた彼も定年退職の年を迎え、また同時に彼の勤める幌舞駅も路線とともに廃止の時を迎えようとしていた。彼は娘を幼くして病気で失い、また妻にも先立たれ、孤独な生活を送っていた。
ある雪の日、ホームの雪掻きをする彼のもとに一人の少女が現れる。それが、彼に訪れた優しい奇蹟の始まりだった。
[編集] 書籍
- 「鉄道員(ぽっぽや)」 集英社 初版1997年4月 ISBN 4087742628
- 「鉄道員(ぽっぽや)」 集英社文庫 初版2000年3月 ISBN 4087471713
- 「鉄道員、ラブ・レター」 集英社CDブック 初版1998年2月 ISBN 408901140X
[編集] 映画
なお、乙松駅長が勤める幌舞駅は、JR北海道根室本線の幾寅駅を改造して撮影された。ただし、該当駅は終着駅ではなく途中駅であるため、いくらかの細工が施されていた。例えば、模擬の腕木式信号機を設置したことなどがあげられる。
- キャスト
- 佐藤乙松 - 高倉健
- 佐藤静枝 - 大竹しのぶ
- 佐藤雪子 - 広末涼子、谷口紗耶香、山田さくや
- 杉浦仙次 - 小林稔侍
- 杉浦明子 - 田中好子
- 杉浦秀男 - 吉岡秀隆
- 吉岡肇 - 志村けん
- 吉岡敏行 - 安藤政信
- 加藤ムネ - 奈良岡朋子
- スタッフ
- 監督:降旗康男
- 製作:高岩淡
- 企画:坂上順
- 脚本:岩間芳樹、降旗康男
- 撮影:木村大作(「雪を撮らせたら日本一」と言われる名カメラマン)
- 製作:「鉄道員」製作委員会 (東映、テレビ朝日、住友商事、集英社、日本出版販売、朝日新聞社、高倉プロモーション、TOKYO FM、東北新社)
- 主題歌
[編集] ドラマ
2002年1月1日、テレビ朝日系の新春スペシャルドラマとして「鉄道員/青春編」が放送された。内容は1964年、炭鉱が斜陽に差し掛かっていた時代の幌舞を舞台としており、仙次と初枝の結婚式に始まって、乙松が映画館窓口係を勤めていた静枝と知り合い結ばれる所から、原作と同じ結末を迎えるまでを描いている。ドラマでは、原作のラストにあたる部分に関して、独自の脚色も加えられた。
- キャスト
- スタッフ
- 脚本:松原敏春
- 監督:出目昌伸
- プロデューサー:一杉丈夫、松本基弘、中曽根千冶、丸山真哉
[編集] 漫画
- 講談社文庫『鉄道員/ラブ・レター』 ISBN 4062748266(2004年6月15日発行) 画: ながやす巧(1999年10月6日発行のKCDXを文庫化したもの)