デストロイガンダム
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デストロイガンダムは、アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・略称はMS)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 機体解説
デストロイ | |
型式番号 | GFAS-X1 |
所属 | 地球連合軍 |
建造 | アドゥカーフ・メカノインダストリー社 |
生産形態 | 少数量産機 |
全高 | 38.07m (バックパック含む)56.3m |
本体重量 | 404.93t |
主な搭乗者 | ステラ・ルーシェ スティング・オークレー 他 |
武装 | ・75mm自動近接防御システム イーゲルシュテルン×4 ・高エネルギー砲「アウフプラール ドライツェーン」×4 ・熱プラズマ複合砲「ネフェルテム503」×20 ・200mmエネルギー砲「ツォーンMk2」 ・1580mm複列位相エネルギー砲「スーパースキュラ」×3 ・Mk.62 6連装多目的ミサイルランチャー×4 ・両腕部飛行型ビーム砲「シュトゥルムファウスト」×2 ・5連装スプリットビームガン×2 ・陽電子リフレクタービームシールド「シュナイドシュッツSX1021」×3 |
装甲 | 不明(少なくともフェイズシフト装甲では無いと思われる。トランスフェイズ装甲であるとの記述もある) |
地球連合軍が開発した巨大可変MS。今までに開発されたMSとザムザザーなどの巨大MAのデータをベースに開発された。
主なパイロットはステラ・ルーシェ、スティング・オークレー。ブーステッドマン及びエクステンデッド専用かどうかは明らかでないが、適性によりその性能を発揮できるという描写がある。基本的に「生体CPU」が必要な様である。
形式番号の「GFAS-X1」のGFASは、「Gressorial Fortress Armament Strategic」(戦略歩行要塞兵器)を表している。
MSを踏み潰せるほどの圧倒的な巨体を誇る(どう観ても設定より大きすぎるので演出ではあるが)。動力や装甲の詳細は不明だが、絶大な出力と射撃兵器に対する高い防御力を持つ。起動時のOS表記は「Gigantic Unilateral Numerous Dominating Ammunition」(戦略装脚機動要塞)と他の機体とは異なる。全身に無数の砲門を備え、陽電子リフレクターを広範囲に展開し、フリーダムガンダムのフルバーストも防御する。単機で、ザフト軍を都市ごと壊滅させるほどの破壊力を持っており、特に従来のMSよりも大きい二門の巨大な砲塔だけでも戦艦を一撃で破壊した上、その背後にあった都市を駐留部隊ごと焼き払う威力を持つ。そのあまりの火力、防御力からは戦術レベルを超えて戦略レベルの存在となっており、対集団戦・対要塞戦では無類の強さを発揮する。
背面の円盤型巨大バックパックには巨大な砲門を装備しており、バックパックで上半身を覆い、かつ下半身を180度回転させることでモビルアーマー形態へと変形できる。この状態ではホバリングによる飛行も可能である。劇中に登場した機体は全てこの形態で出撃した。
また両手部はドラグーンシステムにより無線遠隔操作が可能。ビームシールドでの防御をしつつ、五指からビームを照射できる。
まさに殲滅戦(皆殺し戦術)を前提とした人型機動戦艦と言える。これを迎え撃ったザフト軍は食い止めるどころか本機に対し損傷らしい損傷を与える事さえ出来ず、逆に壊滅的な被害を受け、中央アジアから西ユーラシアのベルリンまでのザフト軍は壊滅的打撃を被る事に。
ちなみに、前述したとおりこの機体は可変MSに属される機体だが、その巨体ゆえにMS最大の長所である機動性と汎用性は無いに等しく(むしろMA形態のほうが機動性が高い)、何故この機体がMS形態を備えているか不明である(本機の元ネタのサイコガンダムを意識した演出とも考えられる)。強いて言えば視覚的な威圧効果は期待出来るが、メリットと言えるほどのものでもない。他にはMA形態時は武装配置の関係で対処が困難な、機体の上方に位置する敵を攻撃するためと考えられるが、 デストロイは単体での近接戦闘能力が極めて低く(ビームサーベルが装備されていない時点で格闘能力がほぼ皆無なのは明らかである)、運用の際には護衛として随伴するMSの存在が不可欠であるため、殲滅行為を主眼とする本機自体が、意味あい的には迎撃態勢に近いMS形態を備える必要性は全くないと言える。
余談だが、この機体は40m近くの大きさや大出力のビーム兵器を多数装備し、莫大なエネルギーを必要とする事から、動力源はニュートロンジャマーキャンセラーを搭載した核分裂炉エンジン、もしくは戦艦の電力供給を賄っているレーザー核融合炉を搭載しているのではないかと推測される一方で、劇中ではヘブンズベース、ダイダロスといった基地の防衛任務が主で、唯一の長距離侵攻作戦であるベルリン戦においても母艦であるボナパルトを伴っての作戦行動であることから、単体での長距離移動は考慮されておらず、搭載火器の電力は外部からの供給によって賄われていると考えられる。これはザフトから入手したデュートリオンビーム送電システムを搭載している可能性を示唆しており、運用局面における信頼性、保安性を考えるとバッテリー動力機の可能性も否定できない。
また、装甲に関してはデスティニーが"アロンダイト" ビームソードの実剣部分でコックピットを貫いている事からフェイズシフト装甲の類は採用されていない模様である(ただ、ゲームソフトであるガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.及びSDガンダム Gジェネレーションポータブルにおいてはこの機体の装甲がトランスフェイズ装甲であると表記されているため、演出ミスの可能性もある)。しかしながら、機体のサイズに比例して装甲もそれなりの厚さを有する為、ある程度の防御力は備えている。又、脚部にインパルスのビームライフルを受けても行動不能に陥らなかったため、陽電子リフレクターでカバーし切れない部分には対ビームコーティングが施されている可能性もある。
※サンライズ監修のファクトファイルにより、デストロイの装甲はVPSである旨の記述が確認された。
「デストロイ」は「破壊」の意。
[編集] 武装
- 75mm自動近接防御システム「イーゲルシュテルン」
- GATシリーズにも装備されていたCIWS。メインカメラに4基が搭載されている。
- 高エネルギー砲「アウフプラール ドライツェーン」
- 背部大型円盤に装備されている4門のビームキャノン。デストロイに装備された武装の中でも最大の威力を誇り、その威力はアークエンジェル級の「ゴットフリートMk71」やミネルバの「トリスタン」と言った戦艦の主砲として用いられる高出力ビーム砲をも上回り、劇中では一撃で都市ごとザフト軍を壊滅させた。ヘブンズベース戦では多数の戦艦を葬っている。ドライツェーンとはドイツ語で13と言う意味(何故13なのは不明)。
- 熱プラズマ複合砲「ネフェルテム503」
- 背部の大型円盤に装備されたビーム砲。主にMA形態時に使用され、20門のビームで敵を殲滅する。ジンなどの量産機はほぼ一撃で撃破できる威力を持つ。ネフェルティムはエジプトの神。
- 200mmエネルギー砲「ツォーンMk2」
- 頭部の口部に装備されているビーム砲。レイダーに装備されていたツォーンの改良型。射角が広く、広範囲の敵を攻撃できる。
- 1580mm複列位相エネルギー砲「スーパースキュラ」
- Mk.62 6連装多目的ミサイルランチャー
- 背部大型円盤に装備されたミサイルランチャー。31話では何発も撃っていたが、どこからミサイルを補給しているかは不明。
- 両腕部飛行型ビーム砲「シュトゥルムファウスト」(通称:空飛ぶビーム砲)
- カオスやペルグランデのドラグーンシステムを元に開発した物と思われる。MA形態でも使用可能。巨大さゆえに機動性は今ひとつだが、大気圏内でも飛行できる。陽電子リフレクターを装備しており、捕捉された場合の防御も考慮されている。
- 因みに、機動戦士ガンダム0080などでも同名の武器が登場している(こちらは使い捨てのロケットランチャー)。
- 陽電子リフレクタービームシールド「シュナイドシュッツSX1021」
- MJ-1703 5連装スプリットビームガン
- 指に装備されたビーム砲。指を曲げた状態でも撃つことができる。
[編集] 劇中での活躍
本編では、ネオ・ロアノーク専用ウィンダムとスティング・オークレーのカオスと共に、幾つもの都市を壊滅に導く中フリーダムとの戦闘を展開。インパルスも交えた乱戦の結果、最終的に胸部のスーパースキュラの発射直前、フリーダムのビームサーベルによる近接攻撃を受けて砲門が損壊、誘爆が原因で再起不能となった。
その後のヘブンズベース攻略戦・月面ダイダロス基地のレクイエム攻防戦に於いて量産された機体が多数登場し、ヘブンズベースではザフト・反ロゴス連合軍に多大な損害を与えるが、近接攻撃に対する弱さが露呈し、デスティニー・レジェンド・インパルスによって容易く撃破されてしまった。
[編集] 補足
本編上では強化人間専用機と言及されていないが、本編終了後のSEED120%の公式見解では強化人間専用機で、ヘブンズベース、ダイダロスに配備されていた機体は、ファントムペイン以外の特殊部隊等から徴収した強化人間が搭乗していたとされている。
デザインモチーフは、MS形態では「機動戦士Ζガンダム」に登場したサイコガンダム、モビルアーマー形態では「機動戦士ガンダム」に登場したビグ・ザムだと思われる。量産機という設定、また戦術面においては『∀ガンダム』に登場したウォドムに近いといえる。
設定(大型の人型兵器で量産機、全身に火器を満載しパイロットには特別な処置が必要)や、本編上の扱い(最後に登場する敵軍の新型量産機だが、初出が第3クール中盤と比較的早く、初号機はエースパイロットが搭乗しそれ以降は雑魚化)、さらに演出(設定以上に大きく描かれるなど)など、これらを総合すると福田己津央総監督が演出として参加していた機甲戦記ドラグナーに登場する量産型巨大メタルアーマーギルガザムネのオマージュと思われる。
もっとも演出の方はともかく、『初登場時はエース機、後は雑魚』という扱い自体は、ガンダムシリーズにおいては古くはグフ、ドム、マラサイなどから、SEED2作品だけ見てもシグーやゾノ、ザクウォーリアやグフイグナイテッド、果てはザムザザー等の大型MAに至るまで、量産機全般に普遍的に見られる構図である。とはいえ、ヘブンズベース戦では複数登場することこそが脅威となり、多数の戦艦やモビルスーツを撃破している。またヘブンズベース戦・ダイダロス戦とも主人公達に最後に撃破されている点から、”中ボス”的な存在とも取れる。
なお、DESTINY登場機体の中で、最もキット化が困難とも言われるモビルスーツの一つである。サイコガンダムは5000円という高価格や全長30cmという大型プラモデルという形でキット化に成功しているが、デストロイガンダムの場合、MA形態を無理矢理ビグ・ザムに変更したという印象と背中のバックパックのサイズによる重量(上半身の重みによる足間接への負担が大きいと思われる)、変形機構などの問題点が解決しない限りキット化は困難だと思われる。