標津線
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標津線（しべつせん）は、北海道旅客鉄道（JR北海道）/日本国有鉄道（国鉄）が運営していた鉄道路線（地方交通線）。北海道釧路支庁管内の川上郡標茶町の標茶駅で釧網本線から分岐し、根室支庁管内の標津郡標津町の根室標津駅に至る本線と同郡中標津町の中標津駅で分岐し根室市の厚床駅で根室本線に接続する支線からなっていた。国鉄再建法の施行により第2次特定地方交通線に指定された。JR北海道に承継されたが1989年（平成元年）4月に廃止された。
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[編集] 路線データ（廃止時）
- 管轄：北海道旅客鉄道（第一種鉄道事業者）
- 路線距離（営業キロ）：全長116.9km
- 標茶～根室標津 69.4km
- 中標津～厚床 47.5km（列車運行上は起終点が逆転しており、中標津方面行きが下り列車だった。）
- 駅数：19（起終点駅を含む）
- 軌間：1067mm
- 複線区間：なし（全線単線、中標津～中標津町西6条付近までは単線並列）
- 電化方式：全線非電化
- 閉塞方式：タブレット閉塞式
- 交換可能駅：本線…5（泉川、西春別、計根別、中標津、川北）、支線…1（別海）
- 簡易委託駅：当幌、上武佐、計根別、川北
[編集] 歴史
根釧原野の林産資源並びに鉱産資源の開発を目的として建設された鉄道で、改正鉄道敷設法別表第149号に規定する「根室国厚床付近ヨリ標津ヲ経テ北見国斜里ニ至ル鉄道」の一部並びに第150号「根室国中標津ヨリ釧路国標茶ニ至ル鉄道」である。
当時は北海道庁などによる殖民軌道が敷設されていたが、輸送力の限度と馬の維持にかかる経費が問題になり、輸送力の増強が求められていた。交通の不便さから開拓地を放棄せざるを得ないものも現れ、深刻の度を増していた。開拓民の度重なる請願により、先述の鉄道敷設法の改正を見た。開拓民の間でも海沿いを走る「海岸線」と内陸部を走る「原野線」の両派に分かれた激論があった。結果的に原野線が建設ルートとして選択された。
建設は厚床側から進められ、1933年に西別（後の別海）までの第1工区が完成、1934年に第2工区にあたる中標津に到達した後、1936年に標茶から標茶線（しべちゃせん、名称の混同があるため後述する）が計根別まで開業し、1937年に中標津まで延伸された。同時に中標津から根室標津までの第4工区が完成し、全通。標津線と標茶線を接続し、標津線を標茶線に編入のうえ全体を標津線とした。これは釧路港を擁する釧路までの需要があり、標津から釧路に行くには厚床を経由するより標茶を経由した方が近いという理由があったためとされる。
別表149号の根室標津以遠については、戦時中に突貫工事で建設が進められていたが、1957年に斜里（現在の知床斜里）～越川間が根北線として開業したものの、すでに沿線は過疎化が進んでおり、わずか13年後の1970年に廃止された。越川～根室標津間には、建設途中のまま放棄された路盤の遺構である越川橋梁が残っている。
分岐駅の中標津周辺の発展と日本海軍中標津飛行場・川北飛行場、日本陸軍計根別飛行場の建設と観光ブームによって注目を浴びた時期もある。 しかし、終点である標津町や起点である根室市の求心力の低下と、釧路市への所要時間などの諸問題により、利用客と貨物取扱高が1965年頃をピークに減少をはじめた。
道路の整備に伴い、沿線にもモータリゼーションが進んでいった。 1968年には赤字83線に選定され、廃止論議が持ち上がった（当時の営業係数は219）。一時は廃止を免れたものの、1970年には営業係数が405に悪化するなど、年々赤字が増えていった。いくつかの駅を直営駅から業務委託駅に転じさせ、経費の圧縮を試みたが焼け石に水であった。 1980年に国鉄再建法が成立すると、第2次特定地方交通線に指定されたが、冬季の代替輸送に問題があるとして他の3線（天北線、池北線、名寄本線）とともに一時、廃止承認が留保された。しかし、結局1985年に問題がなくなったとして追加廃止承認され、国鉄分割民営化後の1989年に廃止された。（沿線自治体は第三セクターによる鉄路維持を検討していたが、鉄路維持の場合は運営基金が7年で枯渇するという試算があり、バス転換に同意したもの）
[編集] 年表
- 1933年12月1日 【開業】標津線 厚床～西別(23.8km) 【駅新設】奥行臼、西別
- 1934年10月1日 【延伸開業】西別～中標津(23.7km) 【駅新設】春別、中標津
- 1936年10月29日 【開業】標茶線 標茶～計根別(31.9km) 【駅新設】西春別、計根別
- 1937年10月30日 【延伸開業・全通】計根別～根室標津(37.5km) 【駅新設】当幌、上武佐、川北、根室標津 【区間統合・線名改称】標茶線に標津線（旧）を編入→標津線
- 1944年5月1日 【信号場新設】東標津 【仮信号場新設】泉川
- 1945年11月2日 【信号場廃止】東標津
- 1952年3月25日 【仮信号場→駅】泉川
- 1957年12月25日 【駅新設】協和
- 1961年4月10日 【仮乗降場新設】多和
- 1961年10月1日 【仮乗降場新設】開栄、平糸
- 1962年5月1日 【仮乗降場新設】光進 【列車運転開始】根室標津～釧路間に準急「らうす」新設
- 1963年7月1日 【駅新設】上春別
- 1966年3月5日 【列車名称変更】一部の準急「らうす」を急行「くなしり」に変更
- 1967年4月1日 【仮乗降場→駅】光進、平糸
- 1968年10月1日 【列車名称変更】準急「らうす」・「くなしり」を急行「しれとこ」に変更
- 1976年12月1日 【駅名改称】西別→別海
- 1980年4月30日 【貨物営業廃止】中標津～根室標津
- 1984年2月1日 【貨物営業廃止】標茶～中標津～厚床（全廃）
- 1985年8月2日 第2次特定地方交通線として廃止承認
- 1986年11月1日 【列車廃止】急行「しれとこ」が廃止される
- 1987年4月1日 【承継】日本国有鉄道→北海道旅客鉄道 【仮乗降場→駅】多和、開栄
- 1989年4月30日 【路線廃止】全線。バス転換（標茶～標津:阿寒バス、厚床～中標津:根室交通）
[編集] 事件・事故
- 1945年7月14日、上り40列車（厚床行き）がアメリカ軍の機銃掃射を受けて破壊される。
- 1956年3月5日、上り32列車（標茶行き）が脱線転覆。客車2両・貨車2両が横転し、24名の負傷者が発生した。
[編集] 駅一覧
標茶駅 - 多和駅 - 泉川駅 - 光進駅 - 西春別駅 - 上春別駅 - 計根別駅 - 開栄駅 - 当幌駅 - 中標津駅 - 東標津信号場 - 上武佐駅 - 川北駅 - 根室標津駅
支線：中標津駅 - 協和駅 - 春別駅 - 平糸駅 - 別海駅 - 奥行臼駅 - 厚床駅
[編集] 接続路線
- 標茶駅：釧網本線
- 中標津駅：殖民軌道根室線（1937年まで）、厚床方面（標津線厚床支線）
- 厚床駅：根室本線
- 計根別駅：殖民軌道計根別線（1937年まで）、殖民軌道養老牛線（1961年まで）
- 上武佐駅：殖民軌道根室線（1954年まで）
- 川北駅：殖民軌道忠類線（1955年まで）
- 奥行臼駅：別海村営軌道風蓮線（1971年まで）
[編集] その他
[編集] 別表150号に該当する路線の名称
標茶線（標茶-中標津間）は地元では計根別線（けねべつせん）とも呼ばれ、現存する資料にも計根別線の呼称を使用するものもある。しかし鉄道省北海道建設事務所では標茶線の呼称を用いていたため、本項では標茶線を使用した。
[編集] 関連項目
[編集] 参考図書
- 中標津町史
- 中標津町五十年史
- 標津線の五十六年 彩雲鉄道
