スマウグ
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スマウグ (Smaug) は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『ホビットの冒険』の登場人物。 中つ国に住む、赤みがかった金色の鱗を持つ貪欲なドラゴンで、谷間の町を荒廃させ、はなれ山(エレボール)とそのすべての宝を奪った。 スマウグは中央の広間に宝を積み上げ、その上で眠っている。 そのような莫大な宝をため込んだにもかかわらず、スマウグは宝物庫の品物ひとつひとつを熟知していて、ビルボ・バギンズが比較的価値の低い品物を盗んだときも即座に気づいた。 その宝の中にはアーケン石と何着かのミスリルの鎖帷子があった。 鎖帷子の1着はトーリン・オーケンシールドからビルボに贈られ、後にモリアでオークの槍からフロド・バギンズを護っている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
スマウグの鱗を傷つけることはほぼ不可能だが、ビルボ・バギンズがスマウグと対峙したとき、下腹部にむき出しのつぎはぎがあることに気づいた。 ビルボが仲間のドワーフにスマウグの弱点について話したとき、山の秘密の入口から入ってきたツグミがこの話を聞いていた。 このツグミが今度はエスガロスのバルドにこの話を伝え、スマウグがエスガロスを襲撃したときにバルドは黒い矢でスマウグを射殺した。
スマウグの死後、トーリンたちははなれ山の宝の所有権を主張した。 このため、スマウグに受けた損害の賠償として宝の一部を要求したバルドや闇の森のエルフの王スランドゥイルとの間に軋轢が生じた。 トーリンは宝の山分けを拒み、両者に宣戦を布告した。 この衝突はついには五軍の合戦へと発展する。
『指輪物語』では、ガンダルフはスマウグが倒されたのは幸運だったと言っている。 スマウグが生きていれば、サウロンの配下として闇の森を破壊したことは疑いがないためである。
スマウグの名前は原語の Trâgu の翻訳として与えられ、スメアゴル (Sméagol/Trahald) とも関連があるとされている。 トールキンによると、スマウグの名前は初期のドイツ語の動詞 smugan (「穴に押し込む」の意)の過去形である。 英語の「スモーク」や「スモッグ」との類似に注目する者もいる。