ズールー語
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ズールー語 Zulu (isiZulu) |
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話される国 | 南アフリカ共和国の一部 |
地域 | ズールーランド |
話者数 | 約900万人 |
順位 | 97位以 |
言語系統 | ニジェール・コルドファン語族 ニジェール・コンゴ語派 |
公的地位 | |
公用語 | 南アフリカ共和国 |
統制機関 | - |
言語コード | |
ISO 639-1 | zu |
ISO 639-2 | zul |
ISO/DIS 639-3 | |
SIL | ZUU |
ズールー語(Zulu、isiZuluとも)は、南アフリカ共和国のズールー族の95%、約900万人によって話される言語である。アパルトヘイトが終了した1994年には、南アフリカ共和国の11の公用語の一つと制定された。
目次 |
[編集] 地理的概要
ズールー語はバントゥー諸語の南東グループ(Nguni)に属する。
クワズール・ナタール州およびハウテン州で広範に話され、レソト、スワジランドにも話者がいる。ジンバブエで話されるヌデベレ語や、マラウイで話されるンゴニ語(ンゴニ族の言語)と近隣関係にあると考えられているが、これは19世紀からのズールー族の移民とも関係が深い。
[編集] 歴史
元々のズールー族の土地は、現在のタンザニアに相当する。南アフリカ共和国におけるズールー族の存在は、14世紀頃にまで遡ることができる。1832年には、独自の王国を建国している。
最初にズールー語で書かれた書物は、1883年に翻訳された聖書である。1901年にはズールー族のジョン・デューブ(en)が、南アフリカで最初の原住民族のための教育施設Ohlange Instituteを設立した。彼はまた、ズールー語で書かれた最初の小説Insila kaChaka(1933年)の著者でもある。他のズールー語執筆の先駆者として、小説家Reginald Dhlomo(en)がいる。彼は19世紀のズールー国家指導者についての小説を執筆した。作品にはU-Dingane (1936年)、U-Shaka (1937年)、U-Mpande(1938年)、U-Cetshwayo (1952年)、U-Dinizulu (1968年)がある。
[編集] 音韻論
ズールー語の特徴として、吸着音(舌打ちのような音)を使うという点がある。この特徴は、他の南アフリカ諸語にも共通するが、この地域の言語に顕著である。ズールー語には次の3つの基本的な吸着音がある。
これらはいくつかの変形を持つ。有声化、気息音化、鼻音化を起こし、合計で15種類の吸着音を持つ。コサ語にも同じ音声があり、ズールー語よりも頻繁に使用する。
[編集] 文法
ズールー語に共通する文法の特徴は次の通り。
- 語順はSVO型。
- 形態学的には膠着語に属する。
- 他のバントゥー諸語と同様、名詞は単数・複数による接頭辞の違いを伴い、13の形態に分類される。名詞を修飾する様々な品詞は、その名詞の形態論的分類に適合する。次の例は、'aba-'を使用した場合の変化の例である。
-
- Bonke abantu abaqatha bepulazi bayayigawula.
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- All the strong people of the farm are felling (trees).(農場の強い人々はみんな木を切り倒しています)
- この例では、単語'abantu'(人々)から、他の品詞への照応が見られる。
- 動詞は定形の枠を形成し、一時的かつ相的に結合する。標準的な動詞は二つの語幹を持ち、一つは現在不定詞のため、もう一つは完了詞のためである。主語の一致のための動詞語幹や、未来時制・過去時制には、異なる接頭辞を付けることができる。例えば、uthanda(he loves)という単語の動詞語幹は'-thanda'であり、接頭辞'u-'は三人称単数の主語を明示する。
- 接頭辞は動詞語幹の生成要因、または相互形態を明示するために共通に使うことができる。
- ほとんどの単語集合(英語での形容詞に相当)は、形態学的に動詞と見なすことができる。たとえば umuntu uBomvu (the person is red)という文節においては、明示のための接頭辞'u-'を含む単語 uBomvu(語幹-Bomvu)は、動詞として明確に働く。
[編集] 表現
次の表現は、ズールー語が話されている地域を訪れた時に使うことができる。
- Sawubona (「こんにちは Hello」、一人に対して)
- Sanibonani (「こんにちは Hello」、複数に対して)
- Unjani (「お元気ですか? How are you?」、一人に対して)
- Ninjani (「お元気ですか? How are you?」、複数に対して)
- Ngiyaphila (「元気です I am well」)
- Ngiyabonga (「ありがとう I thank you」、一人から)
- Siyabonga (「ありがとう We thank you」、複数から)
- Isikhathi sithini? (「いま何時ですか? What is the time?」)
- Uhlala kuphi? (「どこに滞在していますか? Where do you stay?」)
- Eish (何が起きたか分からず完全に面食らっていて、言葉も出ないときに使う I am completely flabbergasted by what just happened, and word fail me」、この単語は南アフリカでのスラングであり、ズールー語話者だけの単語ではない)
[編集] ソース
[編集] 参考書籍
- Doke, C.M. (1947) Text-book of Zulu grammar. London: Longmans, Green and Co.
- Wilkes, Arnett, Teach Yourself Zulu. ISBN 0-07-143442-9
[編集] 外部へのリンク
- Ethnologue report on Zulu
- South African Languages -- IsiZulu
- 文法
- 辞書
- ソフトウェア
- 文学と文化