カシオ日立モバイルコミュニケーションズ
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株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ(英文社名Casio Hitachi Mobile Communications Co., Ltd.、略称CHMC、CHモバイル)は、カシオ計算機株式会社と株式会社日立製作所のブランドの携帯電話の開発・供給を主に行う合弁会社である。
- 設 立 2004年4月1日
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[編集] 代表
- 代表取締役社長は大石 健樹である(2004年4月現在)。同氏は、2003年11月18日の会見当時はカシオ計算機通信事業部長であった。
- 出資比率はカシオ計算機51%、日立製作所49%。
- カシオ、日立共に、従来からau向け端末のみを製造しており、合弁会社においても両社が主にauに供給する端末を製造している。しかし、2006年1月にカシオ計算機がW-CDMA方式の携帯電話を製造・配給できるようになるライセンス契約の拡大をクアルコムと交わした。2006年2月現在、他キャリアに製品納入の話こそ出ていないものの、CDMA2000 1x方式以外の携帯電話を作る可能性はあり、そのような時はこの会社が端末の開発を行うものと見られている。
[編集] 業務内容
- カシオと日立の携帯電話事業を統合させたもので、詳細としては端末の開発・資材調達・設計を主に行っており、「カシオ日立」としてのブランドでは端末の販売はせず、カシオ・日立に端末を供給する形をとっている。
[編集] 製造について
- 端末の基本的な開発は統合されたものの、製造に関しては、カシオが山形カシオ、日立が東海テックに委託することになっている。
[編集] カシオ日立設立までの経緯
- 両社は現在のauへのみ端末を供給している。実際に、カシオは旧IDO&DDIセルラーグループ時代のcdmaOne方式『C303CA』(2000年)から、日立は旧DDIセルラーグループ時代の1989年にTACS方式の『HP-401』、旧IDOでは1996年にPDC方式の『D317』から端末を供給していた。
- 合弁会社(=カシオ日立)設立の話は2003年7月頃から始まり、2003年11月18日に正式発表。2004年4月1日からカシオ日立は動き始めた。カシオ日立最初の端末は、W21CA、W22Hであり、これ以降、カシオ、日立から発売される端末にはカシオ日立のソフトウェアが載っている。
- ソフトウェアはカシオ製ソフトウェアをベースに継承されたものとなったため、日立が数機種にわたり採用してきた「きくばりスイッチ」「ポケベル入力」といった機能が無くなり、設立以前からの日立機種ユーザーを嘆かせた (ただし「ポケベル入力」は2006年夏モデルであるW42Hより復活している)。なお、データ専用端末(W0xH)は100%日立製である。
- ちなみに、2004年3月に発売されたW21Hは、日立ブランドであるにも関わらず奇しくもカシオ製のA5401CAIIによく似た外観である上に、ソフトウェアもカシオ製のものが搭載されていた。さらにその前モデルであるW11Hでは、兄弟機のW11Kが京セラブランドで発売されている。日立は開発サイクルの長さによる工場の稼働率の悪さに苦しみ、合弁相手を模索していたようだ。
- 設立当初、拠点として富士ソフトABC(現富士ソフト)八王子事業所が同社ホームページ上に記載されていたが、そのような記載は無くなっている。一方、2006年からは立川オフィスが拠点に加わっている。このほか、飯田橋にもオフィスがある。
- 本社社屋は多摩モノレールからよく見えるが、いまだ「CASIO」の看板となっており、カシオ日立モバイルコミュニケーションズであることを示すのは正門の小さな記載のみである。また、屋上に見えるのはauの基地局アンテナである。
[編集] カシオ日立が開発担当の機種(型番順)
[編集] CDMA 1X
[編集] A5512CA
- 久々に、モノクロサブディスプレイ、CMOS素子のカメラを採用。Eメールバックグラウンド受信対応。EZナビウォーク搭載。外部メモリーを削除した代わりに、105グラムとかなり軽量。EZアプリはBREWに。(2005年7月)
[編集] A5513CA(G'zOne TYPE-R)
- A5512CAのG'zOneモデル。(2005年7月)
[編集] CDMA 1X WIN
[編集] W21CA&W21CAII
- CAシリーズ初のCDMA 1X WINモデル。au初のフルブラウザ『Opera』搭載。当初はOperaはダブル定額の対象外だったが、2005年5月1日より定額料金の適用対象になる(ただしOperaを使用するとダブル定額の上限が未使用時より高くなる)。ボディ形状は回転二軸型で、サブディスプレイはついてない。着信イルミネーションランプのみのシンプルなデザイン。画面は2.6インチで、QVGAよりも縦長の「ワイドQVGA」液晶を搭載。オートフォーカス対応2メガピクセルCCDカメラ搭載。Eメールバックグラウンド受信には非対応。『着うたフル』に対応。W21CA IIはマイナーチェンジ仕様。Operaの仕様とカラーバリエーションの違い。(W21CAが2004年12月、W21CA IIが2005年4月)
[編集] W22H
[編集] W31H(PENCK)
- au design projectモデル。デザインプロデュースは、クリエイターのサイトウマコト。折りたたみ式。コンパクトミラーのような、丸っこいデザインが特徴。サブディスプレイはデザインの処理上、ない。「メタル」のカラーは蒸着塗装技術によってメッキ塗装が施されている。ベースはW22H。なおテンキーのフォントに関しては、フリーのフォントを誤ってサイトウマコト作と発表。後に謝罪した。(2005年2月)
[編集] W31CA
- W21CAに、3.2メガピクセルCCDカメラ(オートフォーカス対応)とMicrosoft Office・PDF・HTMLファイルを閲覧できるPCドキュメントビューアーを搭載。(2005年7月)
[編集] W32H
- au初の、EZ FeliCa、au ICカード対応モデル。折りたたみ式。Hシリーズ初のSD-Audio機能・FMラジオチューナー、フルブラウザ、PCドキュメントビューアーも搭載。日立製のPC『プリウス』で録画した映像を再生する機能を搭載したり、イヤホンやマイク付リモコンを標準装備するなど、AV機能に力を入れたモデル。この機種のイメージキャラクターには、シンガーソングライターの安藤裕子を起用。(2005年9月)
[編集] W41CA
- 同社初のLISMOサービス対応モデル。カメラモジュールを従来型の3.2メガピクセルCCDから2メガピクセルCMOSモジュール(オートフォーカス対応)に変更するなどの工夫により、本体の厚さが22ミリと、大幅な小型化に成功。その他の機能はW31CAにEZ FeliCa・FMラジオチューナー・赤外線通信ポートなどを搭載したもの。操作キーのデザインがウェーブ状になっており、押し間違えを少なくさせる工夫がされている。コンパクトな中に売れ線機能を盛り込んだバランスの良さから発売直後から好評を博し、全キャリア中トップを独走するヒット商品となった。(2006年2月)
[編集] W41H
- 同社初の、ワンセグ対応モデル。(ただし、地上アナログテレビ放送には非対応)テレビ受信を意識したため、ディスプレイサイズを2.7インチにし、回転二軸スタイルを採用している。(W32Hの液晶部分を回転できるようにしたような感じのデザイン)ただしその代わり、重さが159グラムとかなり重いものになっている。録画と静止画保存も可能。LISMO・EZ FeliCa・フルブラウザ・等の機能が搭載。(2006年2月)
[編集] G'zOne W42CA
- 2005年、「G'zOne TYPE-R」で復活した耐水(JIS保護等級7相当)・耐衝撃性能を売りにした携帯電話シリーズ「G'zOne」がWIN対応となり進化したモデル。前作より耐水機能を強化してNTT DoCoMoのSO902iWP+との耐水ケータイ対決に備えるとともに、機能面ではLISMOサービス対応に加え、PCサイトビューアー(PCドキュメントビューアーは非対応)やau IC カード、赤外線機能、ICレコーダー、外部メモリ(microSD)にも対応するなど今まで要望の高かった機能や新機能に「Wシーン機能」・「モバイル辞書」を搭載している。好評の電子コンパスも引き続き搭載されている。しかし、EZ FeliCaには対応していない。(2006年6月)
[編集] W42H
- W32Hの後継機の位置づけがなされているW42H。機能面ではW42CAと同等だが、W42CAには搭載されていないPCドキュメントビューアーやEZ FM、EZ FeliCaが搭載されているかわり、電子コンパスは搭載されていない。外装ではさり気なく着せ替えできるパーツ「カスタムバングル」が用意され、ビジネス層を狙った端末となっている。(2006年6月)なお、W42CAとW42Hは電池表示が横から縦になった。
[編集] W43CA
- W41CAの後継モデルとなっているが実質的にはA5512CAの発展モデル。液晶は2.6インチワイドQVGA方式で、オートフォーカス搭載2メガピクセルCMOSカメラを装備。ボディタイプはスタンダードな折りたたみ式でサブディスプレイ(同社初の有機EL方式を採用)を搭載。デザインの雰囲気はA5512CAをそのまま受け継いでいる。外部メモリーはmicroSD(512メガバイトまで対応)を採用。auの新サービスでは「EZチャンネルプラス」「EZニュースフラッシュ」「au My Page」「デコレーションメール」「アドレス帳預けて安心サービス」に対応。またSD-AudioやEZ FeliCa、KDDI Common Platform(KCP)等にも対応。(2006年9月)
[編集] W43H&W43H II
- W41Hの後継モデル。ボディ構造は引き続き回転二軸方式を採用しているが、カラーリングが女性的な色合いになった。前機種同様ワンセグに対応しているが、デザイン上はテレビを強調しないものとなった。電池は同じものだが、集積回路の改良により最長視聴可能時間が4時間15分に延びた。外部メモリー(microSD・512メガバイトまで対応)に番組録画が可能であり、本体メモリ(50メガバイト)と合わせて2時間40分まで録画可能。それ以外の機能、スペック、対応サービスはW43CAとほぼ同じ。W41Hより小型軽量となり、バランスよくまとまっている。発売後に番号ポータビリティサービスが開始され、「au一人勝ち」に一役買ったといえる人気機種となった。W43H IIではカラーバリエーションやプリセットコンテンツの変更され、microSDの公式対応容量が2GBまで増加になっている。(2006年9月。W43H IIは2007年1月発売予定。)
[編集] E03CA
- G'zOne W42CAの法人向け端末。W42CAとの相違点として1200mAhの大容量バッテリーや同社初のBluetooth通信機能を搭載しており、法人専用のサービス「Business Messenger」に対応。ボディ色は黒のみ。(2006年12月)
[編集] cdma2000 1x EV-DO (海外モデル)
[編集] G'z One TYPE-V
- デザインはG'zOne TYPE-Rをベースとしているが、発売時期はG'zOne W42CAよりも後であり、EV-DO対応であることから内部的にはW42CAをベースとしていると考えるのが妥当であろう。
北米のCDMA900/1800規格に対応し、2インチQVGA液晶、2メガピクセルCMOSカメラ、1050mAhのバッテリーを装備。北米向けとあって、JIS規格ではなくMIL規格への準拠を謳っている。