ヘラクレイオス
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ヘラクレイオス（ギリシャ語：Ηράκλειος Herakleios 575年頃-641年2月11日）は、東ローマ帝国（ビザンティン帝国、ビザンツ帝国）中期の皇帝（在位：610年-641年）。ヘラクレイオス王朝の開祖｡「ヘラクレイオス」は古代ギリシャ神話の英雄ヘラクレスにちなんだ名前で、中世ギリシャ語読みでは「イラクリオス」、ラテン語形は「ヘラクリウス」。
ササン朝との6年にもわたる戦いに勝利し、奪われた領土を奪回したものの、当時勃興してきたイスラム帝国との戦いに敗れてササン朝から奪い返した領土を失ってしまうという悲劇的な生涯を送った。
また彼の治世は、東ローマ帝国の公用語がラテン語からギリシャ語へ変わり、また軍事権と行政権が一体化したテマ（軍管区）制が始まるなど（テマ制度の起源に付いては諸説あり）、古代ローマ帝国から中世のギリシャ的要素の強い、いわゆる「ビザンティン帝国（ビザンツ帝国）」と呼ばれる時代への転換の幕開けともなった。
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[編集] ヘラクレイオスの生涯
[編集] 皇帝に即位するまで
アルメニア人貴族ヘラクレイオス（親子同名）の息子として生れた。
608年、マウリキウス（在位：582年-602年）から帝位を簒奪し、暴政を行ったといわれるフォカス（在位：602年-610年）に対しカルタゴ総督であった父ヘラクレイオスが反乱を起こした。ヘラクレイオス（息子）が610年10月、首都コンスタンティノポリスへ艦隊を率いて攻め寄せると、首都はわずか2日で開城。皇帝フォカスは処刑され、代わってヘラクレイオスが皇帝に即位した。
[編集] 帝国滅亡の危機と栄光のペルシャ遠征
ヘラクレイオスが即位した当時、東ローマ帝国は滅亡の危機に瀕していた。ユスティニアヌス1世による遠征や建築事業などによって国力は疲弊し、ユスティニアヌスの死後は急速に衰退。財政破綻・軍事力の崩壊など、深刻な状態に陥っていた。
それに付け込んでササン朝ペルシャ帝国が侵入。即位後間も無い613年にはシリア・パレスチナ、次いでエジプト、小アジアを占領され、首都コンスタンティノポリスの間近にまでササン朝の軍隊が迫ってくるまでになった。またエルサレムにあったキリスト教にとって最も重要な聖遺物である「聖なる十字架（イエス・キリストが磔刑に処された時に使用されたとされる十字架）」をササン朝に奪われ、帝国の権威は地に落ちていた。
これに対してヘラクレイオスは1度は絶望し、カルタゴへの逃亡を図ったが、思いなおして自ら軍隊を再建し、622年から628年にわたってほとんど首都を離れて親征。6年の死闘の末、逆に自らササン朝の首都クテシフォンへ侵攻して勝利。ササン朝から領土と「聖なる十字架」を奪い返すことに成功し、ヘラクレイオスは帝国の再建に成功したかに見えた。
[編集] 失意のどん底へ
しかし、その頃アラビア半島で新興宗教のイスラム教を信仰するアラブ人が勢力を拡大し、シリアへの侵攻を開始。これに対して636年、ヘラクレイオスは自ら軍を率いてアラブ人を撃退しようとしたが、ヤルムーク河畔の戦いでアラブ軍に敗れてシリア・パレスチナを失い、敗戦のショックで病に倒れた。この時「シリアよ、さらば」という悲痛な言葉を残したという。これ以降、東ローマ帝国はアラブ軍の度重なる侵攻を受け、再び滅亡の危機に直面することになった。
病に倒れた後は、自身の後継者問題や単性論をめぐる宗教対立などに苦しみ、641年2月11日、失意と苦悩のうちに没した。
[編集] ヘラクレイオスの配偶者と子供達
| 妻の名 | 間に出来た子供 | |
| 先妻 | エウドキア | コンスタンティノス3世ほか |
| 後妻 | マルティナ | ヘラクロナス・ダヴィドほか |
後妻のマルティナは、実の姪であったため近親結婚として非難された。また先妻エウドキアの子コンスタンティノス3世派とマルティナの子ヘラクロナス派の間で後継者争いが発生した。
| 東ローマ帝国ヘラクレイオス王朝 | ||
|---|---|---|
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先代 |
次代 ヘラクロナス（共同統治） |
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