遷都
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
遷都(せんと)とは、都を移す事をいう。転じて首都の移転を意味する。
一般的には、一国の中央政府の立法府と行政府と司法府を、 (1) 他の都市に移転したり、 (2) 或いは新たに都市を建設して在来の首都から全部を移転する事を指す。中央政府の統治機関の一部を移す場合にも言う場合があるが、首都の法的な裏付けがある場合には、新たな法手続を伴うのが一般的である。
古い例ではイタリア(元のサルジニア王国)のトリノ→フィレンツェ→ローマ、アメリカのニューヨーク→フィラデルフィア→ワシントンなどの例がある。
最近の例では、スリランカのコロンボからスリジャヤワルダナプラコッテへ、ナイジェリアのラゴスからアブジャなどの遷都がある。
明治天皇が東京に移った際は、遷都ではなく奠都(てんと)の語を用いたとして、京都から東京への首都移転の正統性に異を唱える主張もある(→江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書の項目を参照)。なお、京都では、京都に首都の実質的機能を還す事を「遷都」とはいわずに、「首都を還す」という意味で「還都」(かんと)という。
韓国の盧武鉉大統領は、忠清南道燕岐郡への遷都を目指したが、「憲法には首都に関する規定はないが、ソウルが600年以上にわたって首都であり、遷都は改憲同様の手続きが必要である」との見解を憲法裁判所が出したため、遷都計画は頓挫、遷都を当て込んだ不動産業者による土地買い占めは、失敗に終わった。それを言うなら、形式的には日本の京都も1100年間にわたって日本の首都であり、憲法の拡大解釈ではないかとの意見もある。なお、韓国では、ソウルが軍事境界線に近すぎるため、1970年代に朴正熙大統領も、大田遷都を計画していた。
目次 |
[編集] 近年の遷都の例
- ブラジル:リオデジャネイロ→ブラジリア(1960年供用開始)
- タンザニア:ダルエスサラーム→ドドマ(1973年法改正、1996年立法府移転)
- コートジボワール:アビジャン→ヤムスクロ(1983年)
- スリランカ:コロンボ→スリジャヤワルダナプラコッテ(1985年遷都正式発表)
- ナイジェリア:ラゴス→アブジャ(1991年機能移転)
- カザフスタン:アルマトイ→アスタナ(1997年)
- 統一ドイツ:ボン→ベルリン(2001年機能移転完了)
- ミャンマー:ヤンゴン→ピンマナ(2005年機能移転開始)
[編集] 関連項目
[編集] こぼれ話
TBS系の番組「噂の!東京マガジン」で、「東京から遷都になるとしたら」という内容のアンケートをとったところ、約半数の人が「銭湯」と間違えた結果を答えたということがあった。