レイダーガンダム
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レイダーガンダム(Raider Gundam)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・略称はMS)。(型式番号:GAT-X370)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] レイダーガンダム
[編集] 機体解説
レイダーガンダム | |
型式番号 | GAT-X370 |
所属 | 地球連合軍(ドミニオン) |
建造 | 地球連合軍 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 17.94m |
本体重量 | 84.01t |
主な搭乗者 | クロト・ブエル |
武装 | 100mmエネルギー砲「ツォーン」 破砕球「ミョルニル」 2連装52mm超高初速防盾砲 短距離プラズマ砲「アフラマズダ」×2 M417 80mm機関砲 M2M3 76mm機関砲×2 |
装甲 | トランスフェイズ装甲 |
地球連合軍が、先行開発されたG兵器のデータを基に開発した機体で、ナチュラル用のOSが搭載されている。
この機体は変形機能を持つX300系のフレームを使用しているが、同系列のイージスと異なり、変形機構そのものは簡素化された高機動強襲用MSである。
イージスとは違い、大気圏内での戦闘を意識して開発されたため、MS形態でも単体での自由な飛行が可能なだけでなく、MA形態時には飛行能力のないMSを運搬できるように背部にはフラットスペースが確保されている。本編ではオーブ出兵時にカラミティを載せて運んだり、載せたまま攻撃したりなど絶妙なコンビネーションを見せた。さらに、変形機構がシンプルになっている為、一瞬ともいえるほどの短時間でMSからモビルアーマー(MA)に、あるいはその逆に変形できるので、MA形態で相手に接近し、その目の前で変形・攻撃するなどの戦法を採ることが出来る。
レイダーは1機ずつ、確実に敵を葬り去る戦法と得意とする。その為に、まずMA形態に変形し、その高機動力で敵を撹乱しつつ接近、すぐさまMS形態に変形して強力な武器で撃破、再びMA形態に変形して離脱するという、まさに「レイダー(強奪者)」の名に相応しい一撃離脱戦法を得意とする。近距離用射撃武器「ツォーン」や「アフラマズダ」を装備している事からも、敵機を確実に捕らえて至近距離から攻撃する、というコンセプトに基づいて作られた機体であることが分かる。
本機には初期のGAT-Xシリーズに採用されていたフェイズシフト装甲(以降PS装甲)を改良したトランスフェイズ装甲が採用されたことにより、電力消費量が抑えられ、稼働時間が拡大されている。また、武装においてもとどめを刺すために使う「ツォーン」や「アフラマズダ」以外はビーム兵器を採用しておらず、ロングレンジで使用できる「ミョルニル」も言わばトゲの付いた鉄球なのでエネルギーをあまり消費せず、稼働時間の延長に貢献している。
[編集] 武装
- 100mmエネルギー砲「ツォーン」
- レイダーの主武装の一つで口の開口部より発射される。近距離用で射程は短いものの、威力はかなりのものがあり、劇中でも多用していた。その設置位置から、ファンの間では俗にゲロビ(ゲロビーム)と呼ばれる。
- ツォーンはドイツ語で「怒り」の意。
- 破砕球「ミョルニル」
- モーニングスターに類似した外観を持つ実体兵器。スラスター付きの鉄球を敵機に投げ放ち、軌道コントロールをしつつ高速で敵機にぶつけることが可能。鉄球は圧縮素材で出来ておりかなりの重量を有する為、通常装甲のMSなら一撃で撃破可能。またミョルニルを鉄線で円を描く様に振り回すことにより相手の攻撃を防ぐことができ、デュエルの全弾射撃を完全に防いでいる。運動エネルギー兵器のためPS装甲そのものには効果がないが、大重量が直撃した際の衝撃によるパイロットや内部構造へのダメージは、PS装甲搭載機でも決して無視できるものではない。
- 名前は北欧神話のトール神が持つ武器ミョルニルに由来しており、手から投げ放つという攻撃方法も似ている。
- 2連装52mm超高初速防盾砲
- 盾と2連装の高初速機関砲が一体になった攻防一体の兵装。レイダーの主武装の一つであり、敵機に対して多用してはいたが、発射されているのは実体弾であり、通常装甲のMS(ここではジンやM1アストレイ)相手ならばともかく、PS装甲へのダメージは期待できない。これをパイロットのクロトがフリーダムやジャスティスなどに多用したのは、或いは薬物強化の副作用による判断力の低下の証左であるかもしれない。
- 公式サイトではニ連装ビームと書かれており、ダガーのMX703G ビームライフルの様にビームと実弾の撃ち分け可能なこと見受けられる。このことからレイダーの2連装52mm超高初速防盾砲の技術が発展応用し、ダガーのMX703G ビームライフルの技術になったと推測される。
- 短距離プラズマ砲「アフラマズダ」
- 大型クローの付け根に位置し、MA形態時にクローで掌握した敵機に対してのゼロ距離攻撃に使用される。
- また、短距離プラズマ"砲"と言うだけはあり、プラズマを打ち出す銃火器としても使える。発射時は大型クローを前面に向けてフリーダムのMMI-M15 "クスィフィアス" レール砲の様な姿で発射することも可能であるが、劇中では披露されなかった。発射されるプラズマの色は赤で威力は高い。
- なおバレルの調節でビームサーベルを形成することも出来る。
- アフラマズダはゾロアスター教の最高神「アフラ・マズダー」に由来する。
- M417 80mm機関砲
- MA形態時の機首部分のカバーの奥に搭載された、やや口径の大きい機関砲。M2M3同様、MA形態時しか使用できないものの、PS装甲を持たない普通のMSなら十分撃破できる。
- M2M3 76mm機関砲
- 肩に内蔵された機関砲でMA形態時に使用される。こちらの威力も、非PS装甲のMSには脅威。威力的にはジンの重突撃機銃と同程度だと思われる。
[編集] 劇中での活躍
コズミック・イラ71年6月15日に起きた「オーブ解放作戦」にて初めて実戦投入されフォビドゥンとの連携によりフリーダムを追いつめるが、あと一歩のところでジャスティスに乱入されてしまう。その後カラミティを含め3機で戦うが、薬物が切れたことによる禁断症状のためにパイロットが戦闘を継続できなくなり一時撤退を余儀なくされる。その後主にジャスティスと戦うが「ファトゥム-00」を使った攻撃により機体の一部を破壊され撤退、結局その後に宇宙に逃げられてしまった。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてプロヴィデンスの攻撃を受け損傷したバスターに襲い掛かるが、バスターの元僚機であるデュエルとの撃ち合いにより撃墜された。なおスペシャルエディション3作目ではバスターに撃墜されたことになっている。
本機はオーブ攻撃のために急遽建造された先行生産型であり、『ガンダムSEED MSV』において制式仕様機が設定されている。
[編集] バリエーション
[編集] レイダー制式仕様機
レイダー制式仕様機は、『ガンダムSEED MSV』において設定されたMS。型式番号GAT-333。
[編集] 機体解説
レイダー制式仕様機 | |
型式番号 | GAT-333 |
所属 | 地球連合軍 |
建造 | 地球連合軍 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 不明 |
本体重量 | 不明 |
主な搭乗者 | エドワード・ハレルソン |
武装 | GAU 8M2 52mm機関砲ポッド×2 AIM957F 大型ミサイル「キングコブラ」×2 短距離マシンガン M20 20mmクロー部機関砲×2 M2M3 76mm機関砲×2 |
装甲 | トランスフェイズ装甲 |
前述したレイダーの原型機で、こちらが本来の開発計画に基づいて生産された制式仕様機である。
型式番号上ではX370よりも先だが、就役はやや遅れている。X370に装備された頭部ツォーン、2連装52mm超高初速防盾砲、破砕球ミョルニルはすべて排除。サブアームのアフラマズダも実弾機関砲に換装されるなど武装は実弾兵器が中心となっている。 変形機構自体は同一だが、脚部スラスターなど構造の一部は簡略化されている。
しかし、新たにサブアームに保持される大型の副翼を装備している。これは翼面のラッチにMS時の携行武装やミサイル等をマウント可能なウェポンプラットホームでもあり、戦闘能力と航続距離の両立に一役買っている他、MS形態時上部に搭乗する事でグゥル的な運用も可能となっている。よって搭乗MSからの無線コントロールによる飛行が行える。また大気圏突入の際に発生する高温度の熱を機体本体から遮断する断熱材の役割にもなる。
また、専用ポットを用いて大気圏再突入を行うことも可能であり、ブースターなどで一度大気圏外に離脱し、直接目標に降下・攻撃を行うという戦法も可能であるため、強襲機としての能力はレイダーを上回る面もある。 後期型はアフラマズダとダガーのMX703G ビームライフルが装備された機体も極僅かだが存在する。
機動戦士ガンダムSEED DESTINYスペシャルエディション3にて、ヘブンズベースに配備されていた機体が一瞬だけゲストとして出演している。その際にはレジェンドガンダムと交戦している。