篠ノ井線
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篠ノ井線(しののいせん)は長野県長野市の篠ノ井駅から長野県松本市の松本駅を経由して長野県塩尻市の塩尻駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。
途中、急峻な山間部を走るため、姨捨駅や3箇所ある信号場のうち2箇所がスイッチバックになっている。
事業基本計画および国土交通省監修『鉄道要覧』では篠ノ井駅を起点としているが、JR線路名称公告では塩尻駅を起点としており、また列車運行上は塩尻から篠ノ井へ向かう列車が下り、逆が上りとなっている。以下路線データ除き特記なければ、塩尻から篠ノ井へ下り方向に記述する。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者・日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):篠ノ井~塩尻 66.7km(線路名称公告では起終点が逆転)
- 軌間:1067mm
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:明科~田沢・松本~塩尻間(西条~明科間も路盤自体は複線対応だが現在は単線となっている)
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 保安装置:塩尻~松本 ATS-P、松本~篠ノ井 ATS-Sn
[編集] 路線風景
篠ノ井線は、塩尻から松本にかけての松本平と、長野市周辺の善光寺平を結ぶ路線で、線路は、同じく松本平と善光寺平を結んで流れる犀川の川筋ではなく、山越えのルートに敷設されている。これは、松本と長野の間が最近数十万年のあいだに激しく隆起・褶曲した結果、犀川が蛇行しつつ深い渓谷を形成して、川沿いに線路を引ける地形ではなかったためであった。姥捨付近の高所から見晴らす善光寺平は佳景で、日本三大車窓の一つに選ばれている。蒸気機関車時代は難所と呼ばれた冠着トンネルも技術革新のために苦もなく列車が通るようになった。
[編集] 運行形態
基本的に途中の松本駅を起終点にして中央東線(東京方面)、中央西線(名古屋方面)及び信越本線(長野方面)と直通する列車を主体に運転されている。
[編集] 優等列車
中央東線方面からは、特急「スーパーあずさ・あずさ」、「はまかいじ」(土・休日のみ)が乗り入れ、ほとんどの列車は松本駅を起終点としている。一部に大糸線方面への直通列車が設定されている。
中央西線方面からは、特急「しなの」が乗り入れ、すべての列車が信越本線長野駅に直通するが、臨時の「しなの」の中には大糸線乗り入れ列車や松本駅を起終点とする列車も存在する。
また、平日の朝には塩尻駅~信越本線長野駅間に下り1本のみ189系使用の「おはようライナー」(途中、村井・松本・田沢・明科に停車、篠ノ井は通過、乗車整理券が別に必要)が運転される。
[編集] 普通列車
塩尻駅ではなく松本駅が運用上の基点となっている。松本駅を起終点としている中央本線方面の列車は上下線とも中央東線方面から乗り入れる方が多い。一方、篠ノ井駅を起終点としている列車はなく、すべて信越本線の長野駅まで(から)乗り入れる。長野駅を起終点としている列車も大半は中央東線方面と相互直通運行される。一部は松本駅までのものもある。長野~松本間を朝夕に1往復(朝:長野→松本、夕はその逆)E257系使用の快速と長野駅~飯田線飯田駅又は天竜峡駅間を結ぶ快速「みすず」が運転される。快速みすず及び普通列車の車両は基本的に115系が使用される。松本を起終点としている中央西線方面の列車は一部を除き中津川駅まで運転される。車両は313系(一部115系)が使用される。
[編集] 歴史
1892年制定の鉄道敷設法に規定する「長野県下長野若ハ篠ノ井ヨリ松本ヲ経テ前項ノ線路(中央本線)ニ接続スル鉄道」で、信越本線と中央本線を接続する鉄道として計画されたものである。
1900年から篠ノ井方より順次延伸され、1902年に塩尻まで全通した。1906年には八王子から伸びてきた鉄道が接続して、東京~長野を結ぶ第2のルートが完成した。1909年の線路名称設定の際には、中央東線に含まれたが、中央東線が塩尻以西へ延伸されるに及び1911年に篠ノ井線として分離された。
- 1900年11月1日 - 【開業】官設鉄道 篠ノ井~西条 【駅新設】稲荷山、姨捨、麻績、西条
- 1902年6月15日 - 【延伸開業】西条~松本 【駅新設】明科、田沢、松本
- 1902年12月15日 - 【延伸開業】松本~塩尻 【駅新設】村井、塩尻
- 1906年6月11日 - 【延伸開業】塩尻~岡谷(八王子~篠ノ井間全通)
- 1909年10月12日 - 【国有鉄道線路名称設定】中央東線 昌平橋~篠ノ井
- 1909年12月1日 - 【区間分離】塩尻~篠ノ井
- 1911年5月1日 - 【線区分離】篠ノ井線 塩尻~篠ノ井
- 1927年11月3日 - 【駅新設】坂北
- 1933年7月10日 - 【駅新設】広丘
- 1937年1月31日 - 【信号場新設】冠着
- 1944年9月1日 - 【駅新設】南松本
- 1945年4月1日 - 【信号場→駅】冠着
- 1961年9月27日 - 【信号場新設】潮沢、桑ノ原
- 1961年9月29日 - 【複線化】塩尻~広丘
- 1963年6月12日 - 【複線化】広丘~村井
- 1964年9月25日 - 【複線化】南松本~松本
- 1964年10月1日 - 【電化】南松本~松本
- 1965年4月27日 - 【複線化】村井~南松本
- 1965年5月20日 - 【電化】塩尻~南松本
- 1965年9月27日 - 【信号場新設】平瀬
- 1966年3月27日 - 【信号場新設】羽尾
- 1966年12月10日 - 【複線化】田沢~明科
- 1972年2月1日 - 【CTC化】全線
- 1973年3月28日 - 【電化】松本~篠ノ井
- 1976年4月1日 - 【駅名改称】麻績→聖高原
- 1982年5月17日 - 【改キロ】塩尻~広丘(-0.5km)(塩尻駅移転)
- 1987年4月1日 - 【承継】東日本旅客鉄道(第1種)・日本貨物鉄道(第2種)
- 1988年9月10日 - 【改キロ】明科~西条(-0.7km)(新線付替) 【信号場廃止】潮沢
- 2007年春 - 【駅新設(予定)】平田(仮称)
[編集] 駅一覧
- 凡例
- ●:全ての列車が停車、▲:一部の列車が停車、◇:松本方面行きのみ停車、|:通過
- 普通列車は各駅に停車。
路線名 | 駅名\種別 | 営業キロ | 快速 | 快速みすず | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
篠ノ井線 | 塩尻駅 | 0.0 | ● | 東日本旅客鉄道:中央本線(岡谷・辰野方面) 東海旅客鉄道:中央本線(木曽福島・中津川方面) |
長野県 | 塩尻市 | |
広丘駅 | 3.8 | ● | |||||
村井駅 | 6.8 | ● | 松本市 | ||||
平田駅 | (仮称・2007年春開業予定) | ||||||
南松本駅 | 10.9 | ● | |||||
松本駅 | 13.3 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:大糸線 松本電気鉄道:上高地線 |
|||
平瀬信号場 | (17.5) | | | | | ||||
田沢駅 | 21.6 | ● | ● | 安曇野市 | |||
明科駅 | 28.2 | ● | ● | ||||
西条駅 | 37.2 | ● | ● | 東筑摩郡筑北村 | |||
坂北駅 | 40.9 | ● | ● | ||||
聖高原駅 | 45.0 | ● | ● | 東筑摩郡麻績村 | |||
冠着駅 | 48.3 | ◇ | ▲ | 東筑摩郡筑北村 | |||
羽尾信号場 | (52.0) | | | | | 千曲市 | |||
姨捨駅 | 54.2 | ◇ | ▲ | ||||
桑ノ原信号場 | (58.4) | | | | | ||||
稲荷山駅 | 62.9 | ◇ | ▲ | 長野市 | |||
篠ノ井駅 | 66.7 | ● | ● | しなの鉄道:しなの鉄道線 | |||
信越本線 | |||||||
今井駅 | 68.8 | | | | | ||||
川中島駅 | 71.0 | ◇ | ● | ||||
安茂里駅 | 73.1 | | | | | ||||
長野駅 | 76.0 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:長野新幹線・信越本線(直江津方面) 長野電鉄:長野線 |
[編集] 過去の接続路線
- 松本駅:松本電気鉄道浅間線 - 1964年4月1日廃止