水野忠邦
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水野 忠邦（みずの ただくに、寛政6年6月23日（1794年7月19日） - 嘉永4年2月10日（1851年3月12日））は、江戸時代後期の大名。幕府老中首座。12代将軍徳川家慶のもとで天保の改革を行った。
父は唐津藩主水野忠光で次男、母は側室。幼名は於莵五郎、号は松軒・菊園。最終官位は従四位下、侍従、越前守。
[編集] 伝記
文化9年（1812年）に唐津藩主襲封、文化13年（1816年）に奏者番となる。忠邦は奏者番以上の昇格を望んだが、唐津藩が長崎警備の役の任務を負うことから昇格に障害が生じると知るや、家臣の諫言を押しきって文化14年（1817年）、自ら願い出て実封25.3万石の唐津から実封15.3万石の浜松に転封された。この国替顛末の時、水野家家老二本松大炊が忠邦に諌死をして果てている。同年、その寺社奉行兼任となる。その後、第11代将軍徳川家斉のもとで頭角を現し、大坂城代、京都所司代、西丸老中、本丸老中と昇進し、天保10年（1839年）に老中首座となった。
忠邦は、内憂外患、つまり異国船が日本近海に相次いで出没して日本の海防を脅かす一方、年貢米収入が激減し、一方で大御所政治のなか、放漫な財政に打つ手を見出せない幕府体制に強い危機感を抱いていたとされる。しかし、家斉在世中は水野忠篤、林忠英、美濃部茂育（三人を総称して天保の三侫人という）をはじめ家斉側近が強権を握り忠邦の改革はスタートできなかったが、天保8年（1837年）に徳川家慶の第12代将軍就任、ついで大御所家斉死去を経て、家斉旧側近を追放し、遠山景元、矢部定謙、岡本正成、鳥居耀蔵、渋川六蔵、後藤三右衛門を登用して天保の改革に着手した。
農村から多数農民が逃散して江戸に流入している状況に鑑み、農村復興のため人返し令を発し、また弛緩した大御所時代の風を矯正すべく奢侈禁止・風俗粛正を命じ、また、物価騰貴は株仲間に原因ありとして株仲間の解散を命じたが、その一方で低質な貨幣を濫造して幕府財政の欠損を補う政策をとったため、物価引下げとは相反する結果をもたらした。また天保14年（1843年）9月に上知令を断行しようとして大名・旗本の反対に遭うなどし、同年閏9月13 日に老中を罷免され失脚した。忠邦の改革はあまりに過激な改革で庶民の怨みを買ったとされ、失脚した際には暴徒化した江戸市民に邸を襲撃されている。
翌年6月に外国問題の紛糾によって老中に再任されたが、昔日の面影は無く、御用部屋でもぼんやりとしている日々が多かったと言う。老中阿部正弘、前老中土井利位らの抵抗により弘化2年（1845年）に再度辞職においこまれる。さらに在職中の不正が発覚し、加増のうち1万石、本地のうち1万石、合計2万石没収され隠居謹慎となった。家督は子の忠精が継いだが、まもなく出羽山形に懲罰的転封を命じられ、1851年に死去、享年57。
墓所は茨城県結城市山川新宿の旧万松寺跡。法名は英烈院殿忠亮孝由友大居士
[編集] 官職位階履歴
- ※日付は旧暦
- 1802年（享和2） 於莵五郎を称する
- 1805年（文化2）9月、諱を忠邦とする。
- 1807年（文化4）9月7日、元服
- 1807年（文化4）11月7日、従五位下式部少輔
- 1812年（文化9）8月、家督相続。肥前国唐津6万石藩主となり、和泉守に遷任。
- 1815年（文化12）11月12日、奏者番
- 1817年（文化14）8月、遠江国浜松6万石に転封。 9月10日、寺社奉行兼務。左近衛将監に遷任。
- 1825年（文政8）5月15日、大坂城代。従四位下。
- 1826年（文政9）11月23日、京都所司代。侍従兼任。 12月、越前守に転任。
- 1828年（文政11）11月23日、西丸老中
- 1834年（天保5）3月1日、老中（本丸老中）
- 1837年（天保8）3月27日、勝手掛兼務
- 1839年（天保10）12月2日、老中首座
- 1843年（天保14）3月、人返し令発布。 6月1日、上知令発布。 閏9月7日、上知令撤回。 閏9月13日、老中御役御免。差控。雁之間詰。
- 1844年（弘化元）6月21日、老中再任。老中首座。
- 1845年（弘化2）2月22日、老中辞職。 9月2日、隠居蟄居。1万石没収。出羽国山形5万石に転封。
