気筒休止エンジン
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気筒休止エンジン(きとうきゅうし-)とは運転状況によって一部または全部の気筒を休止させることが出来るレシプロエンジンである。気筒の休止は多くの場合バルブを全閉密着することによって実現される。可変排気量エンジンとも呼ばれる。 低負荷時に一部の気筒を休止することによって燃費を改善する技術である。1981年、キャディラックのV型8気筒エンジンL62「V8-6-4」エンジンが最初であるとされる。しかしながらトラブルが多くすぐに廃れてしまった。 1990年代にはメルセデス・ベンツがV型12気筒エンジンに気筒休止エンジンを採用した。しかしながら2004年にダイムラー・クライスラーがヘミエンジンに採用するまでは一般的にはならなかった。2005年にはGMがDisplacement on Demandという名称で復活させている。
V型機関を持つ大型トラック等にあっては、アイドリング時に片バンクを休止する機構を持つものが多かった。
日本国内においては三菱自動車が採用に積極的であった。1982年にMDエンジンを初めて市販した。後にMIVEC-MDとなり直列4気筒エンジンのほかV型6気筒エンジンにも採用された。しかしながら2006年現在では同社の市販車には採用されていない。
2001年に発売された本田技研工業のシビックハイブリッドに4気筒のうち3気筒を休止するシステムが採用されたが、これは減速時のエンジンブレーキを低減し回生の効率を向上させるためのものであった。
2003年にはインスパイアがV6の片バンクを休止する「可変シリンダーシステム」を採用した。これは同社のエリシオンやアコードハイブリッド(日本ではインスパイア、北米向けオデッセイにも採用されている。
またF1などにおいてもエンジンの気筒を休止させる気筒休止エンジンは存在するが、この場合はシビックハイブリッド等の気筒休止とは全く目的が異なり、コーナーで速度(エンジン出力)を落としつつも高い回転数を維持することで(例えば単純に考えて、半分の気筒を休止させれば回転数を維持したまま出力を半分まで落とせる)、コーナーを抜けた後の立ち上がりを確保するためである。