モロコシ
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モロコシ(蜀黍、唐黍、ソルガム、学名Sorghum vulgare)は、イネ科の一年草の植物・穀物。熱帯アフリカ原産。熱帯、亜熱帯の作物で乾燥に強く、米、コムギなどが育たない地域でも成長する。主要な栽培食物のひとつであり、穀物としての生産面積では世界第5位である。日本栽培されているものの大半は飼料として用いられている。雑穀の一種として販売される場合には「タカキビ」と呼ばれることが多い。中国名は高粱(こうりゃん、カオリャン)で、白酒(パイチュウ、中国酒の一種である蒸留酒)の原料ともされる。
草丈は、野生種でおおむね3mに達するが、栽培用品種では1.5m程度のものが多い。葉も長さ1m以上で幅10cm程度になり、茎は太さ3cm程度で心の詰まったものとなっている。
夏になると茎の先端に穂が出る。穂は節が10程あり(節は必ずしも明瞭ではないが、複数の穂枝が出ていることから逆に見分けられる)、各節より6本程度の枝が放射状に出ている。各枝は更に数十に枝分かれしており、最終的には一つの穂で3000程の小さな穂を付ける。なお、実の千粒重は25g程度。
2002年時点の世界生産量は5450万トン、アメリカ合衆国 (17.2%)、ナイジェリア (14.1%)、インド (13%)の順であるが、地域別に集計するとアフリカ州、アジア州、北アメリカ州の順となる(FAO Production Yearbook 2002)。
現在の栽培種としてのモロコシは、5000年ほど前にエチオピアで野生種の栽培から発展してきたものと考えられている。
モロコシを主食として用いる場合、その蛋白質中のリシンの少なさとロイシンの過剰に注意する必要がある。特に後者は結果としてビタミンB3(ナイアシン)の欠乏症である、ペラグラを引き起こすことがある。
日本語では地方により、キビ・モロコシ・トウモロコシ(方言によっては「トウキビ」とも)の語が指す植物種の間に相違がみられる。
[編集] 関連項目
- 焼畑
- 高粱酒