梅小路蒸気機関車館
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梅小路蒸気機関車館(うめこうじじょうききかんしゃかん)は、京都府京都市下京区観喜寺町にある西日本旅客鉄道(JR西日本)が運営する蒸気機関車の保存展示施設である。
1972年10月10日、日本国有鉄道により日本の鉄道開業100周年を記念して京都市下京区にある梅小路機関区の扇形庫を活用して開設され、1世紀にわたり、日本の鉄道輸送を支え続けた蒸気機関車を貴重な産業文化財と位置づけ、その動態保存を目的とした日本初の施設である。1987年の国鉄分割民営化にともなってJR西日本が引き継いだ。また、この施設自体が、現役の車両基地(梅小路運転区)であり、蒸気機関車や嵯峨野観光鉄道所有のディーゼル機関車の検査・修繕も行なわれている。
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[編集] 施設
施設は、旧梅小路機関区の扇形庫及び転車台を活用した「蒸気機関車展示館」と、旧二条駅舎を移築した「資料展示館」からなる。
扇形庫は、1914年に建設された鉄筋コンクリート製のもので、2004年12月10日に5t電動天井クレーン(1915年完成)、引き込み線とともに国の重要文化財に、2006年にはJR西日本により旧二条駅舎(展示館)、保存する蒸気機関車などとともに、準鉄道記念物に指定された。
旧二条駅舎は、1904年に京都鉄道が本社社屋を兼ねて建設した日本現存最古の木造2階建和風駅舎で、景観に配慮しながら平安神宮を模して造られた。京都鉄道は1907年に国有化され、以後国鉄、次いでJR西日本の駅舎として利用されたが、1996年の山陰本線(嵯峨野線)二条~花園間高架化にともなって駅舎としての役目を終え、1997年に本館敷地内に移築・復元して玄関口として使用、内部は昔の切符売り場などを残し、資料展示館として活用している。1996年4月に京都市の有形文化財に指定されている。
扇形庫には、大正から昭和にかけて製造された国産蒸気機関車16形式18両(開館当初は16形式17両)が収容・展示されている。開館当初は、動態保存が原則でありC53 45とC51 239の2両を省き15両に車籍があったが、その後保存対象車両の見直しが何度か行われ2006年現在、動態保存機は7形式7両となっている。うち、5形式5両は現在も車籍を有し、2両(C57 1、C56 160)は、山口線「SLやまぐち号」や北陸本線「SL北びわこ号」など、本線上での列車牽引に供されている。また、館内展示用の動態保存機の牽引による「スチーム号」を館内の線路で運転している。
この展示運転線は、かつては車庫から北、現在大型車駐車場になっている敷地(ここには館内の休憩施設と公園があった)の北端に掛け延びていたが、旧二条駅駅舎の移築に併せ、現在の梅小路公園南端を嵯峨野線を潜り併走する形に変更された。
[編集] 配置車両の車体に記される略号
「梅」・・・梅小路を意味する「梅」に由来する。
[編集] 配置車両
[編集] 保存蒸気機関車
1976年に指定されていたC621を除く全車が、2006年、その車歴簿、保守用工具とともに準鉄道記念物に指定されている。
- 8620形(8630) - 動態
- 9600形(9633)
- B20形(B20 10) - 動態(2002年に開館30周年を記念、動態復元)
- C11形(C11 64)
- C51形(C51 239)
- C53形(C53 45)
- C55形(C55 1)
- C56形(C56 160) - 動態(車籍あり、本線運転可能)
- C57形(C57 1) - 動態(車籍あり、本線運転可能)
- C58形(C58 1)
- C59形(C59 164)
- C61形(C61 2) - 動態(車籍あり)
- C62形(C62 1)
- C62形(C62 2) - 動態(車籍あり)
- D50形(D50 140)
- D51形(D51 1)
- D51形(D51 200) - 動態(車籍あり)
- D52形(D52 468)
[編集] ディーゼル機関車
- DE10形 - 車籍あり、2両所属。
[編集] その他の車両
- オハフ50形(オハフ50 68 - 休憩室として利用。現在でも原型原色をとどめた現存する数少ない50系客車である)
[編集] 参考文献
- 交友社『鉄道ファン』1994年12月号 No.404 特集・梅小路蒸機の現役時代
- 1994年に梅小路公園の整備とC62 1号機入館を記念、保存各機の車歴。
- 高山禮蔵「梅小路も・の・が・た・り」1・2
- 交友社『鉄道ファン』1998年1月号~2月号 No.441~442
- 『梅小路90年史』(西日本旅客鉄道、2004年) ISBN 4777050718