三四郎
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『三四郎』(さんしろう)は、夏目漱石の長編小説。1908年、「朝日新聞」に9月1日から12月29日にかけて連載。翌年5月に春陽堂から刊行された。『それから』『門』へと続く前期三部作の一つ。
田舎から出てきた小川三四郎が、都会の様々な人との交流を経て成長する過程を描く。この三四郎という平凡な田舎者を通じて、当時の日本を批評。作中で三四郎と美禰子が出会った東京大学の心字池は、本作品の影響から「三四郎池」と呼ばれるようになった。
目次 |
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
熊本の高校を卒業し、大学に入学するために上京した小川三四郎。だが東京は、自分の常識とは全く違った世界であった。さまざまな人と出会い、三四郎は自分は三つの世界に囲まれていることを整理する。一つ目は、母のいる、故郷熊本。二つ目は、野々宮や広田先生のいる学問の世界。三つ目は、華美溢れる世界であった。
三四郎は、美禰子のいる三つ目の世界に心をひかれた。三四郎は美禰子に惹かれるが、美禰子は曖昧な態度を続けるのみであった。そして美禰子は「迷える子羊」(ストレイシープ)という言葉を三四郎に幾度となく投げかけ、ついには兄の友人と結婚してしまう。
[編集] 登場人物
- 小川三四郎
- 主人公。熊本から上京。大学一年生。
- 野々宮宗八
- 三四郎の先輩。理科大で研究生活を送る。
- 佐々木与次郎
- 三四郎とは大学で出会い、友人となる。
- 広田
- 英語教師。
- 里見美禰子
- 自由放任主義で育った都会の女性。三四郎を翻弄する。
- 野々宮よし子
- 野々宮の妹。
[編集] モデル
美禰子は、漱石の弟子である森田草平と心中未遂事件を起こした、婦人運動家平塚雷鳥がモデルである。野々宮のモデルは、同じく弟子である、物理学者の寺田寅彦である。さらに、深見画伯という、浅井忠をモデルにした人物もいる。
[編集] 映像作品
- 文学ところどころ『三四郎』(1954年、日本テレビ系)
- 『三四郎』(1961年、NHK、出演:石濱朗、八千草薫、松村達雄、小池朝雄)
- テレビ文学館 名作に見る日本人『三四郎』(1968年、MBS系、出演:橋爪功、谷口香、杉裕之、松村達雄、笹岡勝治、三谷昇、平木久子)
- 銀河テレビ小説『三四郎』(1974年、NHK、出演:沖雅也、千秋実、篠ヒロコ、林ゆたか)
- 文學ト云フ事『三四郎』(1994年、フジテレビ系、出演:大沢健、井出薫、北島道太)