光化学スモッグ
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光化学スモッグ(こうかがくスモッグ)は、工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素(揮発性有機化合物)が日光に含まれる紫外線の影響で光化学反応をおこし、それにより生成する有害な光化学オキシダント(オゾンやアルデヒドなど)が空中に停留しスモッグ状になることをいう。
日ざしが強くて風の弱い日に特に発生しやすい。夏に多い。光化学スモッグが発生すると人の健康に悪影響を及ぼすため、大気汚染として問題となる。
日本では1970年代をピークに減少傾向にあるが、ヒートアイランドなどの影響により増加している大都市地域もある。
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[編集] 発生しやすい気象条件
- 日中常に晴れ又は薄曇
- 朝方に北よりの弱い風が吹き、日中南よりの風に変わる。平均風速が秒速4m以下
- 日中24℃以上
- 9時から15時の間に3時間以上の晴れ間がある
- これらの条件は地域により異なる
[編集] 発生しやすい時期
- 5~9月
- まれに4月や10月にも
- 大気がよどんで視界が悪いとき
[編集] 影響
[編集] 人体に対する影響
- 目がチカチカする、異物感、流涙、痛み
- 喉の痛み、咳
- 皮膚の発赤
- 呼吸が苦しい(重症例)
- 手足のしびれ(重症例)
- めまい・頭痛・発熱(重症例)
- 意識障害(重症例)
- 嘔吐(重症例)
- これらは光化学スモッグ障害と呼ぶ
[編集] 植物に対する影響
- 光化学スモッグに限らず、酸化性の強いガス状物質は植物に悪影響をもたらし、葉が黄変し枯れ落ちたりする
- 花の色が変色する
[編集] 治療
洗眼やうがいを行い、シャワーを浴びるなどして皮膚も清浄することが望ましい。その後は清浄な空気の室内で安静にしていれば概ね症状は消失する。中等症例や重症例においては酸素吸入などが必要な場合があるので、内科等の医療機関を受診する。東京都など自治体によっては、こうした公害による健康被害の医療費(入院した場合)を助成している場合もある。詳しくは医療機関等に尋ねる必要がある。
[編集] 警報・注意報
光化学スモッグの危険度を示すもので、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上かつ気象条件などからみて今後もその状態が継続すると考えられる場合に注意報が発令される(なお、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上になりそうな場合に予報が発令される)。
光化学スモッグ警報は各自治体が独自の条件を設定して定めており、一般的には光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm程度を越した場合に発令される(気象条件等は注意報と同じ)。さらに濃度が高くなった場合に重大緊急報が発令される場合もある。
2002年には千葉県において全国でも18年ぶりとなる光化学スモッグ警報が出された。これは千葉県内では28年ぶりのことであった。
[編集] 初めての観測
1945年、アメリカのロサンゼルスで初めて観測された。そのため「ロサンゼルス型スモッグ」とも呼ばれる。