岩尾別川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岩尾別川(いわおべつがわ)は、北海道斜里郡斜里町を流れる二級河川である。名前の由来はアイヌ語で「硫黄が流れる川」という意味である。このため原語に近いイワウベツ川として標記されることもある。
目次 |
[編集] 地理
知床半島の中央、羅臼岳の西側斜面を源流とする。源流の一つは羅臼岳登山道沿いにある名水、弥三吉水である(標高900m付近)。本流の岩尾別川の中流には、岩尾別温泉が、また、知床横断道路(国道334号)と並行する支流の赤い川の流域には、日本有数規模の褐鉄鉱の巨大な露頭が存在する。
[編集] 産業
昭和初期から漁業と観光開発が進められている。現在、下流にはサケマス孵化場と知床五湖へ通ずる道道、中流域には岩尾別温泉、上流域には羅臼岳登山道がある。支流の赤い川では、昭和30年代まで鉄鉱石の採掘が行われたが、輸入鉱石の増加により採算が悪化し早々に撤退している。
[編集] 自然
流域の全域が知床国立公園に指定されており、川周辺ではエゾシカやヒグマなどの大型哺乳類、エゾシマフクロウなどの猛禽類(広義)が棲息するなど、豊かな自然環境が形成されている。
秋には、川と並行する町道からヒグマを撮影するための大型レンズの砲列が並ぶ。近年、撮影競争が過熱し、不測の事態も想定されることから、2004年にはクマよけ(人間よけ?)のための電気柵が設置された。
[編集] 災害
岩尾別川流域の地質は、源流が活火山である羅臼岳であるため脆く、しばしば土砂災害が発生している。1980年代には土石流の流下により、岩尾別温泉に至る町道の大部分が流出。温泉の宿泊客が孤立する騒ぎとなった。
[編集] トピック
第48代横綱大鵬は幼少の頃、近隣の岩尾別集落に居住していた時期がある。斜里町誌には、サケマス孵化場の前の岩尾別川でサケを取ろうとして、孵化場の職員に怒られるエピソードの記述が見られる。