改元

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改元（かいげん）とは、紀元を改め、紀年を再び元年から始めること。中国や日本など東アジアでは、紀年は皇帝や王、天皇の在位期間を基準に定められ、治世途中で再び元年から始めることを改元と呼んだ。年号を使うようになってからは、年号も同時に改められた。このため、改元が年号を変えること（改号）と同一視されることもある。年号使用以前について、正史では便宜上、「中元年」「後元年」など、「中」や「後」をつけて記録している。なお、帝王の退位により新帝王が即位すると、再び元年から始められ、一般的にこれも改元と呼ぶことがあるが、専門的には、治世途中の改元だけを改元とし、新帝王の即位による元年は称元（しょうげん）と呼んで区別することがある。

[編集] 改元の種類

改元はその理由を基準として、帝王の交代による代始改元（称元）のほか、吉事を理由とする祥瑞改元、凶事に際してその影響を断ち切るための災異改元、甲子・辛酉の年を区切りと見なして行われる革年改元に分類される。また改元する際、新元号の起点をどこに置くかが技術的に問題となるが、

改元が布告された時点でその年の元日にさかのぼって新元号の元年と見なす場合
改元の布告された日から後を（布告された日の始まりにさかのぼって）新元号の元年とする場合（即日改元）
布告の翌日から後を新元号の元年とする場合（踰日改元）
布告の年の年末までを旧元号とし、翌年の元日から新元号を用いる場合

に分けられる。時代によって時間の観念が異なる（特に時刻レベルで改元時点を確定する必要が生じたのは日本の「大正」改元以降のみである）ので確定は難しいが、日本の改元はおおむね1または2であり、「明治」改元は1、「大正」「昭和」改元は2、「平成」改元は3であった。また一世一元の制を布いた明代以降の中国では原則4を採っていた。国土の大きい中国の場合、布告の周知徹底には時間がかかったため、新元号の発表と同時に全土で改元を実施することは困難であり、4が現実に即していた。

これとまぎらわしい分類として、特に代始改元の場合、改元を即位の年に行う立年改元と、即位の年は先帝に遠慮して旧元号を用いその翌年に改元する踰年改元とがあった。踰年改元は儒教的な服喪の理念に基づいており、中国でも日本でも平時にはこの方式が採られていた。一方王朝の交代や先帝の廃位などによる改元の場合には、むしろ先代の権威を否定するために立年改元が行われた。日本で「明治」改元以降に立年改元が採用されたのは、「孝」の理念よりは天皇の交代をすみやかに国民に印象づけることが優先されたためである。

なお江戸時代後期の日本では中井竹山・藤田幽谷・石原正明・広瀬淡窓らが、改元と天変災異との関連性がなく、却って社会に混乱を招いているとしてこれを批判した。明治以後は日本でも一世一元の制が導入された。

現在の日本では元号法により皇位の継承があった場合に限り改めることが定められている。

**改元と主な改元事由**
改元	主な事由
慶長	天変地異などの災異のため
万延	江戸城火災や桜田門外の変などの災異のため
貞享	甲子革令
元治	甲子革令
文化	甲子革令