ペナントレース やまだたいちの奇蹟
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ペナントレース やまだたいちの奇跡(ぺなんとれーす - のきせき)は、週刊少年ジャンプにて1991年25号から94年3・4合併号まで連載されていたこせきこうじの野球漫画。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
野球が大好きだがド下手な山田太一(以下 たいち)は、少年時代から憧れたセントラル・リーグのお荷物球団・アストロズに入り、三原脩と優勝を目指す事を夢見る。そんな彼の闘志が、アストロズに奇跡を呼び起こす・・・。
[編集] 登場人物
[編集] アストロズ
- 山田太一(やまだ たいち)背番号96 右投げ右打ち
- 本作の主人公。野球は全くダメだが三原監督に憧れ、アストロズを優勝させるという幼い日の夢を叶えるため入団テストを受けて強引にプロ入りする。入団契約金は10万円。
- 驚異的な動体視力と体の柔軟性を持つ。小学生並みの小さな体と腕の短さを補うため、特注の長いバットを使用している。緩急をつけた配球に弱いが、ここぞというチャンスは確実に掴む。
- ポジションは遊撃手だが、後に投手としての才能も開花する。試行錯誤の末、アンダースローで決め球は「びりびりボール」と名づけたパームボール。
- あきらめることを知らずひたすら努力を重ねて成長していく、純粋なる野球バカ。
- 山田泰二(やまだ たいじ)背番号18 右投げ両打ち
- たいちの双子の弟。兄とは似ても似つかない。甲子園を制した実力派投手として本人は読売ジャイアンツを希望するがドラフトの抽選でアストロズ入り。
- アストロズを優勝させたら自由契約にするという三原との約束で入団したので、基本的に他人とは馴れ合わないでいる。
- 潜在能力を次々と覚醒させて成長を続けるたいちに、内心では焦りを感じている。
- 三原脩(みはら おさむ)背番号60 右投げ右打ち
- アストロズの監督。42歳。妻と息子と娘がいる。現役時代はやる気の無い選手たちの中、ただ一人無謀とも言える闘志あふれるプレーで「火の玉男」と呼ばれ、試合を観戦していた幼い山田兄弟に強烈な印象を与えた。試合後、三原にサインをもらった時に三人でアストロズの黄金時代を作ろうと言われ、たいちはずっと三原を神様のように思っている。
- 36歳の時、ホームスチールの際にアキレス腱断裂で入院。引退を覚悟したが入院中に山田兄弟との再会で自信を取り戻し、復帰後は打点王のタイトルも取った。
- 選手兼監督として現役復帰。三原脩とは別人。
- 八木沼純(やぎぬま じゅん)背番号1 右投げ左打ち
- アストロズの主砲。3年前ドラフト1位で入団したものの、やる気の無い選手たちに染まってしまって「今世紀最悪の四番打者」と言われる練習嫌いの遊び人だった。
- 一軍対二軍の紅白戦でわずかに残っていたプライドを刺激され、いち早くたいちに感化されて名実共にアストロズの中心選手に変貌を遂げる。オープン戦ではたいちと四番打者と三塁手の座を争い、シーズン開幕後は三番・三塁手でほぼ固定しているチームリーダー。
- たいちの全く根拠のない自信を目の当たりにすると、時々ジンマシンが出る体質。
- 平田昭彦(ひらた あきひこ)背番号82→19 右投げ右打ち
- 六大学野球で東京大学を三位に引き上げた司令塔、司法試験にも通った東京大学法学部卒の秀才。三原のプレーに憧れてアストロズ入団。八木沼とは同期。
- たいちの才能に気がつきあれこれとサポートする気のいい男。非力で長打は期待できないが、相手を研究し配球を読んで打つのを得意とする。
- 遊撃手だったが捕手に転向。背番号19は現役時代の野村克也にちなんで、三原が開幕前に変更した。
- 大山慎一郎(おおやま しんいちろう)背番号31 右投げ両打ち
- 甲子園では泰二にホームランを打たれて負けた投手、山田兄弟と同期でドラフト3位で入団した。
- 本気を出すのはかっこ悪い、アストロズなら夜遊び三昧で練習しなくても天性の才能だけで一軍で投げられると甘い考えで入団したが、疲れ果てたたいちに外野スタンド上段まで飛ばされる球質の軽さを思い知らされて野手に転向した。
- たいちに感化された後は、たった一晩で左打席のスイングをマスターして両打ちで活躍。シーズン開幕後は二番・二塁手。
- 試合中彼だけはヘルメットも帽子も被っていない。誰が相手でも容赦ないツッコミを浴びせる。
- トム・ブラウン 背番号4 右投げ右打ち
- 本名はトマス・ブラウン。強肩が自慢で完璧に日本語を話せるアメリカ人外野手。
- 少年時代は「黒い稲妻」と呼ばれたニューヨーク・メッツのブルーベリー選手(ダレル・ストロベリーがモチーフ?)に憧れ、ブルーベリーが監督となったメッツに入団。体格に恵まれずひたすら努力を重ねた過去は、八木沼に「アメリカ版山田太一」と評される。
- 努力の末に外角低め打ちを会得したが、メジャーリーグでの公式出場記録は代打で起用されたキャッチャーゴロの一打席のみ。マイナー落ちしてそのまま立ち直れずクビになり心を閉ざしていたが、日本に来てまで野球がやりたい本心を三原に看破された。
- シーズン開幕後は五番・左翼手でほぼ固定。
- 二階堂進(にかいどう すすむ)背番号7 右投げ右打ち
- ど田舎の低レベルな投手の球を打って場外ホームランを連発した怪力の巨漢。それに惚れ込んだスカウトが詳しく調べもせずに入団させてしまった。
- 入団した年のオープン戦でチンピラにからまれた球場のアルバイトの女性をかばってチンピラに重傷を負わせ、かけつけた警官も負傷させて逮捕された。3年の刑期を経て出所したばかり。助けられた女性は恩義を感じて刑務所にたびたび面会に訪れ、服役中でも野球のことしか考えていない二階堂を見て必要以上に責任を感じ、出所後は応援に来るようになった。二階堂は彼女を邪険にあしらっているが、嬉しがっているのは誰の目にも明らかである。
- 変化球は苦手で、球種を問わず「ぐにゃぐにゃする球」と一くくりに認識している。シーズン開幕後は一番・一塁手でほぼ固定。
- 矢島英治(やじま えいじ)背番号5 右投げ右打ち
- 心臓に持病を持ち、入団以来6年間ずっと本気を出さずに一軍レギュラーだった外野手。家族はいない。
- たいちに感化され全力を尽くし、シーズン序盤のプレー中に倒れて選手生命を絶たれた。現役復帰はできないが、三原の計らいによってシーズン終了まで一軍選手登録は外されていない。
- 現役最後の打席直前、たいちと一緒にアストロズの黄金時代を築くという約束を交わし、極度の打撃不振に陥ったたいちを救うため、打撃コーチ兼任選手という形で復帰する。たいちは不振脱出のヒントをくれた矢島に絶対の尊敬と信頼をおいている。
- 物静かでほとんど表情は変わらないが、時々病院を抜け出して不振のたいちの様子を見たり、再び倒れて入院するまでたいちの特訓に付きっきりだったり、手術後で絶対安静でも病院を脱走してタクシーでシーズン最終戦に駆けつけたりと、文字通り野球に命を懸けている。
- 浅見竜太郎(あさみ りゅうたろう)背番号8 右投げ右打ち
- シーズン中のトレードで広島東洋カープからアストロズに移籍してきた外野手。北別府学と同じ、都城農高出身。
- 才能はあるものの驚異的なお人よしで気が弱く、実力を発揮できなかった。酒を飲むと強気な人格に変わる。
- 和久井諒介(わくい りょうすけ)背番号21 右投げ
- 1年前にドラフト1位で入団した投手。甲子園で8勝をあげ将来を期待されていたが、昨シーズンは酷使されて肘を故障してしまって一勝もできず二軍落ちして絶望を味わった。復帰の目途は立っていないが今シーズン後半から一軍登録された。
- 投手にも挑戦したがっているたいちに四六時中付きまとわれては殴る蹴るの暴行を繰り返し、ついに根負けした後は県立海空高校野球部員山下たろーくんの辰巳亮介を思わせる暴力的かつ協力的な言動で接する。一方で、急激な成長を続けるたいちと自分自身を比べて人知れず悩む泰二を精神面で支える。
- 後に自らも精神的な壁を乗り越え、リリーフエースとして復帰。
[編集] 他球団の架空選手
- 相原誠(あいはら まこと)
- 阪神タイガースの投手。矢島とは高校時代にチームメイトとして甲子園を制覇した。爪を立てて投げるナックルボール、「タイガーナックル」の使い手。
- 入院中の矢島の容態が悪化した報せを聞いて、球宴で投げる機会をたいちに譲る。
- ジョン・ガーフィールド
- 広島東洋カープの外国人選手。満員の大歓声をエネルギーとしている。
- ガーフィールドと闘う前までは公式戦でホームランを打たれた事の無い山田泰二から二打席連続ホームランを放つなど驚異的なパワーを見せ付けた。
- 石田たけし(いしだ たけし)
- 読売ジャイアンツの三塁手、山田太一の友達。守備でも打撃でも彼のグラブやバットには球が吸い寄せられるように収まったり当たったりするという。
- 幼い頃から仲が良くてずっと目標にしていた兄を事故で亡くしている。