肩章
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肩章(けんしょう)は、制服等の上衣に、肩の線に沿って留められている付属品の名称。細長い布またはモール紐等でできている。
肩の防具或いは帯革その他の装備品を固定する機能のほか、識別性に優れていることから、階級や兵科を表示する機能を持つこともおおく、軍隊(自衛隊含む)などでは階級章の1種として用いられることもある。また、単に装飾目的から付されることもある。
肩章には種々のタイプがあるが、代表的には次のようなタイプがある。
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[編集] 総付きタイプ
総付きタイプは、19世紀に発達したもので、元々は肩の防具に由来するとも考えられる派手なタイプである。このタイプのみを特に「エポレット」と呼ぶこともある(エポレットという語自体は一般的には肩章全般を指す。)。もっとも、戦法や軍服自体の変化にともなって礼服以外には使用されなくなった。なお、下級士官(特に海軍中尉・海軍少尉等)等には総がないタイプもある。
典型的には、全体が金色で、長方形の肩端に環形があり、環形から総が垂れている形状のものである。
日本においては、有爵者大礼服や海軍士官正装に用いられた(大礼服・軍服_(大日本帝国海軍)#正肩章参照)。
日本の有爵者大礼服(徳川慶喜) |
イギリス海軍の着用例(ジョージ5世) |
アルゼンチン陸軍礼服。端が環形金属となっている。 |
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フランス外人部隊における着用例。上衣全体は簡略化されていても肩章は古い時代の名残が強い。 |
[編集] モール編みタイプ
モール編みタイプは、かつてドイツ陸軍の通常勤務服に用いられたほか、現在でも各国の礼装には比較的用いられる。
日本においては、陸軍士官の正装等や98式・3式の通常礼装に用いられた(軍服_(大日本帝国陸軍)参照)。また、陸空自衛隊では、冬服又は第1種夏服上衣に金銀モールの肩章(礼装用階級章)を取り付けることで、第1種礼装となる。
モール編みタイプの肩章の着用例(1)(オットー・フォン・ビスマルク) |
(モール編みタイプの肩章の着用例(2)(ジョン・J・パーシング) |
第二次世界大戦後の勤務服における使用例(東ドイツ国家人民軍・陸軍大将) |
[編集] 縦長タイプ
アメリカ軍、フランス軍、旧日本陸軍、チリ陸軍(将官)等では、肩の線と直角に縫い付ける長方形の肩章が用いられたことがあり、一部は現在でも礼服等に使用されている。
日本陸軍の肩章 |
かつての米陸軍元帥の肩章。 |
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フランス陸軍将官肩章(シャルル・ド・ゴール) |
チリ陸軍将官肩章(アウグスト・ピノチェト) |
[編集] 硬性タイプ
硬性タイプの肩章は海軍士官の夏服等において広く用いられた。紺地に金線の肩章が広く用いられた。これは、上衣に2箇所肩章の裏ベルト通しを設けて、そこに肩章を固着するタイプである。この肩章は、長方形に近い五角形のことが多いが、襟に近い方の先端は尖らせない形状のものもある。帯革固定の機能は殆どない。なお、本記事では、硬性タイプと軟性タイプとを区別したがその区別は相対的な側面もある。
[編集] 軟性タイプ
軟性タイプは、各種肩章の中でも、背嚢などの革帯をくぐらせて安定させるという機能が重視されて発達したものが多い。肩側は縫い付けられ、襟側をボタンで留める。第二次世界大戦後は軟性タイプが主流となり、現在に至っている。トレンチコートの肩章もこの類である。
もっとも、肩章が同生地のものは、取り外すことが困難な製式のものも多く、洗濯の際支障があった。そこで、同生地タイプの肩章を固着し、その上に更に筒状の肩章を通すタイプが生じた。
現代の勤務服における肩章の例(1)(アメリカ陸軍大尉) |
現代の勤務服における肩章の例(2)(ロシア空軍大佐) |
現代の戦闘服における肩章(階級章着脱式)の例(カナダ陸軍准将) |
[編集] 関連項目
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