神風
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神風(かむかぜ、しんぷう、かみかぜ)は神道用語。神が吹かせる風などを意味する。
古くは日本書紀において、「神風(かむかぜ)の伊勢の国は常世の波の敷浪の帰する国この国に居らんとほっふ」という倭姫命(ヤマトヒメノミコト)が天照大神から受けた神託などに登場する。ここでの「神風の」は、伊勢にかかる枕詞である。
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[編集] 元寇の神風
元寇の際吹いたとされる暴風。
その正体は、たまたま西日本を通過した台風であった。この風により日本へ侵攻してきた元・高麗の軍勢は壊滅した。但し、従来は「大日本史」の記述の影響などもあり、1274年の文永の役と1281年の弘安の役の2度にわたって起こったと広く信じられていたが、実際に台風が襲来したのは弘安の役の時で、文永の役の際には補給の不備などから元軍が自ら撤退したもののようであり、暴風は起こらなかったとされている。
[編集] 鉄道と航空機
1937年(昭和12年)に東京からロンドンまでの100時間を切る記録飛行に成功した朝日新聞社の航空機は神風号と称し、その乗務員が帰国して前述した伊勢神宮に参拝する事になったため、同年5月24日に現在の近畿日本鉄道(近鉄)の母系会社である大阪電気軌道(大軌)とその子会社の参宮急行電鉄(参急)は、大阪の上本町駅から伊勢神宮外宮の最寄駅である宇治山田駅まで臨時の記念特急電車を運行し、その特急電車も「神風」号と名づけられた。「神風」はその翌日から同社の定期特急列車の名前に採用され、1938年(昭和13年)ごろまで大軌の看板列車として走り続けた。
なお、航空機の方の「神風」に基づいたクラシック音楽で、神戸出身の作曲家大澤壽人による「ピアノ協奏曲第3番[神風]」というものがある。
[編集] 第2次世界大戦の神風
「神風」は日本のその後の思想に大きな影響を与えた。神風特別攻撃隊の神風 (Kamikaze) は、元寇を追い払った神風と同様に連合軍を討つということに由来する。Kamikazeという語は、その後、諸外国において、身の危険を省みない攻撃に対する形容の言葉として定着している。アルカイダによる自爆攻撃に対しKamikazeという形容語が各種マスコミ(欧米のマスコミ、およびアラブよりのマスコミ)によって用いられたが、神風特攻隊の精神とは全く異なると抗議も殺到したという。また日本でも戦後、命を惜しまない乱暴な運転を行うタクシーを「神風タクシー」と呼んだりしていた。
[編集] ヘロドトスの「神風」
古代ギリシアの歴史家・ヘロドトスの『歴史』によれば、紀元前492年アケメネス朝ペルシア帝国の海軍が、ギリシア本土に侵攻しようとした際、アトス半島で「神風」にあって艦船が大破、ペルシャ軍は戦わずして潰走したとされている。ギリシア神話に基づけば、この風は冬にギリシアの北方から冷たい風をもたらすボレアス(Boreas)という神が呼び起こしたもので、時には恐ろしい破壊をもたらしたという。なお、イソップ物語に登場する『北風と太陽』は本来ボレアスと太陽神アポロンのやりとりであったと言われている。
[編集] ポルノ文化における「神風」
インターネットの普及に伴い日本のアダルトビデオ作品の海外進出が盛んになっている。元祖ポルノ大国であるアメリカやヨーロッパでも、従来のポルノに飽きたポルノファン達の間で、日本のアダルトアニメや日本のAV女優の人気が沸騰している。これはかつてドラゴンボールやガンダムといった日本のアニメが世界に普及した時と同じパターンを見せており、ジャパニメーションの世界進出時と同じように、日本から韓国→中国→中東→ヨーロッパを経由して、2000年に入り、日本のアダルトビデオに対して閉鎖的であったアメリカにようやく到達し、密かなブームとなっている。すでにアメリカの大手アダルトサイトではジャポルノを代表するKOKESHIシリーズなどが、他のアメリカンポルノをさしおいて、飛ぶように売れているようで、アメリカのポルノ業界ではこれを総称して、ジャパニーズポルノをジャポルノJapornとか、カミカゼKamikazeと呼び、また真珠湾攻撃になぞらえて、ToraToraToraといった名前のプロダクションも登場している。アメリカのアダルト産業では「ジャポルノ」を新たなジャンルとして、あらたなビジネスチャンスとして捕らえているようである。2005年にラスベガスで開催されたAVN Adult Expoでは、AMORZ Entertainment社のKOKESHIやOriental Dream社の作品が、日本のアダルトビデオ作品として初の入賞を果たしている。