ドラゴンスレイヤー
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ドラゴンスレイヤー
- ドラゴンスレイヤー (映画) - 1981年のファンタジー映画。en:Dragonslayer
- ドラゴンスレイヤー (ゲーム) – コンピュータゲーム『ドラゴンスレイヤー』シリーズ。
ドラゴンスレイヤー(Dragon Slayer)は、竜(ドラゴン)をも殺すことのできる武器、あるいは竜殺しの英雄のこと。
ファンタジーや神話・伝説において、ドラゴンは幻獣の中でも特に強大な存在として描かれ、これを倒すことのできる武器あるいは英雄は、絶大な力を秘めるものとして「ドラゴンスレイヤー」、すなわち「竜殺し」と讃えられている。竜殺しの物語で基本的な類型は、洞窟などで財宝を守るドラゴンと、それに挑む勇士の戦いというものであり、世界中に散らばる英雄伝説の中では、竜退治は重要な要素ともなっている。
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[編集] 神話・伝説における竜殺し
[編集] ベオウルフ
古代・中世イギリスの英雄叙事詩『ベオウルフ』は、現在のスウェーデン南部にあたる地に住んでいたイェーアト族の勇士ベオウルフの生涯と、二度にわたる人外の魔物との戦いを歌った叙事詩である。第一部ではデネ(デンマーク)にあるヘオロット城を騒がしていた二人の巨人、グレンデルとその母親と若きベオウルフの組み討ちが描かれ、第二部ではデネ王に就いて老域に達したベオウルフが、塚の宝物を守る炎を吐く竜を退治しに赴き、そこで苦戦しつつも竜と刺し違える様が描写されている。
ベオウルフ王は名剣ネイリングをふるって竜の頭に叩きつけるが、あまりの膂力と竜の硬さの挟み撃ちにあって、さしもの名剣も砕け散ってしまった。その隙を突いて、竜はベオウルフ王の喉もとに噛み付き、致命傷を与えるが、同時に王は短剣で竜の頸を切り裂き、竜を仕留めたのである。
[編集] ジークフリート
ドイツの英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』に登場する英雄ジークフリート(ジーフリト)は、洞窟の宝を守っていたドラゴン、ファフニールを魔剣バルムンクで退治した際に返り血を浴びて、その魔力により全身が鋼鉄のごとく硬く、いかなる武器も通用しない不死身の体となった。
しかし、ちょうどその時、背中に菩提樹の葉が一枚張り付いていたため、その部分のみ血が浴びせられず、ただ一つの弱点として残った。結局は、この弱点が彼の命取りとなった。
北欧神話においてもシグルズの名で同様の物語がある。剣の名はグラム。
[編集] カドモス王
ギリシャ神話。フェニキアのテュロス王の子カドモスは、アポロンの神託により王国を建国するよう命ぜられた地に住んでいた竜を退治した。
ブルフィンチの記述によれば、家来を竜の毒牙と毒気で殺されたカドモスは、最初に大石を叩き付けたが竜を殺すことは出来なかったため、次に投げ矢を竜の体に打ち込んだ。投げ矢を口で引き抜こうとして失敗し怒り狂った竜が迫ってきたところを、カドモスは鉄の槍でとどめを刺した。カドモスが竜の歯を地面に植えると、そこから植物のように生えてきた兵士達が互いに殺し合いを始め、生き残った5人の兵士がカドモスの新たな家来となった。
カドモスは後にテーバイの王となったが、彼の殺した竜は軍神アレスの竜であったため、カドモスの子孫は不幸な死に方をすることになった。
[編集] ダニエル
聖書神話。旧約聖書のダニエル書補遺によれば、預言者ダニエルはバビロニア人の崇めていた竜を、 ピッチと油脂と毛髪を煮て作った菓子を食べさせて殺したと記されている。
[編集] 聖ゲオルク
古代ローマの殉教者ゲオルギウスには、ドラゴン退治の伝説がある。カッパドキアの王国に毒気を振りまく巨大な悪竜がおり、人々に生贄を要求していた。そしてついには王女が生贄として捧げられることになったが、そこに通りかかった聖ゲオルギウスによって竜は退治され、人々をキリスト教に改宗させた。彼はドイツで「聖ゲオルク」と呼ばれて尊敬を受け、守護聖人とされている。
[編集] 素戔嗚尊
日本神話。八岐大蛇を退治して生け贄の櫛名田姫を助け、天叢雲剣を得た。
[編集] 屠竜之技
竜を殺す技。出典は『荘子』列禦寇。ある者が長い年月と万金を費やして、竜をも屠るという技を習得したが、その人の生きている時代に竜がいなかったため、まったくの役立たずでしかなかった。「無用の長物」のように、いかに巧みであっても実用の役に立たない技を指す。
[編集] 印欧語族における竜殺し
神話学者のジョルジュ・デュメジルは、インド・ヨーロッパ語族において、英雄や戦闘神が怪物と戦う神話に、若者戦士結社(männerbünde)の儀礼に由来する共通の構造が見られると主張した(ギリシア、ローマ、インド、イラン、アイルランド、北欧に対応神話があるとする)。この仮説を宗教学者のブルース・リンカーンが別の観点から発展させ、次のような祖形があるとした。
- 英雄「第三」が
- 怪物「三重」=蛇・ドラゴンを
- 神の助けを得て殺し
- 財を獲得する
この説ではギリシア、ローマ、インド、イラン、アルメニア、そしてゲルマン(図像のみ)が当てはまることになる。
また、言語学者のカルヴァート・ワトキンスは、インド・ヨーロッパ語族の竜殺し神話をうたう叙事詩などにおいて、「英雄が蛇を殺す」という一定の詩の形式が見られると主張した。しかし比較言語学的に明確な対応が見られるのはインド-イランに限られている(ヴリトラ殺しのインドラ、アジ・ダハーカ退治のスラエータオナ/ウルスラグナ)。
[編集] ファンタジーにおける竜殺し
[編集] スマウグとバルド
J・R・R・トールキンの児童文学『ホビットの冒険』に登場する火の息を吐くはなれ山の悪竜スマウグは、背中を鉄の鱗で、腹を宝石と金で覆っており、いかなる刀も貫くことはできなかった。しかし、左胸にあった隙間をギリオンの子孫バルドの黒い矢に射抜かれて退治された。
[編集] 大剣ドラゴン殺し
三浦建太郎のファンタジー漫画『ベルセルク』では、主人公ガッツの所有する大剣「ドラゴン殺し」が出てくる。もとは腕ききの鍛冶ゴドーが「ドラゴンをも殺すことのできる剣を」との求めに応じて鍛え上げた途方もなく巨大な大剣であり、ドラゴンなるものが存在したとすれば、確実に仕留めるであろうというものであった。ガッツ以外の人間には扱うことはできない。ルーツは和田慎二『ピグマリオ』に登場する剣のエピソード。
[編集] 屠竜の剣
吉岡平の伝奇小説『屠竜の剣』のストーリーは、元末の動乱期に生きる倭寇の少年が竜をも殪すと言われる伝説の剣をふるい、四海龍王から恐竜まで様々なドラゴン相手に大立ち回りを演じる奇想天外な筋となっている。剣の名は荘子にある「屠竜之技」に由来するか。剣の刃には鋸のような挽刃がついており、切断力を高めている。
[編集] 竜殺しの英雄
水野良の小説『ロードス島戦記』シリーズ作中において、人間を超越した種族である竜族の中でも最上位に位置する「古竜」(エンシェント・ドラゴン)、ないしはそれに準じる力を持つ竜を斃した英雄は「竜殺し」の称号を帯びる。黒衣の騎士アシュラムや剣匠カシューらがこの称号を持つ。
[編集] ドラゴンキラー
『ドラゴンクエストシリーズ』には、カタール(正確にはジャマダハル)系の武器として「ドラゴンキラー」が登場する。攻撃力では伝説の武器クラスには及ばないものの、それに準じる威力を持ち、ドラゴン系のモンスターに大きなダメージを与えることができる。