失われた10年
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失われた10年(うしなわれたじゅうねん、英:The lost decade)とは、ある国あるいは地域の経済が約10年という長期にわたって不況と停滞に見舞われた時期のことを振り返って総称的に指す言葉。
- イギリスでは第二次世界大戦後の1945年 - 1955年頃を指す。
- ラテンアメリカでは1980年代の不況を指す。
- 日本ではバブル景気が崩壊した後1991年頃から2000年代初頭の10年余りの期間を指す。「複合不況」「平成不況」とも呼ばれる不況の時期である。
[編集] 日本
日本においては、信用収縮と在庫調整の重なったバブル景気崩壊後の急速な景気後退に、財務当局の失政(景気が回復基調に転じた時点での消費税率引き上げやゼロ金利政策の解除)、大手金融機関の経営の失敗(不良債権処理の先送り)など複合的な要因が次々に加わり不況が長期化した。銀行・証券会社等の大手金融機関の破綻が金融不安を引き起こすなど、日本の経済に大打撃を与え、大中小とわず多数の企業倒産や、従業員の解雇(リストラ)、大手金融機関の統廃合などが相次いだ。
また、団塊ジュニア世代が社会に出る時期であったにもかかわらず企業が採用を絞り込んだことから就職難が深刻化し、就職氷河期と呼ばれる状況が続いた。
一方でこの期間に、優良企業で有利子負債の圧縮が進展。高度経済成長末期から続いていた日本企業の過剰レバレッジ体質が改善され経営体力が強化された。
失われた10年については研究機関や学者などが多くの研究成果を発表しており、政府も内閣府が研究会を発足させ、2007年中に報告書を出すとしている。
[編集] 関連図書
- 『失われた10年の真因は何か』エコノミックスシリーズ 岩田 規久男・宮川 努 (編集) 東洋経済新報社 ISBN 4492394052 2003年
- 『複合不況—ポスト・バブルの処方箋を求めて』宮崎義一 中央公論社 1992年
- 『村上龍失われた10年を問う』NHKスペシャル 村上龍 / NHK出版 / 00/05/30