ごみ問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ごみ問題(ごみもんだい)とは、生活や産業において発生したごみ、廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物を含む)に関連した問題のこと。
目次 |
[編集] 最終処分場の問題
人が生活していく上で、ごみ(廃棄物)は必ず発生するものであり、これらを焼却処理した場合でも減容とはなるものの最終的には焼却灰が発生し、いずれもこれらを埋立する場所(最終処分場)が必要となる。
最終処分場へ運び込まれる廃棄物には、重金属やダイオキシン類などの有害物質を含むものもあり、このような有害性の高い廃棄物については特別管理廃棄物に区分され、周辺への安全性の確保から、特別な構造基準により設置がされている。しかしながら、構造基準制定前の緩い構造基準で造られた処分場や、既設のミニ処分場・自社処分場(設置構造基準がない)から、有害物質が一般環境中に拡散する問題が各地で発生し、また環境基準には設定されていない物質(樹脂の可塑剤(内分泌攪乱化学物質)など)についても既設処分場から一般環境中へ拡散する問題が発生している。
最終処分場が設置されている地域が水源地に近い山間部に設定されている場合が多く、水資源への汚染を恐れた市民により、新設反対や既設改善運動がたびたび起きている。
最終処分場の確保については自治体にとっても大きな問題となっている。
[編集] 焼却施設の問題
塩素を含む廃棄物の焼却によってダイオキシンが発生することが問題視されてから、焼却についてもさまざまな規制が行われるようになってきている。(例えば廃棄物の野焼きの禁止)
廃棄物の自区域内処理の政策により、ダイオキシン類の排出対策ができない焼却炉の廃止、対策済み炉の新設も進んでいる。
[編集] 医療廃棄物の問題
感染症に関する問題により医療器具の使い捨てが進むなかで、医療廃棄物[1]が適切な処理・処分がなされず、各地で発見されていた。不法投棄(下記の「不法投棄の問題」参照)の取り締まり強化に合わせ、古い廃棄物(感染性廃棄物の区分規定がない以前は、不燃物などとして処理・処分が行われており、安定5品目とされていたケースもあった)が発見される以外、新しい不法投棄は減ってきている。
[編集] 不法投棄の問題
正規の処分を行わず、人目に着きにくいところに捨てる不法投棄が行われている。犯罪であるが、起きてしまうと直接的な取締りが難しいことから、未然防止及び排出者責任を強化してきている。これにより、年々取り締まり件数が減ってきている。
廃棄物の中間処理施設ないし最終処分場に保管されている廃棄物は、保管しているのか、それとも事実上の廃棄なのかのを区別することは現行法では難しく、対応についての行政上の問題が残されている。
不法投棄の対策を促進するため、2003年度から10年間の時限法である産廃特措法(特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法)が制定された。
[編集] 資源のリサイクル問題
ごみの中には資源として使用可能なものもある。それらをリサイクルするための仕組みを作り上げることが課題となっている。
[編集] その他の問題
- 廃止された廃棄物処分場の再利用(特に構造基準の緩い処分場)
- ミニ処分場や自社処分場からの一般環境への汚染拡散
- 廃棄物処分場の早期安定化
- 不適切な区分
- 発生場所による区分と、物そのものによる区分の混乱
- 有価物と無価物の区分の混乱
[編集] 主なごみ問題
[編集] 脚注
- ↑ 医療廃棄物とは、廃棄物処理法では「感染性廃棄物」と言い「特別管理廃棄物」に区分される。この区分ができたのは、平成4年の改正からである。それ以前は、平成元年11月13日付け衛環第174号厚生省水道環境部通知「医療廃棄物の適正処理について」があったが、さらにそれ以前は特に規定はなかった。なお特別管理廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」として規定され、必要な処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っている。感染性廃棄物は、排出される施設により「感染性一般廃棄物」「感染性産業廃棄物」に分けられている。
(==関連項目==)