土方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
土方(どかた)とは、土木作業員あるいは建築作業員の事。主に日雇い労働者を中心に指す。場所によってドカチンとも呼ぶ。
土建屋(建設業者、建設業従事者)に関係する人々を指す言葉として古くから使われて来たが、土建屋と云う呼び方と共に差別用語及び放送禁止用語となっている。『上下関係差別を強要する傾向がある』のが理由とされている。
そもそも『○○方』という呼び方は、古来より役所やそれに勤務する役人を指す言葉として用いられ『火付盗賊改方』等)、むしろ高貴な印象が強かったので、建設業に従事する人々も誇りを持って『土方』と自称していた時代もあった。
しかし戦前や戦後の成長期に、建設業者や建設業従事者は所謂3K(きつい・汚い・危険)職場のイメージがついてしまい、その上一部の建設業者が暴力団との癒着や過重労働・『飯場』と呼ばれる劣悪な生活環境に耐えながら働く・犯罪者が捜査から逃れるため、身分を隠して働いている人が多い等という悪い印象が付いてしまい、「土方は(暴力団が多いので)危ない」「土方は山奥に閉じ込められて長時間労働させられる」というマイナスイメージから『土方』という言葉が差別用語として忌避されるようになったと思われる。
現在では大型工作機械を自由に動かしたり、緻密な計算と職人技術、何よりも純粋な成果主義と他の職業よりも高収入を得る可能性もある事などから、バブル景気崩壊後、サラリーマン・OL勤めを嫌った若者があえて建設業界に従事する物も多く、日本の優れた建設土木技術を支えているのは自分達と云う自信と誇りから、彼らの様な若い建設業・建設業従事者の中にはあえて『土方』(あるいは『ガテン』)と称する物も現れている。
最近では、IT業界で働いている人達が、安易な派遣や長時間、低賃金の労働現場に仕える作業員として、自らを卑下してIT土方と呼ぶことがある。