大気汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大気汚染(たいきおせん)とは、火山噴火などの自然災害ではなく、人為的な経済的、社会的活動によって大気が有害物質で汚染され、人の健康や生活環境、動植物に悪影響が生じる状態のことである。環境基本法第2条第3項に規定された「典型七公害」の一つ。
大気汚染の原因となる主な物質は、浮遊粒子状物質(SPM)や二酸化窒素(窒素化合物)、亜硫酸ガス(硫黄酸化物)、揮発性有機化合物(VOC)、ダイオキシンなど多岐にわたる。また、アスベストやスス、黄砂などの粉塵も大気汚染物質に含めるという考え方もある。
発生源は、自動車などの排出ガス、工場などからの排煙、廃棄物の焼却排ガスなどである。
[編集] 要因
大気汚染問題となる要因は大別して、発生源、気象要因がある。発生源要因は、煙突などの大気汚染の発生源そのものが汚染物質を含む。気象要因は発生源の風下側となるような風の存在、弱風・無風状態、接地逆転層の崩壊時流、拡散の過程で高濃度になる要因、地形要因はダウンドラフトなどの地形による煙の巻き込みの発生要因などがある。
[編集] 現況
1970年代まで、大規模な工場地帯や幹線道路沿いで大気汚染がひどかったが(特に大阪市は別名「煙の都」とも呼ばれた)。スモッグや光化学スモッグの発生によって多くの被害が出た。自動車などの排出ガスや工場などからの排煙の規制が進み、かつてほどのひどさはなくなっている。しかし、主要都市ではディーゼルエンジンが原因とされる大気汚染が改善されていないといわれ、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)などによるディーゼル自動車への規制(古い車の強制的な使用禁止と新車への買い替えを促す)が行われている。