サーキットの狼
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『サーキットの狼』(サーキットのおおかみ)は、漫画家の池沢さとしが1975年から1979年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載した漫画作品。続編に『サーキットの狼II モデナの剣』がある。実写映画が1977年に製作・公開された。
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[編集] 概要
主人公の風吹裕矢が、愛車ロータス・ヨーロッパを駆って、公道やサーキットを舞台に疾走する姿を描いた。他にもポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、日産フェアレディ、シボレー・コルベット、トヨタ・2000GTなど、世界中の著名なスポーツカーが劇内に頻繁に登場したこともあり、日本のスーパーカーブームの火付け役となった。また、星野一義などの実在の人物が実名で登場することも多かった。登場するスーパーカーは作者である池沢さとしの愛車や、作者のクルマ仲間の愛車そのものであることが多い(ナンバーも実在のもの)。主人公達が競争を行う箱根ターンパイクなども実在する地名であり、主人公達がたむろする喫茶店も実在のものだったりで、不思議なリアル感もあった。
[編集] 作品に関する評価
作者・池沢自身が自動車マニアで、登場するスポーツカーの多くを自ら所有した経験があり(または知人が所有)、レースにも参戦していたことから、車種ごとの構造的な特徴や乗車感覚の違いが体験に基づき事細かに描写されていた。少年マンガの枠を越え大人の自動車好きの興味を引いたのも不思議ではなかったと言えよう。これが架空の車を題材にしていたら全く違う結果になっていた可能性もある。とはいえ連載当初は「自分の趣味をマンガにするなんて」との批判もあり、読者からの人気も今ひとつで打ち切りの危機にあったという。そのため初期のストーリーには、話の展開が急すぎる部分もある(池沢自身の談話)。その後に読者からの支持が急激に高まり、「少年ジャンプ」の看板マンガとしての地位を確立した。
「ちいぃっ」、「ちぎられちまったぜいぃっ」、「ドリュリュリュリュー」といった独特の台詞回しや派手な走行音、また実際にはありえない走行テクニックやレース展開など、その独特の世界観が当時の小学生から社会人まで多くの読者の心をつかんで、スーパーカーブームという空前絶後の社会現象にまで発展した。スーパーカーブームは1976年と1977年に富士スピードウェイでF1レースが開催されたことにより発生したF1レースブームと連動する形になり、多くの少年が自動車レースに目を向けるきっかけを作ったと見る向きもある。
特筆すべきなのは主人公の愛車ロータス・ヨーロッパが、高性能スポーツカーとしては比較的エンジンの排気量が小さく、絶対的なパワーとスピードに欠ける車種だったことである。このため主人公は、ライバルが乗るポルシェやフェラーリやランボルギーニといった大排気量ハイパワー車に対し、コーナリング性能と運転技術で懸命に対抗するという図式が出来上がった。これが読者の間で判官びいき的な共感を呼び、作品の人気を高める要素になったと見る向きも多い。もしも主人公が最初からポルシェなどのハイパワー車に乗っていたら、あそこまでの人気は出なかったかも知れない。大柄で力の強い番長を、小柄で非力な少年が知恵と勇気で倒すという、日本の少年マンガの普遍的な図式に重なる点だという指摘もある。この後、主人公は何度か愛車を変えることになるが、比較的パワーの低い車種でハイパワー車を倒すという基本的な図式は大きく変わらなかった。
また、この作品の連載中には、各国のスポーツカーのオーナーたちが、「例え一コマでクラッシュしてしまう様な役どころであっても自分の車を漫画に出して欲しい」と作者に要望してくる事が多かったという。これは当時から週刊少年ジャンプが「少年誌」の枠組みを越えた雑誌としての片鱗を覗かせていた事を示すエピソードと言える。
タイトルに「サーキット」という言葉が入っているだけに、最終的にはサーキット(レース場)での本格的なレースが主題になっていくが、連載の終盤にはスーパーカーブームもF1レースブームも完全に下火だった。さらに皮肉なことには、ストーリーがプロレースの本質の部分に近づくほど悪い意味でマニアックになり過ぎ、初期の荒唐無稽な魅力が薄れてしまうというジレンマが発生。かといって本当のレース関係者やマニアが見れば、細部の考証にアラや絵空事が目立ってしまう。初期に見られたリアル感と荒唐無稽さのバランスが、後半には悪い方向に逆転してしまったと言えよう。実在しないF1マシン(日本の複数の自動車メーカーが共同で製作したという設定)に乗り、主人公が日本人初のF1優勝者になるところで連載終了となったが、この最終回を終えた頃の作品の人気はブームの頃と比べかなり低迷していた。
公道レースを題材に人気を得た漫画が、本格レースへとステップアップした途端に人気が落ちるという現象は、しげの秀一原作の「バリバリ伝説」にも見られた。
スーパーカーブームから約10年を経た'80年代後半、日本には再度のF1ブームが訪れるが(日本のホンダがF1で活躍し、中嶋悟や鈴木亜久里ら日本人がF1に参戦したのがきっかけ)、ブームで最も踊ったのは'70年代スーパーカーブーム時に少年だった層だと言える。少年期にスーパーカーやF1を体験していた層にとって、F1は比較的受け入れやすいスポーツジャンルだったと言えよう。この点、「サーキットの狼」は日本におけるモータースポーツ普及にとって、やはり好結果を残していたという論評もある。
[編集] 劇中のコーナリングテクニック
- スピンターン
- 三回転スピンターン
- パワースライド
- ドリフト
- 四輪ドリフト
- ブレーキングドリフト
- 逆ドリフト
- 慣性ドリフト
- タックイン
- 幻の多角形コーナリング
- ジャンピング・ターン・フラッシュ
[編集] 主人公風吹裕也のライバル達
初期の公道レース時代の登場人物の多くが作者にとって身近な自動車趣味仲間がモデルになっており、たとえば「切替テツ」はフェラーリ・クラブ・ジャパン会長の切替徹がモデルである。その一方で、後半のモータースポーツ編では実在する世界的なレーシングドライバーたちが登場している。
- 飛鳥ミノル
- アラン・ジョーンズ
- 生島(名不明)
- エリオ・デ・アンジェリス
- 沖田(名不明)
- 影法師の会長(姓名不明)
- カルロス・ロイテマン
- 京極さくら
- 切替テツ
- クレイ・レガゾーニ(クレイ・レガッツォーニ)
- 桑沢(名不明)
- 極道連スポンサー(姓名不明)
- 極道連総長(姓名不明)
- 四国の獅子(姓名不明)
- ジェイムズ・ハント(ジェームス・ハント)
- ジャッキー・イクス
- ジャック・シンカー
- ジャック・ラフィー
- ジョージ・プライス
- ジョディ・シェクター
- ジョン・ワトソン
- ジル・ビルニューブ(ジル・ヴィルヌーヴ)
- 神藤速人
- 鈴木サトル
- 鈴本(名不明)
- ステファン・ヨハンソン
- 関根英次(潮来のオックス)
- セシル・ラピエール
- 高林(名不明)
- 田原ミカ
- チコ・セラ
- 椿健太郎
- ディレック・ウォーウィック(デレック・ワーウィック)
- テオ・ファビ
- 高速をGCマシンで走る男(姓名不明)
- 長岡吾郎
- 成金息子A(ボクサーの男)(姓名不明)
- 成金息子B(カウンタックの男)(姓名不明)
- ニキ・ラウダ
- ネルソン・ピケット(ネルソン・ピケ)
- ハマの黒ヒョウ(姓名不明)
- 早瀬左近
- 隼人ピーターソン
- 原田和夫(北海の龍)
- 土方年男
- フランケン・ホフマン
- ブルーノ・ジャコメリ
- 星部(名不明)
- ボビー・歌田
- ボビー・ラハール(ボビー・レイホール)
- マーク・スレール
- マリオ・アンドレッティ
- 魅死魔国友
- 従山(名不明)
- ロニー・ピーターソン
- ロルフ・ストレメン
- フェラーリの女豹(姓名不明)
[編集] 映画
1977年夏東映系公開
- 同時上映は『トラック野郎度胸一番星』。
- 配給収入は10億9000万円。
[編集] テレビ
実写版のクルマ番組蘇れ!サーキットの狼として 2006年6月より放映中。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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