ユウナ・ロマ・セイラン
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ユウナ・ロマ・セイランはテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の登場人物(CV:野島健児)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 人物
オーブ連合首長国の五大氏族であるセイラン家の跡取りで、宰相ウナト・エマ・セイランの息子。代表首長カガリ・ユラ・アスハの婚約者である。ただし、これについてはカガリ本人の承諾がないまま勝手に決められた。また、劇中のオーブ関係者の言動から、支持されていたとは言い難いが、ウズミ・ナラ・アスハが生前に定めたものであり、ひっくり返すことは困難だったらしい。また、後ろ盾のないカガリとオーブ統治の大義名分の欲しいウナトとの利害の一致もあったようだ。
[編集] 劇中の活躍
ユニウスセブン落下事件を受けて大西洋連邦が中心となった同盟条約に対し、中立の維持を主張するカガリに他の首長と共に圧力をかけ、同盟条約の締結を承諾させる。それに伴いミネルバがオーブを出航した際、その情報を連合軍側に漏らした。これは大西洋連邦を陰で牛耳っていたロード・ジブリールとの繋がりがあった為で、彼がヘブンズベースから逃亡してきた際は受け入れ、プラントにより公表されたロゴス関係者の中にはセイラン家の名前も存在した。
大西洋連邦その他地球連合加盟各国との同盟条約世界安全保障条約の締結と時を同じくして、カガリとの結婚式を執り行うことを決め、当日は盛大なパレードを行なうが、結婚式の最中にフリーダムで乱入してきたキラ・ヤマトにカガリを拉致されてしまう。この時、降下してきたフリーダムを見てカガリの背後へ隠れた上、花嫁を見捨てて自分だけ逃走するという大失態(カガリはフリーダムをよく知っており、恐怖よりも驚愕の方が強かった事から逃走しなかった)を晒した。これを契機に登場する度に器の小ささ、度量の低さを強調するような演出がとられることとなり、ユウナのキャラクター性が初期のものから変化することとなる。
その後、地球連合軍とともにザフトを討つべく、空母タケミカズチを旗艦とする大艦隊を率いて黒海に向かい総司令官として指揮を執るが、目的地へ向かう航海中に船酔いをする、ネオ・ロアノークの甘言に乗せられてまんまと捨て石の役目を負わされる、戦う兵士の命を軽視するような発言をする、等の情けない描写が多く、周りの軍人から白眼視され、軍幹部であるトダカ一佐から、「実際の戦争は(ユウナが)得意なゲームとは違う」と強く咎される事もあった。しかしながら空母は通常、敵の艦隊と距離を置いて戦うことが定石であり、ユウナの発言は軍事学的に正しかったと推定される。実際、敵艦隊に接近を続けたオーブ艦隊は壊滅した。
ロード・ジブリールをオーブに匿ったとしてギルバート・デュランダルから引渡しを要求された際には、状況を全く理解せずに「そのような人物はオーブ内に存在しない」という解答を発表。この発表がユウナ個人の判断で行われたかどうかは不明であるが、少なくとも彼は以前アークエンジェルを匿った時と同じ様に撤退してくれると思い込んでいた(小説版ではウナトも含め、首長ら全員が大丈夫だと思いこんでいた。更に全員真っ先に逃げ出した)。しかし、匿っている人物の重大性で以前のアークエンジェルと全く異なる上、存在の証拠は十分把握されており、以前は一部隊からの申し入れであったのに対し今回はプラント国家としての正式な通告であり、上記を口実としてザフトの攻撃が開始される。この際、民間人の避難の不徹底、また満足な迎撃体制を整えられたかった等、ユウナをはじめとしたオーブ政府の対応の不味さが目立った。この時ユウナは国軍を指揮する立場にあったらしく、国防本部で軍の指揮をとっていたが、指示を仰いだソガ一佐に責任を押し付ける等(ここに至るまで誰一人として命令がなければ何もしないというのも恐るべき点であるが)またしても人徳のなさをさらすような行動が目立った。国防軍上層部が事実上ユウナを無視したため、彼は一人で全線の指揮を執ることになった。
その後、アカツキで応援に駆けつけたカガリを、自分のために戻って来てくれたと考えたのか、あるいは全ての責任をカガリに押し付けられると打算したのか、(贋物扱いした事も無かったかの様な変わり身にソガ一佐は最早呆れていた)目を輝かせながら大喜びした。そしてカガリをオーブ国家元首として認めた瞬間、国家反逆罪で逮捕・拘束の命令が出され、即座にその場に居た軍人総掛かりで拘束された。カガリにジブリールの居場所について尋問されるが、ユウナ本人は全く認知していないと主張し、またカガリに自分の扱いがあんまりであると訴えるが、逆にカガリに唾棄され、さらに殴られる事となる。
その後、拘束され避難用のシェルターへ送られる事となった。シェルターの入り口付近で衛兵を押しのけて逃走を図ろうとしたが、その時上空で撃墜されて落下してきたMSグフイグナイテッドに押し潰され死亡(最後の最後まで自分の思うようにならない世界がある事を分からずにいた)。自業自得とはいえ、あまりにもあっけない最期であった。また、このときのシーンが曖昧な表現であった為に生きているかもしれないという説もあったが、後に演じていた声優野島健児本人のコメントで、ユウナはMSが落下してきた際、確かに死亡している事が判明している。
[編集] ユウナ・ロマ・セイランの評価
劇中においてのユウナ・ロマ・セイランはアスラン・ザラ等への高圧的で嫌味ったらしい態度や、結婚式等で見せた胆力の無さ、そして戦場においての自己保身や私欲を優先する人格の小ささ、軍事的知識・判断力の欠如など無能さや傲慢さを臭わすような数々の言動、そしてトダカ一佐らオーブ関係者から嫌悪の対象とされていた事など、徹底的な小物として描かれた。しかし軍指揮については、艦隊戦ではミネルバを相当に苦しめており、数十機のMS総がかりでいつまで経ってもインパルス一機を突破すらできない軍にも問題があるという声もあり、一概に無能とは呼びがたいとの見解もある。
また無能とされた彼の言動・判断の一部には(説得力に幾分か欠けていたが)正しさを内包するものもあり、また彼は登場当初は比較的理知的な人物に描かれていたのが、物語が進むにつれ、ギャグ的な判断力や思考力の欠如を示す描写が多くなり、登場当初と物語終盤では彼のキャラクターにギャップがあり、ユウナのキャラクター性が一貫していなかったという側面もある。こうしたことから「ストーリーの都合上からキャラクター性を変更したのではないか」と、彼の劇中での扱いは理不尽であるとする声もある。
また、彼はオーブに多大な戦災をもたらした「オペレーションフューリー」のオーブ側A級戦犯とみられがちである。しかし客観的に俯瞰してみれば、オーブが同作戦で戦災を被った責任はセイラン親子には無い。責任は世界安全保障条約に基づいて当然助太刀に来るべき立場でありながら来なかった地球連合の他の条約批准各国の怠慢、条約不履行(というか不可解な沈黙)にある。デュランダルの演説で反ロゴス同盟軍が結成されたことにより条約が失効していた可能性も考えられるが、ならばその場合はセイラン親子とオーブのみがジブリールを匿う必要もジブリールに逆らえない理由も同時に消滅していなければならない。 世界安保条約は大西洋連邦をはじめとする地球連合各国とオーブの間に結ばれたものであり、ロゴスやジブリールと結んだわけではないからである(ただし、セイラン親子がロゴスメンバーであった可能性も考慮すべきではあるが)。
そしてなにより、ユウナを拘束した時点でカガリは、ジブリール引き渡し宣言をザフト側に対してせねばならなかったはずなのだが、彼女は「戦闘命令」を下している。ユウナが「そのような人物はオーブ内に存在しない」と発表している以上、ジブリールの身柄を確保しない限り、宣言してもザフトは信じず攻撃を停止しないと判断とも考えられる。
[編集] ユウナ・ロマ・セイランの逸話
[編集] 拷問を匂わせる描写
物語終盤のオーブ攻防戦においてカガリの命によりユウナの逮捕、拘束がされるシーンにおいて、数名の軍人に顔が変形するほど殴られた末、椅子に縛り付けられ拘束された挙句カガリにさらに殴られるという拷問行為を匂わせる描写があり、その是非について一部ファンの間で話題となった。
[編集] 婚約の矛盾
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』に設定として存在するオーブ侵攻後の五大氏族はこのようになっている。
- オーブの五大氏族はウズミの自爆により、クサナギで宇宙に上がったカガリと既に宇宙に上がっていたサハク家を除き、全滅した(アスハ家(つまりカガリ)とサハク家(ロンド・ミナ・サハク)は五大氏族として残っている)。
- 停戦後、新たにセイラン家等を含めた有力者三家が五大氏族に昇格した。
この設定と照らし合わせると
- 連合によるオーブ侵攻の前にウズミがなぜカガリを当時五大氏族でもないセイラン家に嫁がせようとしたのか。
- 1でない場合、ウズミの死後五大氏族に昇格したセイラン家と婚約したのならば、何故アスハ家の当主であるカガリがユウナとの婚約のことを知らないのか。
という矛盾点が浮き彫りとなる。放送が終了した現在もこれに関しての公式側の見解は出ていない。ただしロンド・ミナ・サハクはオーブに帰ろうとする意思が見られなく首長の座を捨てたとも考えれる。△ASTRAYにおいてはセイラン家がサハク家よりの勢力である事が明かされウズミが婚姻によってセイラン家を取り込みサハク家の勢力をそごうとこの婚姻を進めた可能性がある。また△ASTRAYではセイラン家との婚姻はカガリの意に反した政略結婚を思わせる描写が存在している。