公衆衛生
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公衆衛生(こうしゅうえいせい、英Public Health)は、社会医学の一つ。
大学の教室の名称等で公衆衛生学と称される場合もある。
WHOによれば「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義される。
臨床医学が個人水準で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準で健康を取り扱うため、社会医学と呼ばれる事もある。例えば、生活習慣病対策・伝染病(感染症)予防・公害対策・上水道・下水道・食品衛生など社会保障の基礎となる分野について研究する。
類義語に衛生学がある。
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[編集] 歴史
近代の公衆衛生は、19世紀に英国のロンドンでコレラの流行が起こったときに、流行エリアを分析し、ある上水道や井戸を利用した人たちを中心に感染が広がっていたことから感染源を特定するに至ったこと(ジョン・スノウによる疾病地図の作成)に始まるといわれている。(当時はコレラ菌の検出には至らなかった)
明治の日本において「公衆衛生」に相当する概念としては、当時医学の諸制度はドイツに倣っていたことが多かったため、ドイツ流に「独Hygiene(衛生または衛生学)」が導入されていった。
太平洋戦争降伏後、連合国軍最高司令官総司令部のもと、アメリカ教育使節団報告書の勧告によりアメリカ合衆国の「Public health(公衆衛生)」が導入されることになり、全国の医学部に公衆衛生の講座が設置された。海外では公衆衛生を単独の学部として設置している大学も存在する。
「公衆衛生」と「衛生」が取り扱うことはほぼ同じとも言え、日本においては、戦前からあった「衛生」と戦後米国によって導入された「公衆衛生」とで大学の講座や学会名等で名称的な区分が存在しているだけともいえる。一応研究室での実験を用いてリスク要因を解析するような場合を「衛生」、保健統計や政策などに関わる場合を「公衆衛生」というような漠然たる区分もある。
[編集] 公衆衛生上最近のできごと
- BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)牛海綿状脳症又は伝達性海綿状脳症
- 重症急性呼吸器症候群(SARS Severe Acute Respiratory Syndromeの略)サースまたはサーズと発音する。新型肺炎。
- トリインフルエンザ(高病原性トリインフルエンザ、旧称家禽ペスト Orthomyxoviridae Influenza virus A)
- 2004年2~3月猛威をふるう。
- 関係府県の情報は、二転三転した。正確な情報を消費者に伝えることができなかった。
- 関係府県の情報の発表が後手後手に回った。BSEの反省を全く生かせていなかった。
- アスベスト問題 (石綿問題)
[編集] 部門
[編集] 主な施策
[編集] 関連項目
- 大学 - 医学部、歯学部、薬学部 - 公衆衛生大学院
- 衛生学 - 産業衛生学
- 細菌学(口腔細菌学)/ウイルス学/寄生虫学/真菌学/病理学
- 国立保健医療科学院
- 社会保障
- 世界保健機関/日本公衆衛生学会
- 細菌叢調査(細菌調査)/サーベイランス
- 医師/歯科医師/薬剤師/感染症専門医/インフェクションコントロールドクター/看護師/保健師/臨床検査技師/歯科衛生士
- 公衆衛生法
[編集] 外部リンク
- 全国の衛生・公衆衛生系研究室リンク (日本衛生学会)
- 日本公衆衛生学会
- 日本公衆衛生協会
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