サイリスタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サイリスタ (Thyristor) とは、ゲート (G) からカソード (K) へゲート電流を流すことにより、アノード (A) とカソード (K) 間を導通させることが出来る3端子の半導体素子である。SCR (Silicon Controlled Rectifier) とも呼ばれる。PNPN の4重構造をしている。P形半導体からゲート端子を引き出しているものをPゲート、N形半導体からゲート端子を引き出しているものをNゲートと呼ぶ。原理としては、図のようにPNPトランジスタとNPNトランジスタを組み合わせた複合回路と等価である。
ゲートに一定の電流を通過させるとアノードとカソード間が導通(ターンオン)する。導通を停止(ターンオフ)するためには、アノードとカソード間の電流を一定値以下にする必要がある。
この特徴を生かし、一度導通状態にしたら、通過電流が 0 になるまで導通状態を維持することが望ましい用途に使用される。(カメラのストロボ制御など)。 特に、大電力の制御場合、電流 0 のタイミングで OFF になるためサージ防止に優れる。
目次 |
[編集] 双方向サイリスタ(トライアック:TRIAC)
双方向サイリスタは、2個のサイリスタを逆並列に接続し、双方向に電流を流せるようにしたものである。実際の素子は、2個の素子を接続したものではなくモノリシック構造となっている。TRIACとは、Triode AC Switchの略であり、1964年にゼネラル・エレクトリック社で初めて開発された。
交流の双方向スイッチング制御に用いられる。
[編集] 逆導通サイリスタ(Reverse Conducting Thyristor:RCT)
逆導通サイリスタは、サイリスタとダイオードを逆並列に組み合わせて1素子に構成したものである。チョッパ、インバータ回路に多く用いられた。
[編集] 光サイリスタ
光サイリスタは、光信号によって直接点弧させるサイリスタである。
制御回路と電力回路とを完全に絶縁でき、ノイズによる誤動作を少なくすることができるので、高電圧の交流電源回路に用いられる。
[編集] 関連項目
- ゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn Off Thyristor): ゲートに逆電圧をかけることによってターンオフできるサイリスタ。
- チョッパ制御
- サイリスタ位相制御
分類 | P型半導体 | N型半導体 | 真性半導体 | 不純物半導体 |
---|---|
種類 | 窒化物半導体 | 酸化物半導体 | アモルファス半導体 | 電界型半導体 | 磁性半導体 |
半導体素子 | 集積回路 | マイクロプロセッサ | 半導体メモリ | TTL論理素子 |
バンド理論 | バンド構造 | バンド計算 | 第一原理バンド計算 | 伝導帯 | 価電子帯 | 禁制帯 | フェルミ準位 | 不純物準位 | 電子 | 正孔 | ドナー | アクセプタ | 物性物理学 |
トランジスタ | サイリスタ | バイポーラトランジスタ(PNP、NPN) | 電界効果トランジスタ | パワーMOSFET | 薄膜トランジスタ | CMOS | 増幅回路 |
関連 | ダイオード | 太陽電池 |
その他 | PN接合 | 空乏層 | ショットキー接合 | MOS接合 | 電子工学 | 電子回路 | 半導体工学 | 西澤潤一 | 金属 | 絶縁体 |