カガリ・ユラ・アスハ
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カガリ・ユラ・アスハ(Cagalli Yula Athha)はアニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の人物(CV:進藤尚美)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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個人データ
- 人種:ナチュラル
- 生年月日:C.E.55年5月18日
- 星座:牡牛座
- 血液型:A型
- 年齢:16歳⇒18歳
- 身長:162cm⇒164cm
- 体重:54kg⇒48kg
- 趣味:体力づくり
経歴
機動戦士ガンダムSEED
オーブ連合首長国の前代表首長ウズミ・ナラ・アスハの一人娘。「姫」と呼ばれる立場ではあるが、性格は直情的で行動派。一本気で曲がったことを嫌い、口よりも先に手が出るタイプである。
養母に関しては、カガリが幼い時に死去をしたことが小説版で描写をされており、養父であるウズミまたはその周りの者たちによって育てられた様である。
中立コロニーヘリオポリスのモルゲンレーテ工場内で地球連合が新型機動兵器を開発しているという事実を確かめるためヘリオポリスに赴いたところ、キラ・ヤマトと出会う。
ザフト軍クルーゼ隊襲撃時に、モルゲンレーテ工場内で新型機動兵器Gを目撃し、中立の旗を掲げながら連合のモビルスーツ開発を黙認する父の行為を裏切りと捉える。戦闘でコロニーの崩壊が避けられない状況になり、キラに無理矢理シェルター内に避難させられる。
無事オーブに帰国を果たすも、あくまで中立の立場を貫く父親に反発し、世界をその眼で見るため国を飛び出す。
その後は護衛のオーブ陸軍第21特殊空挺部隊レドニル・キサカ一佐と共に彼の故郷である北アフリカに行き、そこでレジスタンス「明けの砂漠」に加わり、対ザフト抵抗活動を続けていた。
そんな中、ストライクとその母艦アークエンジェルが地球に降下し、キラと再会する。アークエンジェルと共にアンドリュー・バルトフェルドの北アフリカ駐留部隊を退けた後は、押しかけ同然でキサカと共にアークエンジェルに同乗する。相手がナチュラルであろうとコーディネイターであろうと常に自然体で接するカガリに、キラの心も癒された。数度スカイグラスパーで戦闘にも加わっている。
途中、ザフト軍の攻撃により機体に被弾したカガリは無人島に漂着し、そこでアスラン・ザラと出逢った。
無事アークエンジェルに救出された後、オーブ近海での戦闘中アークエンジェルの危機を救うため自らの素性を告白し、満身創痍のアークエンジェルをオーブに秘密裏に入国・寄港させ、艦を降りる。
オーブ近海戦におけるキラとアスランの死闘の後、キラの安否を確認するため現地に飛んだカガリは焼け爛れたストライクの残骸と意識不明のアスランを発見する。目覚めたアスランからキラと親友であったこと、それでも殺し合わなければならなかった顛末を聞き、カガリは常にウズミが口にしていた「憎しみの連鎖」を目の当たりにする。
一度はキラの仇として憎んだはずのアスランに、自分の身に着けていたハウメア女神のお守りである首飾りを贈り、もう誰にも死んでほしくない、と告げた。
その後、アラスカ戦を生き抜き地球連合軍を離脱したアークエンジェルがオーブに再度秘密裏に入国・寄港した際、キラと再会、キラの無事をその眼で確認し、涙した。
ザフト軍対地球連合軍の戦闘状況が膠着化する中、地球連合はオーブに同盟締結を強要する。ウズミは自国の一時の安全より世界平和への理念を選び、要求を拒否する。一度はキラのフリーダムやアスランのジャスティスの加勢もあって連合軍を退けるも、再度の連合軍の侵攻の際にはウズミはカガリたちをマスドライバー「カグヤ」で宇宙へと脱出させ、その後施設を破壊、オーブと最期を共にした。
カガリは父との最後の別れの際、手渡された一枚の写真とウズミの言葉により自分とキラが双子の兄妹(姉弟)であったことを悟る(正確にはカガリは母体の子宮で、キラは人工子宮によって生まれた子供である。カガリが誕生した後、キラを人工子宮から取り出して、子宮違いの双子になった。後に彼女は自分が姉であると主張していたが、かなり特殊な出生であるため、実際には不明である。現在は公式に「姉弟」とされている。なおSEED DESTINYの小説版では”きょうだい”と記述をされている)。
その後オーブの遺志を受け継ぎ、戦艦クサナギに搭乗。亡き父への想いを胸に艦の指揮に携わり、アスランとも心を通わせる。
最終決戦である第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では自らストライクルージュを駆りキラやアスランと共に戦場に赴く。戦闘中アサギ・コードウェル、ジュリ・ウー・二ェン、マユラ・ラバッツ等の死を目の当たりにし、SEEDに覚醒した。
最終局面では、ジェネシス中枢部でジャスティスの自爆装置を作動させ、自らもパトリック・ザラの息子である責任を負って死のうとしたアスランを説得してストライクルージュで救出し、共に脱出を果たしている。
その後、トリィに導かれ、宇宙空間を漂っていたキラも救出している。
戦後、三隻同盟のクルーらと共にオーブ連合首長国に帰還をする(クールの大半は亡命をする。ただ、一部のものはオーブのものであった。)。キラ、ラクス、アスランと共に夕食を食べていたり、マルキオ邸の子供たちと遊んでいる姿も見られた。
ゲーム内での描写
GBAのソフト、「機動戦士ガンダムSEED 友と君と戦場(ここ)で。」では、
- 父親のことで落ち込んでいるアスランのためにロールキャベツをご馳走して励まし、ミリアリアとは逆で見た目は問題だが味は美味しいという一風変わった料理の腕前を見せる。
- AA内の食堂で食事をしているときに、カガリの食事の際の身のこなし方に上流階級特有の高貴さが漂っているとフレイに気づかれ、カガリの正体はお嬢様ではないかと疑われる。
- カガリの趣味は体力作りと知ったキラの挑発(?)に対し、腕相撲勝負を挑んでキラに勝利する。
- ドサクサに紛れてお尻を触られ、キラと共に犯人探しをする。犯人(?)は、数日間「ロリコンスケベオヤジ」として、後ろ指を指される事に成る。
など、彼女に関するサブエピソードが数多く製作されている。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
戦後は故国の復興のためオーブに戻り、ウズミの後継者としてオーブ連合首長国代表首長及びアスハ首長家当主となった。
C.E.73、再び地球・プラント両陣営で不穏な空気の漂い始める中、カガリは護衛としてアレックス・ディノ(アスラン)を伴い、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルとの極秘会談の場に臨むため、L4に新設されたプラント「アーモリーワン」を訪れる。そこで地球連合軍特殊部隊による破壊活動に巻き込まれてしまい、そのまま緊急避難としてザフトの新造艦ミネルバに搭乗する。
ミネルバ搭乗後、二年前の地球軍のオーブ侵攻作戦時に家族を失ったシン・アスカと出会い、オーブの理念について対立するが、自身の意見を主張することが出来ず、自室にて涙するなど、国家元首としては幼い面を見せる。その後も、ミネルバにて顔を合わせる際には、シン・アスカに対しては、伏し目がちな対応が目立っていた。
その後起きたユニウスセブン落下テロをきっかけに、前大戦以来衰退の途を辿っていたブルーコスモスが息を吹き返し、再び開戦の気運が高まる中、カガリとアスランはミネルバによってオーブに送り届けられる。プラントに向かうアスランとの別れの際には彼から指輪を贈られ、以来(ユウナとの結婚式以外)常にそれを身に着けるようになる。
混迷の深まる世界情勢の中、ウナト・エマ・セイランなど首脳陣からオーブの取る姿勢の決断を迫られるカガリだが、まだ若輩の上政治家としての経験にも乏しく、感情や理想論が先走りがちなその性格が災いして代表首長に相応しい政治判断を何らできなかった。結局は実質的に政治を執り仕切っている宰相ウナトに逆らうことができず、大西洋連邦との同盟締結、ウナトの息子ユウナ・ロマ・セイランとの政略結婚も半ば強引ながらも認める。
結婚式の最中突如出現したフリーダムに拉致(連れ去り)され、アークエンジェル内で説得を受けた以後はアークエンジェルに搭乗することになる。
ミネルバと地球連合・オーブ同盟軍の戦闘にキラと共に幾度も介入してオーブ軍に停戦を呼びかけるが、その声は届かず、遂にはオーブの理念を理解する軍人トダカ一佐も空母タケミカズチと共に戦場で散る。しかし彼の遺志を継いだアマギ一尉たちはアークエンジェルに合流し、カガリは亡きウズミの、そして自分自身の理想を実現するための新たな支えを得た。
その後、地球連合軍によるベルリン侵攻の際には自らストライクルージュで出撃して生き残った市民を攻撃からかばい、フリーダムがインパルスに撃墜された後にはパイロットのキラを救出するなどして活躍する。その後はオーブに戻り、そこでザフトから脱走したアスランと再会、お互いの気持ちを確認し、和解する。
暫くしてロード・ジブリールがオーブに匿われていることを知るが、ザフトからの引き渡し要求に対して、オーブ政府のセイラン首長家は『そのような人物は存在しない』という茶番的な回答をしてしまう。
結果としてこれが侵攻の免罪符となり、ザフトのオーブ侵攻という事態を招く。再び戦火に焼かれんとするオーブを見て、アークエンジェルに配備されているスカイグラスパーで強引に出撃しようとするが、レドニル・キサカとエリカ・シモンズの二人に制止され、ウズミの遺言の存在と渡すものがあると告げられ、黄金のMSと共に封印されていた父ウズミ・ナラ・アスハの遺言を聞く。
そして、そのMSアカツキの封印を解き、キサカのムラサメ隊と共に出撃する。回線で司令部に呼びかけ、ユウナ・ロマ・セイランを国家反逆罪で拘束すると共にオーブ全軍を指揮下に置き、劣勢を極めたオーブ国防軍を見事に立て直すことに成功した。
戦闘終結後は、オーブ連合首長国内閣府内で全世界に向けてTV中継・演説をするが、途中ザフト(プラント)による妨害などを受ける。その後復旧をしてラクスによる演説へと替わる。
ザフト軍との戦いはオーブ軍、旧クライン派の同盟軍に任せ、自らは情勢的に不安定であるオーブ本国に残り、国家元首として国を纏めることを選んだ。
アスランとは、40話或いは45話から指輪を外しているのが見られるが、45話でのアスランの台詞から、二人の関係は、もう指輪というモノに頼らなくとも大丈夫なほど、精神的な絆が強まっているものと思われる。しかし一時的とはいえ再びアスランと離れることになり、メイリンにアスランのことを頼むと言ったものの、人知れず涙を流してしまう。
戦後復興では、戦闘中に行政府のシェルターが崩壊した事で多数の政府要人が生死不明になり、それによる行政機能が麻痺するという事態(政権崩壊)が起きていたが、生き残った者達をまとめ上げ、臨時政権を組閣をして尽力している。またデュランダルの提唱する、「デスティニー・プラン」に対しても明確な反対をいち早く表明する。
「デスティニー・プラン」反対のときには、同じく反対をしたスカンジナビア王国の国王と会談などを行っている描写などがあり、オーブの代表首長として、自身の行うべきことを理解し始めていた。
メサイア攻防戦後、C.E.74年にラクス・クラインによる仲介によってプラントとの停戦協議合意時のプラント臨時評議会代表との会見では、かつての養父(ウズミ・ナラ・アスハ)を彷彿をさせる強い意志と落ちつきが垣間見れるようになっていったことが小説版では描写されている。
「アスハ首長家の人間という理由で、国民が盲目的に支持しているに過ぎないのでは」という声もあり、事実序盤は政治的手腕の未熟さや、感情的な発言が目立ち、戦争への流れとめようとする声は、オーブには届かなかった。しかしその真直ぐで誠実な人柄が周囲の人間や多くのオーブ国民を魅きつけていたことは事実であり、キラたちアークエンジェルのクルーの支えもあり、苦難を乗り越えることでカリスマ性を発揮するようになっていき、オーブ国防軍に呼びかける姿も堂々たるものになって行く。ザフト軍のオーブ侵攻に際しても、カガリが呼びかけることで、全ての兵士が忠誠を示し、士気を取り戻す描写が見られた。
MSパイロットとしては、シンに「たいした腕ではない」などと言われていたが、キラや連合のエクステンデッドをも撃破するほどパイロットとして急成長を遂げているシンからの視点での発言であり、SEEDを発現させずとも、フリーダムやジャスティス同様並みのパイロットでは扱いきれないであろう高スペック機であるアカツキを見事に乗りこなし、襲い掛かる敵機を次々と撃墜しているのを見ても、並みのパイロット以上の腕は身に付けているようである。戦闘後のオーブ国内の復興や、「デスティニー・プラン」への対応でも、リーダーシップを発揮して働いている姿が見られる。