ピアニスト
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ピアニスト (pianist) は、ピアノ奏者、ピアノの演奏を行う人のこと。英語からの外来語。
ただし日本では多くの場合、職業的にピアノを演奏する高度な技術の持主についてもっぱら用い、一般的なピアノの演奏者と区別して考えることが多い。また自作の曲を演奏するピアニストは、ピアニストとしてよりも作曲家やシンガー・ソングライターとして遇されることが多く、ピアニストという言葉を用いる場合には、もっぱら他人の、それも名声の確立している古典的な名作を演奏する演奏家を指す。
職業的ピアニストとは、もっとも厳密な意味ではクラシック、ジャズなどの分野を中心として、ピアノの高度な演奏技術によって生活の資を得ている人々を指す。このなかにはピアノのソリストや伴奏ピアニスト、さらには各種の音楽学校においてピアノ奏法の教授を主として活動している教育家兼ピアニストなどが含まれ、ピアノの演奏を通して演奏会や録音などさまざまな音楽活動を行っているが、いずれも再現芸術としての演奏に力点がおかれているところに特徴がある。トップクラスのピアニストたちは、演奏のなかに深い芸術性や精神性を求め、単なる楽譜の再現ではなく、ひとつの表現活動としてピアノを演奏する。むろんこうした心構えは職業的ピアニスト以外にも共通するものであるが、彼らはきわめて高度な技術や表現力によってそれを高次に成功させている点において特異であるといえるだろう。
現在では職業的ピアニストの大半は、幼年期からさまざまな音楽教育を受け、ピアノの演奏に親しみ、長じて音楽学校などに通いながら演奏技術を高め、十代から二十代の時期に各地のピアノ・コンクールに出場して地歩を築いてゆく。特にクラシックの場合、競争はきわめて激越で、真の意味での世界的ピアニストの座につくのはそれを希望する人々のごく一部分でしかない。彼らの多くは芸術家として遇され、世界的な名声を勝ちうるとともに、先にあげたような演奏会や録音活動によってひろい人気を集めることになる(ただしクラシック、ジャズともに欧米を中心・頂点とする地域的な音楽の様式であり、それ以外の地域ではかならずしも欧米と同等の知名度がピアニストに与えられるわけではない)。しかしそのなかで歴史に名をとどめる名ピアニストとなると、数はいっそうすくなくなるのは言うまでもなく、ピアニストという職業の本質は、音楽という芸術の世界において時代や地域を問わず、絶えざる競争にさらされているものであると見ることもできる。いわば職業的ピアニストという概念は、その中心に「歴史的な名手」を置き、その周辺に「世界的な名声を得たピアニスト」、そのさらに周辺に「ある地域ではトップクラスと見られているピアニスト」を置いた、グラデーション状のヒエラルキーをなすものであるといえるかもしれない。
ピアノの直接の原型となる楽器が登場したのは17世紀ごろであったと考えられるが(ピアノの項参照)、それ以前から鍵盤楽器は作曲家にとって重要な素養のひとつであり、名オルガニスト・チェンバロ奏者であった大バッハ以降、鍵盤楽器奏者と作曲家を兼ねた人物は多い。著名な作曲家では、モーツァルト、ベートーベン、ショパン、リスト、ラフマニノフなどがその例であるが、職業的なピアニストの成立としては、ホールを使った演奏会や演奏旅行によってピアノ演奏のみで生計を立てることが可能になったはじめての人物であるショパンやリストを嚆矢とすることが多い。彼らはすぐれた作曲家であり、カリスマ的な人気を誇った実演家であったほかに、多くの弟子を育成しその後の奏法や教授法に影響を与えた人物でもある。現在でもピアニストの影響関係の系譜をたどってゆくと、リストかショパンにゆとが多い。
以上のほかに、pianistという英語の原義どおり、単に「ピアノを弾く(弾ける)人」としてのピアニストがいることはいうまでもない。上記にあげた職業的ピアニストとなることはなくとも、音楽学校や音楽大学の卒業生などのうちから、たとえば幼児などを中心に初期のピアノや音楽についての教育を行うことをもっぱらにしている人や(日本ではこうした職業を「ピアノの先生」と呼ぶ)、ピアノの技術を生かして初等・中等教育の音楽教師となる人、セミプロとして趣味的に演奏を行う人が多く輩出し、彼らが充実した活動を行うことによってピアノという楽器は社会に深く根を下ろし、全体的な質を向上させているといえる。その意味で、非職業的ピアニストの存在は非常に大きな価値を持つ。
なお補足的に述べれば、ピアノの演奏は現代の音楽教育、ことにクラシック分野においては、すべての音楽に対する基礎的な素養として位置づけられることが多く、作曲家、演奏家、指揮者、歌手をとわず、その教育の一環としてピアノ演奏の習得が求められることが多い。特に作曲家や指揮者のなかは本職のピアニストと比較しても遜色ないほどの名手がまま見られ、バレンボイムやアシュケナージのように指揮者兼ピアニストとして活躍している人もいる。
[編集] 著名なピアニストの一覧
- クラシック音楽奏者についてはクラシック音楽の演奏家一覧を参照のこと。
- 明田川荘之 (1950- )
- 穐吉敏子(秋吉敏子)(1929- )
- マルタ・アルゲリッチ(1941-)
- 井口基成(1908-1983)
- クリヤ・マコト(1960-)
- 和泉宏隆 [1] (1958- )
- ジョージ・ウィンストン (George Winston, 1949- )
- 上原ひろみ (1979- )
- リベラーチェ (1919-1987)
- ビル・エヴァンス (1929-1980)
- デューク・エリントン (1899-1974)
- 大西順子 (1967- )
- 菊地雅章 (1939- )
- 倉田信雄(1955-)
- 倉本裕基 (1951- )
- 木住野佳子 [2] (1960- )
- グレン・グールド(1932-1982)
- リチャード・クレイダーマン (Richard Clayderman, 1954- )
- 黒田京子 [3] (1957- )
- YOSHIKI (1965-)
- ナット・キング・コール (1919-1965)
- 国府弘子 [4] (1959- )
- 河野康弘 [5]
- チック・コリア [6] (Chick Corea, 1941- )
- 佐藤允彦 [7] (1941- )
- キース・ジャレット (1945- )
- ノラ・ジョーンズ (1979- )
- 園田高弘(1928-2004)
- マッコイ・タイナー [8] (McCoy Tyner, 1938- )
- 高瀬アキ [9] (1948- )
- 舘野泉(1934-)
- 田中希代子(1932-1996)
- 千野秀一 [10] (1951- )
- ケニー・ドリュー (Kenny Drew, 1938-1993)
- 西村由紀江 [11] (1967- )
- バド・パウエル (1924-1966)
- ヴィルヘルム・バックハウス(1884-1969)
- ローランド・ハナ (Roland Hanna, 1932-2002)
- ハービー・ハンコック (1940- )
- オスカー・ピーターソン [12] (Oscar Peterson, 1925- )
- レイ・ブライアント (Ray Bryant, 1931- )
- アンドレ・プレヴィン (Andre Previn, 1929- ) 指揮者として知られるが、ジャズピアニストでもある。
- カウント・ベイシー (1904-1984)
- フジ子・ヘミング [13] (Ingrid Fujiko Hemming, 193?- )
- 本田竹広 [14] (1945- )
- マウリツィオ・ポリーニ(1942-)
- オレグ・マイセンベルク Oleg Maisenberg [15]
- マクシム・ムルヴィツァ (1975-)
- 望月衛介 [16] (1970- )
- セロニアス・モンク (1917-1982)
- 安川加壽子(1922-1996)
- 矢野顕子 (1955- )
- 山中千尋
- スビャトスラフ・リヒテル(1915-1997)
- ディヌ・リパッティ(1917-1950)
- ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)
- 安田英主 (1989 - )
[編集] 関連項目
- Liste von Pianisten(ドイツ語版の一覧)
- クラシック音楽の演奏家一覧