たいまつ
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たいまつ(松明、トーチ、torch)は、光源や照明として使うために、手で持てるようにした火のついた木切れなどである。通常、長い棒やさおなどの突端に、松脂など燃えやすいものに浸した布切れを巻きつけたものである。
西洋の城や教会など石造りの建物や地下室では、電気のない時代、廊下や部屋に明かりを投げかけるために、壁の高いところに腕木で突き出させた燭台(sconce、突出し燭台)にたいまつを挿すこともあった。
たいまつの火をつける部分に硫黄と石灰を混ぜたものを使用すると、水の中に入れられた後でも炎が消えないたいまつが出来上がる。こうしたたいまつは古代ローマで用いられた。
たいまつを使って夜を照らしたり神聖な火を運ぶという神事や火祭りは世界各国に見られる。また、夏などにたいまつで田畑の上を飛ぶ害虫を焼く「虫追い」なども行われていたが、これも後に農作業から火祭りへと取り入れられ、火祭りに五穀豊穣、火除け、虫除けなどの意味が付される場合もある。
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[編集] 神事のためのたいまつ
たいまつは、祭りなどの神事で、夜間の照明や、神聖な火を運ぶものとして使われることもある。夜間の参道を照らしたり、参拝者がたいまつを掲げて行列を組み神社などへ練り歩いたり、燃えやすい薪などの木ぎれを組んで作られた祭事用の「大松明」に火をつけて夜を照らしたり下界へ走り抜けたりするなど、たいまつを使った様々な「火祭り」が行われる。同様に火を使う儀式には送り火や灯篭流しなどもある。こうした夜を徹する神事や、神々や死者などへささげるためのたいまつの使用は、日本に限らずアジアや古代ヨーロッパやギリシャ・ローマなど、世界各国のあらゆる民族に共通して見られる。
神聖な火を運ぶたいまつ(トーチ)で世界的に有名なものは、オリンピックの際、採火から閉会式まで消さない聖火をギリシャから各国、開催国内をリレーして走る際にも使われている聖火リレーのトーチである。このトーチは、1936年のベルリンオリンピックで映画監督・レニ・リーフェンシュタールの発案で導入されている。
[編集] ジャグリングのためのたいまつ(トーチ)
ジャグリング用トーチは、トスジャグリングの道具として用いられる。トーチはジャグリングの間、空中に投げ上げられては受け止められまた投げられるということを繰り返す。ジャグリングナイフやクラブを投げるのと方法は同じだが、トーチの放つ音と火の残像が観客により強い印象を与える。しかし火を使うことは危険であるため、素人には困難なジャグリングであり、熟練したジャグラーでもめったに火傷することはないとはいえ注意を要する。
[編集] シンボルとしてのたいまつ
たいまつ(トーチ)は、「闇を照らす」「世を照らす」ことを象徴する一般的なエンブレムである。たとえば右手にたいまつを持つ自由の女神像の正式名称は「世界を照らす自由(Liberty Enlightening the World)」である。下向きにして交差させたたいまつは古代ギリシアや古代ローマによく見られる喪のしるしであった。下を向いたたいまつは死を象徴し、一方、上を向いたたいまつは再生する炎の力を表し生の象徴であった。
闇を照らすトーチは政治結社や政党などのシンボルにも使われる。イギリスの保守党のロゴにはたいまつを持つ手があしらわれ、同じくイギリス労働党の1983年までのマークでは農民を意味する鍬にたいまつをクロスさせていた。ザイールの国旗にも革命や自由を表すたいまつを持つ手が中央に置かれていた。
[編集] ローマ・カトリックでのたいまつ
カトリック教会では、公共の崇拝を受けたことのあるものは、決してその地位から完全に下ろさないという長い伝統がある。かつて、たいまつは聖体拝領の儀式の進行の際に単に照明をおこなうためのものだった。これがもととなり、たいまつは荘厳ミサにおいて欠かせないものとなり、重要な役割を果たすようになった。
エイドリアン・フォーテスキュー(Adrian Fortescue)の1912年の著書『ミサ:ローマの礼拝に関する研究』("The Mass: A Study of the Roman Liturgy")によれば、礼拝におけるたいまつのより正しい形式は、自立式でない、誰かが支えないととならないものであった。しかし今日では、ヴァチカンですら、以前のものに代えて自立式の燭台に挿した背の高いキャンドルをたいまつがわりに用いている。こうした照明はたいまつ持ちに運ばれ、三聖誦とともに入場し、聖餐拝受(コムニオン)とともに退場する。
聖公会の中のハイ・チャーチ(高教会)や、ルーテル教会の一部には、たいまつを礼拝の中に使うところもある。
[編集] トーチランプ
建設現場で「トーチ」と言えば小さな手持ち式の熱い炎を出すバーナーで、酸素とアセチレン(またはプロパン)を燃料とし、鉄など金属の切断や溶接するために使われるものである。