軍用機の命名規則 (アメリカ合衆国)
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[編集] アメリカ陸軍・空軍
アメリカ陸軍および後に陸軍から分離した空軍の軍用機の制式名称は次のように変遷した。
1920年9月時点では、
によるものであった。たとえば空冷の戦闘機(追撃機、Pursuit aircraft)は PW-9C などという表示をする。
1924年5月、液空冷の区別を廃止し、P-1から開始するものへと変わった。XPW-8B が カーチス P-1 ホーク となった。
1947年に空軍が陸軍から独立した。その後1948年に、戦闘機の記号が追撃機 (Pursuit aircraft) を意味する P から戦闘機 (Fighter) の F に改められた。一般的には P-80/F-80 シューティングスター 以降をFとするのが普通である。
1962年9月、陸海空三軍の制式名が統一された。空軍が採用したファントムII(当初の空軍での愛称はスペクター)には当初 F-110 の制式名称が与えられたが、海軍の呼称 F4H から F-4 と、海軍機の制式名称に近いものを割り付けて、その後は新しい通し番号をつけるシステムになった。
現行の機種記号は、
- A:攻撃機 (Attack)
- B:爆撃機 (Bomber)
- C:輸送機 (Cargo)
- E:電子戦機 (Electric warfare)
- F:戦闘機 (Fighter)
- H:ヘリコプターまたは捜索救難機
- K:空中給油機
- M:多目的機 (Multi-Mission)
- O:観測機 (Observation)
- P:対潜哨戒機 (Patrol) 海上を哨戒(パトロール)する機体を示す。
- Q:無人機
- R:偵察機 (Reconnaissance)
- S:対潜機 (anti-Submarine warfare)
- T:練習機 (Training)
- U:汎用機 (Utility)
- V:要人輸送機またはVTOL機
- W:気象観測機 (Weather)
- X:実験機 (eXperimental)
- Y:試作機
これらの機種記号を、
- 該当機種の任務
- 元の機種の任務
- 機種の種類(特殊な機種の場合)
などによって、組み合わせて使用する。
例えば、AC-130 ガンシップの場合、ベースの機体が輸送機なので"C"の機種記号が付くが、攻撃機に改造されているため"C"の前に"A"が付加されている。また、AV-8 ハリアーでは、攻撃機なので"A"の機種記号が付くが、VTOLという特殊な機能を持っているため、"V"の記号が付加されている。
[編集] アメリカ海軍
三軍表記統一前のアメリカ海軍の制式名称は、
- 機種記号
- メーカーごとの通し番号
- メーカー記号
- モデル記号
であった。例えば F6F はグラマン社の戦闘機で海軍に採用された6番目の機種であることを示す。ただし、最初の機種にはSBDのように数字を付けない。
機種記号
- F 戦闘機 (Fighter)
- PB 哨戒爆撃機 (Patrol Bomber)
- SB 偵察爆撃機 (Scout Bomber)
- TB 雷撃機 (Torpedo Bomber)
- SO 偵察機 (Scout)
メーカー記号