しなの (列車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
しなのとは、東海旅客鉄道(JR東海)が大阪駅・名古屋駅~長野駅間を東海道本線・中央本線(西線)・篠ノ井線・信越本線経由で運行するエル特急。
なお、大阪駅発着は1日1往復でその他は名古屋駅発着である。
[編集] 運行概況
篠ノ井線、信越本線が所属する東日本旅客鉄道(JR東日本)管内では唯一「エル特急」を名乗る。
車両数は基本的に383系電車6両編成が基本だが、増結用編成が多数有り、利用状況に応じて増結して運転されることも多い。グリーン車は最低1両つないでいる。
増結用編成は普通車のみの2両編成とグリーン車組み込みの4両編成の2種類があり、10両を最大として様々な組み合わせで増結される他、多客期以外は増結用編成のみ(2両+4両)で定期運用にほぼ毎日入っている。
臨時運用では381系のほか、383系増結用4両のみの運行もある。
塩尻がJR東日本と東海との境界駅であるため乗務員はこの駅で交代する。また、大阪発着の1往復は途中、名古屋駅で交代するほか、米原駅で管轄が西日本旅客鉄道(JR西日本)と東海旅客鉄道(JR東海)に分かれるため、乗務員はこの駅でも交代する。なお一時期、JR東日本・JR西日本乗り入れ区間も含めてすべてJR東海の車掌が担当していたこともある。JR東日本の車掌も名古屋まで乗務していた。現在でもJR東海所属の乗務員がJR他社区間の乗務を担当する列車は「南紀」のみ。車内販売はJR東海パッセンジャーズが担当し、塩尻~長野間を含めて営業している。ただし、大阪発着列車については大阪~名古屋間は車内販売員は乗務していない。
利用客は東海・関西方面からだけでなく長野県の南北を連絡する地域輸送も担い、木曽中信から県都長野にかけての利用も多い。自由席は2両しか無く、慢性的に混雑している。増結時でも自由席車両の増結はない。
JR東海の東海鉄道事業本部管内における乗降客数が名古屋についで多い金山には、上りの早朝1本・下りの夜1本のみが停車する(但し千種駅に関してはほぼ全列車停車している。)。構想の持たれた中信・木曽地域から中部国際空港方面や刈谷・豊橋地域から中信・木曽地域方面への金山における利便性高い接続は現在のところ実現を見ていない。中部国際空港方面へは、以前は自社の子会社であるJR東海バスの運行により名古屋駅からの中部国際空港へのリムジンバスが発着していて『しなの』もこのリムジンバスとの接続を計っていたが、2006年9月にリムジンバス自体が廃止されている。
- 使用車両
- 中央西線を中心に急カーブを通過することから、振り子式車両(制御振り子式)が用いられる。但し、東海道本線区間では振り子台車機能の使用が停止されている(架線が振り子式車両向けに張られてないため。381系参照。なお、JR西日本管轄区間では新快速などと同じ130km/h運転を行っている)。
- 383系電車 - 現在全ての定期列車に使用されている。また、臨時列車に使用されることもある。なお、同系使用列車は「(ワイドビュー)しなの」と案内されるが、単に「しなの」と呼ばれることの方が多い。
- 381系電車 - 臨時列車のみ
- 運転区間
- 定期列車
- 名古屋駅~長野駅:12往復
- 大阪駅~長野駅:1往復
- 停車駅
- 名古屋駅 - <金山駅> - (千種駅) - (多治見駅) - <<恵那駅>> - 中津川駅 - <<南木曽駅>> - <<上松駅>> - 木曽福島駅 - 塩尻駅 - 松本駅 - <<明科駅>> - <<聖高原駅>> - 篠ノ井駅 - 長野駅
- 大阪駅発着列車のみ、名古屋駅以西は新大阪駅、京都駅、米原駅、岐阜駅に停車。
- <<>>内の駅は一部列車が停車。
- <>内の金山駅は上りの早朝の1本・下りの夜の1本が停車。
- ()内の千種駅・多治見駅は上り名古屋方面行きは全列車停車。下りは速達列車のみ通過。
[編集] 中央西線優等列車沿革
- 1953年、名古屋駅~長野駅間を運行する準急列車に「しなの」の愛称が与えられる。
- 1954年~1961年、準急「きそ」の一部の車両が名古屋駅~新宿駅間を直通運転。
- 1959年、「しなの」急行列車に格上げ。
- 1961年、「しなの」に高出力急行気動車「キハ91形」による運行を開始。後に高出力特急気動車キハ181系気動車へのフィードバックがなされる。また、名古屋駅~長野駅間を運行する急行列車として「信州」(しんしゅう)の名称が与えられる。
- 1962年、名古屋駅~新潟駅間を長野駅経由で運行する急行列車「赤倉」(あかくら)の運行を開始。同時に、多治見駅→長野駅間を運行する準急列車「きそこま」運行開始。
- 1963年、「信州」の名称を上野駅~長野駅間の急行列車の名称とし、「しなの」に統合。これにより、「しなの」2往復体制となる。
- 1964年、準急列車の制度改正に伴い、「きそこま」急行列車に昇格。
- 1965年~1974年、毎年夏臨に名古屋駅~茅野駅および小淵沢駅間の東西直通ダイヤが設定される(しかし、なぜか1966年、1972年には設定されなかった)。その中には小海線・飯田線直通列車もあった。
- 1966年、「しなの」1往復増発し3往復体制となる。また、「きそこま」に長野駅→中津川駅間運行の列車を設定する。
- 1967年、「きそこま」の長野駅発列車を延長する形で「しなの」1往復増発。「しなの」4往復体制となる。また、「きそこま」は再び多治見駅→長野駅間の運行となる。
- 1968年、キハ181系気動車により「しなの」特別急行列車化。この時は1往復で名古屋駅~長野駅間での運行。また、従来、平行して運行されていた急行列車に「きそ」の名称を与える。
- 1971年、大阪駅~長野駅間運行の急行「ちくま」の昼行列車を格上げし、2往復での運行となる。また、名古屋駅~信濃大町駅間を運行する季節急行列車「つがいけ」運行開始。
- 1973年7月、中央本線電化に伴い、以下のように変更する。
- 1973年10月、「しなの」自由席設置の上エル特急化。
- 1975年、「しなの」完全電車化。「しなの」8往復で運行。
- 1976年~1977年、東海道新幹線リフレッシュ工事を行っていた日は、大阪~名古屋間で代替のため、「しなの」の停車駅を増やし、対応を行った。
- 1978年、「しなの」長野駅発着列車を1往復増便。
- 1982年11月15日、この日に施行されたダイヤ改正により以下のように変更する。
- 「つがいけ」を特急列車化。これにより、「しなの」大糸線白馬駅発着列車を1往復設定。
- 「赤倉」電車急行化。
- 1985年3月14日、この日に施行されたダイヤ改正により以下のように変更する。
- 「きそ」廃止。
- 「赤倉」運行区間を松本駅~新潟駅間とし、列車名を「南越後」(みなみえちご)と変更する。
- 1986年7月19·20日、急行「たてしな」が臨時列車として名古屋駅~小淵沢駅間を169系8両編成で運転。
- 1988年、「しなの」に展望室付きグリーン車を連結した列車の運行を開始。また、白馬駅発着列車を臨時列車とし、名古屋駅行きについては南小谷駅発とする。
- 1995年、ワイドビュー車両「383系電車」による臨時列車運行開始。
- 1996年、長野駅発着列車を383系電車に置き換えにより、名古屋駅~長野駅間を最短2時間43分で運転。また、このときより383系電車使用列車に「(ワイドビュー)」の称が冠されるようになる。
- 2000年、JR東海所属の381系電車は2編成12両を残し廃車となり、臨時列車のみの運用に。
- 2001年9月8・9・15・16日、臨時特急列車「あずさ木曽号」が東京駅(8時18分発)~上松駅(12時46分着)間を183系9両編成で運転(中央本線の特急列車として、また国鉄民営化後初の東西直通運転)する。
- 2003年、急行「ちくま」が臨時運用に格下げ。381系電車を使用することにより、名古屋駅~白馬駅·南小谷駅間を運転する臨時列車が、一部383系電車(4両)にて運用。
- 2005年、金山駅に上りの早朝1本・下りの夜1本のみが停車する。また3月25日~9月25日の間は愛·地球博開催に伴い、会場最寄駅である八草駅(会期中は「万博八草駅」)のある愛知環状鉄道線に接続する高蔵寺駅に1日4往復停車を行った。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 鉄道関連のスタブ項目 | 日本の列車 | 東海旅客鉄道