欧州司法裁判所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
 欧州連合 |
|---|
| 欧州理事会 |
| 欧州連合理事会 |
| 欧州委員会 |
| 欧州司法裁判所 |
| 欧州投資銀行 |
| 欧州中央銀行 |
| 欧州憲法 |
| 欧州連合条約 |
| 欧州議会 |
| 欧州議会の政党 |
| 欧州議会選挙 |
| 構成国 |
欧州司法裁判所（おうしゅうしほうさいばんしょ、European Court of Justice、略称：ECJ）とは、欧州連合の設置した裁判所。欧州連合における最高裁判所のようなものであり、ルクセンブルクのルクセンブルク市に設置されている。8人の法務官の補佐を受けた25人の判事で構成されている。
[編集] 概要
欧州司法裁判所は欧州連合の最高裁判所であり、ヨーロッパ法の解釈に係る案件を裁く。 主な対象は次の通り：
- ある参加国が指令、規則等の法的要求に従わないときの、欧州委員会による請求
- 欧州連合がその権限を越えているときの、加盟国による請求
- 欧州連合法の特定の条文の意味や有効性についての、加盟国の裁判所からの、欧州司法裁判所に対する先決決定請求。欧州連合は多くの言語を持っており、政治利害が競合することもあることから、各国の裁判所はしばしば、ある条文が文脈の中で何を意味しているか決めるのが困難である。かかる場合において、欧州司法裁判所は、その問題を処理するための各国の裁判所を拘束する裁定を下す。欧州司法裁判所は法令条文の解釈を助けることのみが許されており、案件そのものに判決を下すことはできない。
個人は欧州司法裁判所に直接案件を持ち込むことはできない。 欧州連合の機構のひとつの行為に直接関わっている個人は、その案件を、第一審級裁判所と呼ばれる下級裁判所に持ち込むことができる。 欧州司法裁判所への上訴は、第一審級裁判所の決定に不服がある場合に行う。 現在欧州連合の従業員とその他の欧州連合の機構は、第一審級裁判所の雇用者を訴えているが、専門である公務員法廷？はこれら案件を扱う手続き中である。
欧州司法裁判所は25人の判事と8人の法務官で構成され、その任期は6年で、再任可能。 加盟国はそれぞれ判事を指名する権限を持つので、大抵は判事の数は参加国の数と一致するのが、欧州司法裁判所は必ず奇数人数の判事を置くことになっているので、参加国が偶数になったときに追加の判事が任命される。 8人の法務官のうち5人は欧州連合の五大国（イギリス、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス）から任命される。 それ以外の3人は五大国以外の20ヶ国からアルファベット順に交替で任命される。 現在オランダ、オーストリア、ポルトガルが任命されている。
欧州司法裁判所は、ドイツの憲法が欧州連合の条約と整合しないために違法であるとした2001年の裁定のために、一部の欧州懐疑論者から恐れられている。 欧州司法裁判所は、欧州連合の法（条約、法令、指令から成る）がいかなる参加国の法よりも優先するという判決を何度か出していることは述べておかねばならないだろう。 したがって、欧州司法裁判所は、欧州連合の法に整合しない如何なる加盟国国内法も無効であると宣言する権限を持っている。 この事実は、欧州委員会の設立以来、比較的知られておらず、最近になって初めて注目され始めた。
