公衆電話
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公衆電話(こうしゅうでんわ)とは、街角の電話ボックス、商店の店先、駅やホテルなど不特定多数の人が出入りする公共施設内や列車、船舶、航空機等の交通車両内に設置され、誰でも利用の都度料金を支払えば通話可能な発信目的の電話機である。支払手段には、硬貨、プリペイドカード(テレホンカード)、クレジットカードが用いられる。日本のものでは100円硬貨を使用した場合に釣銭が出ず(10円硬貨または100円硬貨のみが使用可)、そのことが長年にわたって問題視されてきた。
着信可能なものも多いが、街頭に設置されているものは悪用防止のために電話番号が公開されておらず、呼び出し音が鳴らないものが多い。(例外として、警察本部の通信指令室からは通報後の回線保持により呼び返しが出来る他、駅売店併設の物では上位部署(運営者のスーパーである場合が多い)が店と連絡を取る場合に鳴る事やテレビ番組などの収録で鳴ることもある)なお、公衆電話の番号は、語呂合わせで縁起が悪い番号が割り当てられる場合が多いといわれている。
公衆電話の設置場所については、NTTでは公表していない(店舗内にも設置されている場合があるため把握できない)。そのため、簡単に調べることは不可能であり、まれに設置マップが存在したとしても、それは地域住民の独自の調査で作られたものである。なお、精密地図で有名なゼンリンでも公衆電話設置箇所がわかる地図は販売していない。
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[編集] 2006年現在の日本国内の公衆電話の種類
NTT東日本・西日本、NTTコミュニケーションズ、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクテレコム(旧・日本テレコム)によって運営されているものがほとんどである。
設置された時期・場所によって様々な種類の公衆電話が設置されている。
[編集] NTT東日本・西日本管理のもの
1984年、設置台数が最高となる。
1995年までに、硬貨専用のものをテレホンカード使用可能なものに置き換えが完了した。
1990年代後半から携帯電話やPHSの普及により利用者が減少し、1995年度から赤字に転落。採算性を重視する「第2種公衆電話」は急速に撤去が進んでいるが、災害時などの緊急通報用として優先発信するためや、携帯電話・固定電話を所有できない人の連絡用として、利益を目的としない「第1種公衆電話」を市街地で500m・郊外で1km四方に1台設置することになっている。ただし、当該公衆電話が公衆が利用可能であることは関係なく、極端な例ではあるが、防衛庁・自衛隊やNTTの建物のような、関係者以外立入禁止区域に設置して、特定の人物のみに使用させるようにしても法令違反にならないことになっている。また、KDDIのビルなどライバル会社の建物内にもNTTの公衆電話は設置されている。
下記2種類の街頭設置のものである。
- アナログ公衆電話 - 緑色の外観。10円・100円硬貨とテレホンカード併用のものと、テレホンカード専用のものとがある。以前はテレホンカードによる国際電話対応のものがあったが、現在では利用できなくなっている。屋外の電話ボックスに設置されたタイプと、施設屋内に設置の据え置きタイプがある。
- ディジタル公衆電話 - グレーと緑色の外観。ISDN回線を利用した公衆電話。10円・100円硬貨とテレホンカード併用のものと、テレホンカード専用のものとがある。一部だが国際電話にも対応。グレー色のものPC、PDAなどの接続用にRJ-45(ISDNデジタルモード接続)とRJ-11(モデムのアナログモード接続)コネクタが用意されている。施設屋内に据え置かれているタイプと屋外の電話ボックスタイプがあり、後者はNTTドコモのPHS用の基地局を同時に設置している物が多い(ボックスの上に黒いアンテナが立っている)。
[編集] 列車公衆電話
列車公衆電話とは、鉄道線路にLCXや無線基地局を併設し、車内設置の公衆電話機と無線で通信を行う公衆電話のこと。現在は新幹線内設置が多いが、在来線や私鉄特急などでも設置されている。
[編集] NTTコミュニケーションズ・NTTドコモ管轄でJR各社管理のもの
- 新幹線公衆電話 - 秋田・山形新幹線内を除く新幹線の列車無線システムLCXを利用したもの。秋田・山形新幹線内はNTTドコモが提供。それ以外はNTTコミュニケーションズが提供が多い(九州新幹線を除く)。無線設備、公衆電話本体はJRが設置管理している。
- 現在、新幹線からの発信のみ可能(NTTコミュニケーションズ管内電話ではPHS、NTTドコモ以外の携帯電話、新電電、フリーダイヤル等への発信は不可)。
- 以前は、一般電話から「107」をダイヤルし、オペレータに列車名(例・のぞみ5号)と呼び出したい人の名前を告げれば、呼び出し電話による着信も可能であったが(ビュッフェ・サービスコーナーの店員が車内放送で呼び出すため、これらが営業していない列車では呼び出せなかった。700系では車内販売準備室の係員が呼び出した。)、2004年6月で着信サービスは終了した。
- 東北新幹線では着信サービス末期、呼び出し設備を有しない編成が大半であった為、前述の理由により利用できない場合が多かった。
[編集] ソフトバンクテレコム管轄でJR九州管理のもの
- 九州新幹線内設置の公衆電話 - 他の新幹線同様列車無線システムLCXを利用したもの。ソフトバンクテレコムが提供しているため支払いに「テレカ」は使えず、ソフトバンクテレコム発行の「コミュニケーションカード(通称:コミカカード)」(1枚1,000円)を車掌から購入する。
- 車内での「もしもしカード」利用は平成18年10月31日までとなり、11月1日からは「コミュニケーションカード(通称:コミカカード)」の利用となる。
[編集] NTTドコモ管理のもの
- 衛星公衆電話 - 衛星電話システムを利用したクレジットカードのみ使用可能な発信・着信とも可能なのもので、内航船舶や他の通信手段が無い地点に設置されている。データ通信・ファクシミリ通信の可能な専用端末も提供されている。2001年12月19日サービス開始。
- 新幹線以外の列車・高速バスの公衆電話 - 携帯電話(自動車電話)システムを利用したテレホンカードのみ使用可能な発信専用のもの。通話できる範囲がそのまま携帯電話のサービスエリアであるためトンネル内などでは使用できない。一般公衆電話同様、撤去が進んでいる。
[編集] その他事業者管理のもの
- KDDIの公衆電話 - 旧KDDにより設置された、オペレータを経由した国際電話の専用機。支払はクレジットカード。主にホテルや空港などに設置。
- ソフトバンクテレコムの公衆電話 - 九州新幹線内設置。支払いは、車掌からコミカカード(1枚1,000円)を購入する。
- カードC
- 広告付き無料公衆電話 - CMを見聞きしたあと、一定時間無料で通話が可能となり、その間も画面のみで広告が流れているもの。通話先や連続通話に制限がある。広告料で設置費用や通話料などを賄っている。
- 京都の清水寺などに設置され修学旅行の学生などの使用も多い。
[編集] 日本の停止された公衆電話サービス
- 日本テレコムの公衆電話 - 愛称「駅でんくん」。1990年頃から主要なJR鉄道駅、JR病院などのJR関連施設に設置された。NCC系は当初、発信側の市内通話とNCCが提供する中継区間、それと着信側の市内通話料の合計額という料金体系であったが、この公衆電話は日本テレコムに直収されていたため、発信側の市内通話料が不要であった。加えてNCC系の市外通話ではNTT公衆電話より料金が安く、クレジットカードが使えたためそこそこの利用はあったものの、逆に市内通話は割高であった。採算性が悪いためか1999年サービス停止。
- 日本高速通信(→KDD→現KDDI)の公衆電話 - 1990年頃から、高速道路の一部のサービスエリアに設置されたが、旧KDDへの吸収後の1999年頃サービス停止。NTT以外の事業者が提供しながら、NTTのテレカも使える、おそらく最初で最後の公衆電話
- 船舶公衆電話 - 旧方式船舶電話を利用した硬貨のみ使用可能なものが1981年9月29日サービス開始、1993年9月30日サービス停止。陸上基地局の新方式船舶電話利用のテレホンカードのみ使用可能なものは、1988年11月16日サービス開始、1999年3月31日サービス停止。衛星電話を利用したテレホンカードのみ使用可能なものは、1996年3月29日サービス開始、2004年3月31日サービス停止。
- 航空機公衆電話 - テレホンカードのみ使用可能な発信専用のもの。地上基地局を利用したアナログものが1986年5月6日・静止衛星を利用した衛星電話タイプが2001年7月31日、NTTドコモ(代理店はドコモ・センツウ)によりサービス開始。料金が1分500円と非常に高く利用が少なかったため、2004年3月31日ともにサービス停止。
- ICカード対応公衆電話 - NTTの新型のICカードタイプのテレホンカードに対応した公衆電話機。日比野克彦のデザインによる“アースカラー”を用いたコンパクトな外観が特徴。いわゆる偽造テレホンカード対策の決定版として登場。国際電話対応。従来の磁気式テレホンカードは使用不可能。PC、PDAなどの接続用にRJ-11コネクタとIrDA赤外線ポートを有する。また、Lモード契約者は、Lモードカードを挿入することによってLモードの利用が可能であった。この機種が公衆電話の最終モデルになった。しかし、従来の磁気テレホンカードが使用できず、ICテレホンカードの普及が進まず利用も低調だったうえ、偽造テレホンカードに対抗する技術が確立されたため、2006年3月末までに廃止され磁気テレホンカードの公衆電話へ再び置き換えられた。
[編集] 日本の公衆電話の歴史
- 1900年(明治33年)9月11日 - 上野、新橋の駅構内に初めて設置。“自働電話”と呼ばれ、磁石式であった。
- 1903年(明治36年) - 共電式公衆電話機設置開始。
- 1925年(大正14年)10月1日 - 自動交換電話の導入により、自働電話を公衆電話と改称。
- 1953年(昭和28年) - ボタン付き硬貨後納式の青電話の設置開始。相手が電話に出てからボタンを押し10秒以内に10円硬貨を投入していた。
- 1955年(昭和30年) - 10円硬貨前納式の青電話の設置開始。ダイヤル市外通話はできなかった。
- 1957年(昭和32年) - 近鉄特急2250系に日本初の列車公衆電話を設置。
- 1968年(昭和43年) - ダイヤル市外通話可能な10円硬貨前納式の大型青電話の設置開始。電話ボックスや鉄道駅などの電話コーナーに設置されていた。110番・119番への通報用の専用ダイヤル装置(緊急呼出器)が電話機の上部に別に取り付けられていた。
- 1973年(昭和48年) - 黄電話の設置開始。大きさは青電話と同じ程度の大型のもので、電話ボックスや鉄道駅などの電話コーナーに青電話と混在して数台設置されていた。10円硬貨に加え、初めて100円硬貨にも対応。ただし、お釣りは出ない(現在に至るまで同様の構造)
- 1975年(昭和50年) - プッシュ式黄電話の設置開始。緊急通報用のボタンで110番・119番への迅速な通報が可能。
- 1982年(昭和57年) - テレホンカード式公衆電話の設置開始。
- 1982年(昭和57年) - ディジタル公衆電話の設置開始。
- 1995年(平成7年) - テレホンカード式への取替え完了。
- 1999年(平成11年) - ICカード対応公衆電話の設置開始。
- 2002年(平成14年)11月 - 新規機種の開発の停止。
- 2005年(平成17年)1月20日 - ICカード対応公衆電話の廃止を決定。
- 2005年 - ICカード対応公衆電話の廃止に伴い、(磁気の)テレホンカード式公衆電話の新機種DMC-8Aを発売。カード度数・投入硬貨枚数の液晶パネル表示、ディジタル公衆電話等と同様に受話器を上げてそのまま(カード等の投入なしで)緊急通報・フリーダイヤル等へダイヤル可能な仕様(緊急通報用ボタンは廃止)が主な特徴。
- 2006年(平成18年)4月1日 - ICカード対応公衆電話を全廃。
[編集] 公衆電話の施設数
- 1985年(昭和60年度末)- 909,570
- 1986年(昭和61年度末)- 834,104
- 1987年(昭和62年度末)- 828,200
- 1988年(昭和63年度末)- 827,167
- 1989年(平成元年度末)- 828,010
- 1990年(平成2年度末)- 832,735(NTT:832,010)(日本テレコム:698)(KDD:27)
- 1991年(平成3年度末)- 831,124(NTT:830,199)(日本テレコム:875)(KDD:50)
- 1992年(平成4年度末)- 827,408(NTT:826,277)(日本テレコム:1,081)(KDD:50)
- 1993年(平成5年度末)- 821,291(NTT:820,131)(日本テレコム:1,110)(KDD:50)
- 1994年(平成6年度末)- 801,974(NTT:800,772)(日本テレコム:1,150)(KDD:52)
- 1995年(平成7年度末)- 800,520(NTT:799,306)(日本テレコム:1,157)(KDD:57)
- 1996年(平成8年度末)- 795,101(NTT:793,870)(日本テレコム:1,174)(KDD:57)
- 1997年(平成9年度末)- 778,470(NTT:777,200)(日本テレコム:1,213)(KDD:57)
- 1998年(平成10年度末)- 755,090(NTT:753,871)(日本テレコム:1,162)(KDD:57)
- 1999年(平成11年度末)- 736,622(NTT:735,812)(日本テレコム:753)(KDD:57)
- 2000年(平成12年度末)- 707,233(NTT東日本:344,761)(NTT西日本:362,472)
- 2001年(平成13年度末)- 680,635(NTT東日本:333,313)(NTT西日本:347,322)
- 2002年(平成14年度末)- 584,162(NTT東日本:285,358)(NTT西日本:298,804)
- 2003年(平成15年度末)- 503,135(NTT東日本:244,711)(NTT西日本:258,424)
- 2004年(平成16年度末)- 442,302(NTT東日本:213,398)(NTT西日本:228,904)
- 2005年(平成17年度末)- 393,066(NTT東日本:187,436)(NTT西日本:205,630)
(平成2年度~平成10年度は総務省発表の資料より) (平成2年度~平成10年度以外はNTT東西発表の資料より)
[編集] 関連項目
- 委託公衆電話 : 電気通信事業者が他者の施設内に設置し、施設の運営者に管理を委託しているもの。赤電話・小型青電話はこちらを参照。
- 特殊簡易公衆電話 : 飲食店などの店内に店舗の運営者などが設置するもの。ピンク電話は、こちらを参照。
- もしもボックス : 『ドラえもん』に登場する架空の道具。「丹頂型」と呼ばれる昭和中期の電話ボックスをモデルとしている。