着うたフル
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着うたフル(ちゃくうたふる)は、携帯電話で従来の着うたを1曲全体でダウンロードできる音楽配信サービスである。
圧縮率を約2倍に高めたHE-AACを使用することで、AACで圧縮された着うたの音質を維持したまま曲全体をダウンロードできるようになっている。着うたフルは、着うた同様、ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標である。
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[編集] 概要
2004年(平成16年)11月にauでサービスを開始。ソフトバンクモバイル(旧・ボーダフォン)でも2005年8月よりサービスが開始され、NTTドコモでは2006年6月よりサービスが開始された。価格は着うたが(1曲主価格帯80円から120円程度 - 消費税込み)であったのに対し、着うたフルは(1曲主価格帯210円から420円程度 - 消費税込み)となっている。データ量は前者では1曲あたりおよそ200キロバイト程度だったが、後者はおよそ5メガバイトまで配信することができる。なお、着うたフルは着信音やアラームとして設定可能であり、着信音用にはあらかじめ指定されている1~5箇所から着うたを取り出し、設定することができる。また、配信会社によっては着うたフルにCDのジャケット写真、歌詞カードが含まれている場合もある。大容量ゆえにパケット定額制を利用していない場合パケット料金に注意が必要である。
[編集] 対応機種
着うたフルは、着うたより後発であることと、データ量が着うたよりも大容量なことから、対応機種が限られていたが、最近ではほとんどの機種に対応している。
- auの場合、「EZ着うた」はCDMA 1X WIN全機種とCDMA 1XのA13xx・A14xx・A53xx(A5301Tを除く)・A54xx・A55xxシリーズに対応しているが、「EZ着うたフル」はCDMA 1Xでは通信速度が遅いことや機種自体にそれなりの処理能力が求められること、パケット定額制が適用されないなどの理由で対応しておらず、CDMA 1X WINでもW11H・W11K・W21H・W21K・W21S・W21SA・W32Kは対応していない。
- ソフトバンクモバイルの場合、703SH・703SHf・804SH・903SH・904SH・905SH・803T・903T・804N・804SSに対応している。基本的に2005年冬以降に発売された3G端末には標準対応している。
- NTTドコモの場合、FOMAP902iS・N902iX HIGH-SPEED・P702iD・903iシリーズ全機種に対応しているが、それ以外の機種では、ストリーミング形式で聞くことしかできず、端末本体に保存ができない。auでは40~48Kbpsの2Mバイトまでの配信だがドコモでは64~128Kbpsの5Mバイトまでの着うたフルをダウンロードできるようになっている。さらに、DCMMというフリーソフトによって自作可能であり、他社よりもユーザー受けは良い。
[編集] サイトの対応状況
着うたフルは、3キャリアに対応しているサイトは、2006年9月現在少数である。これはNTTドコモのサービス開始が2006年6月であり、同キャリアの着うたフル対応端末もまだ少ないためである。対応キャリアがauのみである配信会社もまだ多数存在するが、ドコモ・ソフトバンクモバイルへの対応も順次進むと思われる。
[編集] PC購入サービス
- auは2006年5月17日より、LISMO対応携帯電話向けに、「LISMO Music Store」を開設した。これは、au Music Portから音楽を購入できるサービスで、購入した音楽は携帯電話に転送して聞くことはもちろん、EZ着うたフルと同じく一部分を切り取って「着うた」にすることも可能である。ただ、1曲210円~420円(税込)と高めで、そのわりにビットレートが40~48Kbpsとかなり低いために音質はあまり良くない点が、問題視されている。配信楽曲数も約3万曲と、iTunes Store(日本版で約200万曲)など他の音楽配信サービスより少ない。
[編集] データの認証と移行
- 着うたフルは、電話番号が認証キーとなる。すなわち、ダウンロードを行った端末か、それと同じ電話番号を持つ端末でしか再生ができない。つまり、番号を変えずに機種変更すれば、機種変更後の端末でも楽しむことができる。(ただし、機種変更後の端末が着うたフル対応機種の場合に限られる。)なお番号ポータビリティで他社へ乗り換えた場合は、データの形式が異なるので着うたフルの引継ぎは出来ない。
- mini/microSDメモリーカード対応機種とメモリースティックDuo対応機種の間では、移動できない場合もある(例:W31K→W41S・W31S→W42Hなど)。なおauの場合、LISMO対応機種同士であれば、ソニー・エリクソン製端末とそれ以外のメーカー製端末間での引継ぎも可能である。
- LISMO対応機種ではPCの音楽ファイルを端末に直接転送することができない(ただし、SD-Audioなど他の規格に対応していれば、別途ソフトを用いれば可能であることもある。また、2006年12月8日にリリースされた、LISMO ver.3.0以降からは、AAC,WMA,WAVファイルのインポートが可能になったため、一部解消できる)。
- LISMO対応機種で外部メモリーに保存された楽曲は、LISMO非対応機種ではたとえ電話番号が同じであっても、再生できない。