JR西日本681系電車
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681系電車(681けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)と北越急行が保有する交直両用の特急形電車である。
本項では北越急行所有の681系2000番台についても記述する。
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[編集] 概要
北陸本線の特急「雷鳥」、「スーパー雷鳥」で使用していた485系の老朽取替を目的に設計・製造した。九州旅客鉄道(JR九州)の783系「ハイパーサルーン」を嚆矢として、JR各社が民営化後に続々と新形特急車両を導入する中でJR西日本は最後発となったが、1992年(平成4年)7月に量産先行試作編成が登場した。
主回路方式は日本の交直両用電車で初めてGTO素子によるVVVFインバータ制御を採用した。
製造メーカーは川崎重工業・近畿車輛・日立製作所・新潟鐵工所(現・新潟トランシス、2000番台のみ)の4社である。
1997年までにJR西日本・北越急行の両社合計で102両を新製し、その後の増備は683系に移行した。
[編集] 番台区分概説
[編集] 1000番台
1992年(平成4年)7月に登場、同年12月より「雷鳥」臨時列車で営業運転を開始した量産先行試作車である。営業開始当時は「ニュー雷鳥」という車両愛称であった。
石川県金沢市の金沢総合車両所に、3連1本(T18編成)と6連1本(T07編成)の計9両が在籍する。
当初はクロ681形を富山方に連結していたが、編成の向きを後述の0番台と統一させるために、JR西日本鷹取工場で改造工事を施工することになった。しかし、改造工事中の1995年1月17日の阪神・淡路大震災で現4~6号車が被災した。同年3月から改めて工事を施工し、クロ681形は大阪方に連結し、同時に1000番台へ車両番号を変更した。塗色は0番台と同一のものに変更され、「Super Raicho THUNDERBIRD」のステッカーを貼付した。その後は9両固定編成として一部の「サンダーバード」に対して限定運用されていた。
2001年9月には9両固定編成から量産車と同じ基本6両編成+付属3両編成とするために6号車と7号車の付随車(サハ)を制御車(クハ)に改造し、一部車両では車両番号を変更した。2006年現在は「サンダーバード」で0番台や683系と共通運用しており、0番台や683系との連結も常態化している。
量産車との差異は、非貫通先頭車の排障器(スカート)にボルトが並んでいるのと、車両連結面の転落防止幌を装備しない点である。
2006年時点での内装は床材や座席モケットの模様、仕切り壁の色、車内案内表示器が683系と共通になっている。車内放送のチャイムは量産車と異なる。
[編集] 編成
- T07編成(基本) <6号車・クモハ681-1501 - 5号車・モハ681-1101 - 4号車・サハ680-1301 - 3号車・モハ681-1051 - 2号車・サハ680-1101 - 1号車・クロ681-1001>
- T18編成(付属)<9(12)号車・クハ680-1201 - 8(11)号車・モハ681-1301 - 7(10)号車・クハ680-1501>
[編集] 0番台
量産車は1995年(平成7年)2月に登場し、同年4月より営業運転を開始した。2006年現在、「サンダーバード」、「はくたか」で運用している。「はくたか」では北越急行ほくほく線内で最高速度160km/h運転を行なっている。金沢総合車両所所属。
「サンダーバード」用車両の編成記号は「Thunderbird」の頭文字「T」で、「はくたか」用車両の編成記号は「White Wing」の頭文字「W」である。
前述の1000番台では付随車2両に機器を分散搭載し、M(電動車)-T1(付随車)-T2の3両1ユニットとなっていたが、量産車では機器搭載を整理しM-Tの2両1ユニットと、動力関係機器の搭載のない純然たる付随車に改め編成の自由度を大きくした.
T編成・W編成ともに6両の基本編成と3両の付属編成が存在する。T編成は3連5本(T11,12,13,15,17)と6連4本(T01,02,03,06)の計39両、W編成は3連4本(W11,12,13,14)、6連4本(W01,02,03,04)の計36両である。
JR西日本の車両は、T編成に「THUNDERBIRD」(2001年までは「Super Raicho THUNDERBIRD」)、W編成に「Hakutaka WHITE WING」のステッカーを貼付している。
W編成は、ほくほく線内における単線のトンネルを高速で通過する際に発生するいわゆる「耳ツン」状態を防止するために気密性を高くしている。2001年(平成13年)に「サンダーバード」へ683系を投入した際に、681系「サンダーバード」編成から旧T4,T5,T14,T16の各編成を運用から外して気密性を強化するなどの改造を施工し、「はくたか」編成に編入させ(現W3,W4,W13,W14の各編成)、2002年(平成14年)3月に、JR西日本が担当する「はくたか」運用を681系に統一した。
[編集] 改造
T編成では683系との車内統一を図る目的で改造を施工した。
- 3号車と8号車の入れ替え(座席モケットの色も変更)…当初は3号車金沢方と4号車大阪方に乗降扉がなかった。
- 3号車を8号車へ組成位置を変更すると同時に、車掌室を撤去し自動販売機と座席を1列増設
- 4号車の売店(プチカフェテリア)を撤去し自動販売機・車内販売準備室を設置、車掌室を3号車から移動
- 9号車のバリアフリー対応化…客用ドアを広幅化、車椅子対応トイレを設置、座席を2席分撤去し車椅子対応にした。
- グリーン車の液晶テレビを撤去
[編集] 編成
左側を和倉温泉・越後湯沢方、右側を大阪方とする。
- 基本編成 <6号車・クモハ681-501 -5号車・サハ680-1 - 4号車・サハ681-301 - 3号車・モハ681-201 - 2号車・サハ680-2 - 1号車・クロ681-1>-T01編成
- 付属編成 <9(12)号車・クハ681-201 - 8(11)号車・モハ681-1 - 7(10)号車・クハ680-501>-T11編成
[編集] 運用
T編成は「サンダーバード」683系と共通運用しており、681系と683系の連結も恒常化している。12両編成を組む場合は7~9号車が683系となるほか、9両編成では683系基本編成と681系付属編成の組み合わせも多い。
W編成は北越急行が所有する同系2000番台(後述)や683系8000番台と共通に「はくたか」で運用している。
「はくたか」に比べて「サンダーバード」の方が臨時列車の設定が多いため、W編成を「サンダーバード」の運用に充当することがある。ただし、T編成はW編成と違って気密性強化をしていない関係で、T編成を「はくたか」の運用に充当することはない。
[編集] 2000番台
「はくたか」の運行距離相殺の為に北越急行も当系列編成を2本保有している。1996年(平成8年)8月にN01・N11編成が、同年12月にN02・N12編成が落成した。N01は川崎重工、N02は新潟トランシス、N11とN12は近畿車輛で製造。
車両自体はJR西日本車両のOEMであり、塗装は赤帯としてJR西日本の青帯の車両と区別している。書類上の所属は北越急行・六日町運輸区だが、保守整備はJR西日本に委託しており、金沢総合車両所で一括して整備している。この2000番台では0番台T編成・W編成と異なり「WHITE「Snow Rabbit Express」のステッカーを貼付する。内装はJR西日本の車両と共通である。
3連2本(N11,12)と6連2本(N01,02)の計18両が存在する。
[編集] 編成
- 基本編成 <6号車・クモハ681-2501 - 5号車・サハ680-2002 - 4号車・サハ681-2201 - 3号車・モハ681-2201 - 2号車・サハ680-2001 - 1号車・クロ681-2001>-N01編成
- 付属編成 <9号車・クハ681-2001 - 8号車・モハ681-2001 - 7号車・クハ680-2501>-N11編成
[編集] 運用
特急「はくたか」限定で運用している。2005年(平成17年)3月1日のダイヤ改正からはW編成や683系8000番台編成と完全に共通運用となった。
[編集] 形式別概説
[編集] 制御電動車
[編集] クモハ681形500番台
T編成・W編成ともに基本編成の6号車に連結し、基本編成のみで運転する場合は富山・越後湯沢方面の先頭車になる。貫通構造であり、付属編成連結時に往来可能。客席は普通車自由席(定員64名)で、座席以外の設備はない。喫煙車。大阪方に乗降扉を備えるほか、越後湯沢方に乗務員用の扉がある。
[編集] 電動車
[編集] モハ681形
「サンダーバード」用T編成では3号車(禁煙車、旧8号車)、「はくたか」用W編成では8号車(喫煙車)に連結する。いずれも普通車指定席(定員72名)。両端に乗降扉を備え、座席以外の設備はない。
[編集] モハ681形1100番台
T07編成の5号車に連結し、-1101のみ存在する。車内の設備は後述のサハ680形に相当する。
[編集] モハ681形200番台
「はくたか」用W編成では3号車に連結し(禁煙車、定員68名)、乗務員室を備える。禁煙車。「サンダーバード」用T編成は8(11)号車(喫煙車、定員68名、旧3号車)に連結する。いずれも普通車指定席であり、自動販売機を備えている。大阪方に乗降扉を備える。
[編集] モハ681形1300番台
T18編成の8(11)号車に連結し、-1301のみ在籍する。車内設備はモハ681形200番台に相当する。
[編集] 制御車
[編集] クロ681形
「サンダーバード」用T編成の大阪方、「はくたか」用W編成の金沢・福井方先頭車(1号車)で非貫通構造である。全室グリーン車(禁煙車)である。定員36名。洋式便所と洗面所を設置。越後湯沢方に乗降扉を備えるほか、大阪方に乗務員用の扉がある。
[編集] クハ681形
「サンダーバード」用T編成の富山方、「はくたか」用W編成の越後湯沢方先頭車(9(12)号車、禁煙車)で非貫通構造である。「サンダーバード」で12両編成の運転を行なう際は富山方先頭車となる。普通車指定席として使用する。T編成はバリアフリー工事を施工したため定員は54名で、W編成は56名。便所(T編成は車椅子対応)、洗面所、自動販売機を設置。大阪方に乗降扉を備えるほか、越後湯沢方に乗務員用の扉がある。
[編集] クハ680形1200番台
T18編成の9(12)号車に連結する。-1201のみ存在し、車内設備はクハ681形に相当する。
[編集] クハ680形500番台
T編成・W編成ともに付属編成の7(10)号車に連結し、七尾線入線時は金沢方の先頭車に当たる。貫通構造であり、基本編成や683系付属編成を連結時に往来可能。下枠交差式パンタグラフ搭載。客席は7号車の場合は普通車自由席、10号車の場合は指定席として使用する(禁煙車、定員54名)。洋式便所、男子小用便所、洗面所、カード式公衆電話を設置する。越後湯沢方に乗降扉を備えるほか、大阪方に乗務員用の扉がある。
[編集] 付随車
[編集] サハ681形200番台
T編成・W編成とも基本編成4号車に連結し、普通車指定席(禁煙車、定員64名)として使用する。バリアフリー仕様であり、広幅の乗降扉と車椅子対応座席を設置。プチカフェテリアから改装した自動販売機と車販準備室のほか、T編成は乗務員室も備える。その他に車椅子対応便所、男子便所、洗面所、多目的室がある。越後湯沢方に乗降扉を備える。
[編集] サハ681形1300番台
T07編成4号車に連結する。-1301のみ在籍し、設備はサハ681形200番台に相当する。
[編集] サハ680形
2号車(普通車指定席)に連結する車両と5号車(普通車自由席、一部「はくたか」は指定席として使用)に連結する車両があり、いずれも禁煙車で定員は68名である。便所、洗面所及びカード式公衆電話を設置し、パンタグラフを搭載する。大阪方に乗降扉がある。1000番台ではモハ681-1101に相当する。
[編集] その他
- 投入当時、北陸新幹線は一部区間(糸魚川~魚津間、石動~金沢間)をスーパー特急方式として着工しており、当系列は将来的にこの新線で高速で走る事を目的に、最高速度は160km/hで設計した。その後この区間も含め全線フル規格に変更したが、ほくほく線での160km/h運転にこの設計は生かされている。
- ミュージックホーンは「ド・ミ・ソ・ド」の音階を奏でるタイプを搭載している。ミュージックホーンの他に、単音の電子笛も搭載されているという。
- 2006年4月1日から6月30日まで実施した、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東海旅客鉄道(JR東海)・JR西日本共同の「Japanese Beauty ホクリク」キャンペーンに合わせて、すべての先頭車に「Japanese Beauty ホクリク」ステッカーを貼付した。
- 高速特性の良い誘導電動機と高速向きのギヤ比ゆえ、ややアンダーパワーでも充分な高速性能は得られる。しかし低速トルクが弱く、また定格速度も高いため、急勾配区間ではモーターの冷却に充分な速度まで加速するのに時間がかかり、過熱しやすく焼損に至ったこともある。また富山地方鉄道乗り入れ当初、立山、宇奈月温泉付近の急勾配区間でトラブルが続発した。なお、現在は富山地方鉄道乗り入れは中止されている。
[編集] 関連商品
いずれも0・2000番台共通である。
[編集] 関連項目
- JR西日本の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
[編集] 外部リンク
- サンダーバード(JRおでかけネット)
- はくたか(JRおでかけネット)
- 681系の連結(2006年3月18日、金沢駅。サンダーバード20号。3GPP形式)
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