牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
牛鬼(うしおに、ぎゅうき)は、日本に伝わる妖怪。主に海岸に現れ、浜辺を歩く人間を襲うとされている。
非常に残忍、獰猛な性格であり、人を食い殺すことを好む。
伝承では、頭が牛で首から下は鬼の胴体を持っていた。あるいは牛の首で蜘蛛の胴体を持ったとされる。
「枕草子」において「おそろしきもの」としてその名があげられており(148段)、また太平記においては源頼光と対決した様子が描かれている。
水木しげるは伝承にほぼ準じたイラスト(牛の首で蜘蛛の胴体)を起こしており、氏の漫画「ゲゲゲの鬼太郎」においても仇役として牛鬼を登場させたエピソードもあり、そこでは「牛鬼の正体は実体のない精霊であり、殺した相手の体を乗っ取って新たな牛鬼にする」という恐るべき憑依能力を持った強敵として登場、一旦は牛鬼を倒した鬼太郎も体を乗っ取られてしまうなどその強さを見せつけていた。
[編集] 愛媛県宇和島地方の牛鬼
愛媛県宇和島市とその周辺の地域等においては、地方祭において牛鬼(うしおに)と呼ばれる山車が町を練り歩く。
- 形態
基本形は亀甲型の本体に、首と尾をつけたものである。これを大勢がかついで練り歩く。時に、頭と尾を激しく揺らぶらせ、また回転して、気勢を上げる。ただし、ぶつけあう、いわゆる「けんか」はあまりしない。本体は大別して、棕櫚をかぶせたもの(これが原始系とされる)と、黒・赤などの布をかぶせたもの(発展系とされる)の二つのタイプがある。大きさは棕櫚の方が小さめである。発展系の中には金色に輝くものもある。
- 祭りと牛鬼
牛鬼は宇和島の夏祭りの主役である。このときには、宇和島市内のみならず、山間部や高知県側(西土佐村)からも牛鬼の出場がある。宇和島市の職員で牛鬼保存会がつくられている。また、秋祭りにおいても牛鬼が出ることがある(西予市明浜町など)。愛媛県を代表する祭りとして、新居浜市の太鼓台、西条市のだんじりとともに、各地のイベント等に出場することがある。
- 歴史
かつては、愛媛県の久万高原町の付近にも牛鬼はあったとの記録が残っているが、今日では残っていない。
豊臣秀吉の朝鮮出兵に際して、現地に赴き威嚇に用いられたとの説がある。
- その他
- 牛鬼の面
- 菊間の牛鬼