業界用語
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業界用語(ぎょうかいようご)は、同じ職業の集団内(業界)や、それに詳しい人たちの間で用いられる、一般に広く通じない単語や言葉である。その業界内での専門用語のほか、正式名称ではない略語、俗語、隠語のようなものも多い。様々なきっかけで、一般にかなり普及する言葉もある。
元々、使われ始めた経緯には、「他人に聞かれたくない」「知っているもの同士で」といった内向的な意向があったが、いつしか、各々の業界内での意思疎通を図る意味合いを持つようになってきた。現在では前者・後者が用途別に使い分けられている。
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[編集] 業界用語の一覧
各項目や項目内の内容の順番については、五十音順とする。
[編集] 医療
ドイツが医学先進国であったために、ドイツ語起源のものが多い。
- エッセン(essen、食事)
- ステる(sterben、患者が死ぬ)
- エント(退院)
- オーベン(上司)
- ネーベン(研修医)
- エキスト(extraction、抜歯)
- MR(medical reserver、医薬情報担当者。製薬会社から商品を売り込みに来る人)
- 全麻(全身麻酔の略)
- オペ(operation、手術)
- DOA(dead on arrival、病院到着時死亡)
- do.(イタリア語のdittoの略記、「同じ」の意)
[編集] 警察
- 洗う(くわしく調べる)
- お札(逮捕状、または捜索押収許可状)
- お礼参り(出所した人からの復讐)
- ガサ入れ(家宅捜索、強制捜査)
- ガセ(偽の証拠・情報)
- 完黙(「完全に黙秘する」の略)
- ごんべん(詐欺、「詐」の字のごんべんから)
- 桜田商事、本店(警視庁)(これに対して全国の所轄を支店という)
- さんずい(汚職、「汚」の字のさんずいから)
- チャカ(拳銃、オートマチック)
- レンコン(拳銃、リボルバー)
- はこ(交番)
- フライパン(カツアゲ。「カツをあげる」道具から)
- ホシ(犯人。「犯人の目星」から)
- びろ(サラリーマン、「背広」から)
- マル被(被疑者。あるいは容疑者・犯人)
- “被”では被害者と混同されてしまう為、マル容と言うところ、また“マル被”に対し“マル害”と言うところも。
- マル暴(暴力団)
- ラジオ(無銭飲食。ラジオの無線とを掛ける。)
- ヤサ(家宅)
- ヤマ(事件)
- わっぱ(手錠)
- デカ(刑事。明治時代、刑事は警官の制服ではなく角袖の着物を着ていたことから。「かくそで」の倒語「そでかく」の最初と最後を取ってデカと呼ぶようになった)
[編集] 芸能・音楽・放送
- あご(食事)
- あし(交通費または交通手段)上記と組んで「アゴアシ付き」(=食事・交通費主催者負担)のように用いられる。
- 雨傘番組(プロ野球中継が雨などで中止となった際に放送される番組。そのための番組収録は雨傘収録と呼ぶ。いつ放送されるかわからないので、内容は時事ネタではないものが多い。ナイター中止にならない限り結局放送されずじまいなこともある)
- イントレ(撮影用足場。映画イントレランスから)
- インベンション(小便に行く)
- 上・下(時計の針が12時・6時を指すこと)
- ウタ科(声楽科)
- オク(数字の8)音階の8度を示すオクターヴから。普通に「オクターブ」ともいう
- オケピ(オーケストラ・ピット)
- 押す(時間が足りなくなる)
- オリ(降り番・登場がない時間)
- カウキャチャー(提供番組が始まる前のCM)
- ガバチョ(布ガムテープのこと)
- 上手(カメラや観客から見て右側。「かみて」と呼ぶ)
- ギャラ(出演報酬。ギャランティーの略)
- ゲネ(最終リハーサル。ゲネプロ―General probeの略で通し稽古をも意味する)
- ゲルピン(金欠のこと。ドイツ語で「金銭」を表す "Geld" がピンチ(pinch)から)
- しだし(エキストラ “仕出し弁当”の様に注文した数だけ手配できることから)
- 下手(カメラや観客から見て左側。「しもて」と呼ぶ)
- 写譜屋(楽譜の浄書業)
- せっしゅ(対象を台上げする。ハリウッド俳優の早川雪洲から)
- つまむ(カットする。フィルムをつまむと、つまんだ部分が無くなることから)
- てっぺん(深夜12時のこと)
- デルマ(ダーマトグラフのこと)
- 天カメ(お天気カメラ)
- テンドン(同じ事を2、3回と繰り返し笑いを取ること)
- 時計(右回り)
- とっぱらい(給料を当日に現金で払うこと 「当日払い」の訛りか)
- トラ(エキストラ演奏者・役者)
- ナイン(数字の9)音階に該当が「無い」の駄洒落の意味がある。
- ナグリ(美術さんが使う片手ハンマー 握りは木製で槌の反対側が釘抜きになっている)
- 並び(ギャラが「33,333円」など同じ数字が並んだ数となること。この場合「3並び」という。10%源泉徴収され、手取りでは30,000円とキリのいい数字になる)
- ノリ(乗り番・登場する時間帯)
- バーター(束を逆に読んだもので、抱き合わせ出演の意味。格下の芸能人が事務所の先輩が出演する番組に出演し知名度を上げる目的がある。)
- ばらす(予定をキャンセルする)
- バミる(舞台の立ち位置をマークする。「場を見る」に由来)
- 番宣(番組宣伝の略)
- ピーカン(雲一つ無い晴天、缶ピースの蓋の反射から)
- ヒッチハイク(提供番組終了後のCM)
- 棒(指揮者)
- ボーヤ(ステージマネージャー “舞台袖の坊や”から)
- 巻く(予定や進行を急ぐ。逆に時間が余るときに進行をやや遅めにすることは「伸ばす」という)
- もぎり(捥ぎり。コンサート会場の入口でチケット半券を切る人、または受付係)
- 八百屋(対象を少し斜めにする)
- ロケ(スタジオ以外での外撮影。locationから)
- ロケハン(下見location huntingから)
- わらう(どかす、取り除く)
- MC(司会者 Master of Ceremonyから)
- M1, M2, M3, F1, F2, F3 (視聴者の世代を表すマーケティング用語。M=男性、F=女性、1=20~34歳、以後14年単位での区切り。なお、ティーンエイジャーは男女問わず「10代」で一括される)
- M1,M2,3,4・・・(コンサートにおける曲順を指す)
- BPM(速度記号。一分間当たりの拍数。「Beats per minute」の略)
- OA(英語の"on the air"より「放送中」の意)
- C,D,G,F,E,A,B(順番に数字の1から7まで)。ツェー、デー、ゲーというようにドイツ語読みをする。Cが最初になるのは音階の「ド」に当たるため。Bは「ハー(H)」と読む(「ベー」だとB♭になるから)。たとえば20万は「デージュー万」となる。
その他、逆さ言葉表現も定番となっている(例:ターヘー(下手)、ターギー(ギター)、シースー(寿司)、ギロッポン(六本木)など)。一文字の言葉は、その言葉の母音を最初にもってくる(例:イーヒー(火)、エーヘー(屁)など)。
- 使用例:歌が上手な声楽科の女の子と六本木ヒルズで寿司を食べたら、会計が15万8000円で高いデートになった。帰ろうとしたら雨がたくさん降ってきたのでタクシーがつかまらなくて、傘もないし金欠になって本当に大変だった。
- →ウタ科のマイウなセイガクナオンと、ギロッポンズルヒーのシースーイークで、ツェー十ゲー万オク千円で、イータカなトーデだった。リーカエしようとしたらメーアーがサンタクリーフーでシータクがつかまらなくて、サーカーイーナーだしゲルピンでほんとヘンタイだった。(現実ではこのような使い方をする人間はほとんどいない)
[編集] 公営競技
- 展示:競艇における「展示航走」、競輪における「展示走行」に当たる。事前の模擬レースのようなもので、予想の大きな材料となる。
- 流し:投票券の購入時、自身の本命を軸に残り全てに投票するやり方。「○番(から)流し」といった言い方をする。
- オモテ:連勝単式の投票券において、自身の本命を1着として買った投票券のこと。これを「流し」として買うことを、「2着流し」と区別して「1着流し」と言う。
- ウラ:連勝単式の投票券において、自身の本命を2着として買った投票券のこと。これを「流し」として買うことを「2着流し」と言う。
- 裏目:連勝単式の投票券において、買った通りとは逆の着順になること。
- マンシュウ(マンシューとも):配当金が1万円以上の金額になった場合の呼称。「万舟(競艇)」からという説が多いが、「万券襲来」が本来の意味である。「マンシュウ配当」とかに使われる。
- 本場(開催):競技場が主催で行うレースを意味する。
- 場外(開催):競技場が他の競技場において行われるレースの投票を受け付けること。
- 決まり手:競輪や競艇において、1着・2着または3着を確定させた技や方法のこと。
- 審議:何らかの理由により、レースの着順が判定出来ない場合に使われる。競馬では、着順掲示板に青いランプが点るため、審議そのものを「青ランプ(が点く)」とも言う。審議が終わるまでレースは確定しない。
- 掲示板に載る:特定の着順以上で着順掲示板に番号が掲載されることから、この着順以上でゴールすることを指す。常に特定着順以上でゴール出来る実力を「掲示板を外さない」と言う。
- ヨーロッパ:競輪において、格下、または格下と見られていることを指す。格下の選手が、4・6・8(ヨーロッパ)の枠に入っていることが多いため。
- ジャン:競輪の打鐘のこと。叩いた際の「ジャーン」という音からそう呼ばれる。
- タレる:本来ラストスパートを懸けるべきところで、失速してしまうこと。
- 選手道:競走選手間での暗黙のルール、またはファンと選手との間でのルールも存在する。仮に選手道に反しても主催者側からのペナルティがある訳ではないが、選手間やファンとの信用問題に発展し、結果的に本人の不利益に直結するため厳守とされる。競輪については、競輪#競走における競輪道を参照されたい。
- 特券:1000円単位で購入された投票券のこと。
[編集] 受験
- 過去問(カコモン。過去の大学入試問題)
- センター(大学入試センター試験の略)
- 宅浪(予備校に通わず自宅で学習している浪人生)
- 仮面浪人(第1志望ではない大学に通いながら、第1志望の大学への大学受験浪人生活をすること)
- 赤本(大学の過去問集。大学別に製本されている)
- 一本:本命の志望校だけを受験すること。
- 滑り止め(本命の学校以外に、不合格時のための保険を掛けて他の学校を受験すること)
[編集] 証券
- 板(売買の注文の表)
- 指値(価格を指定すること)
- 上場(証券取引所で株の売買を行えるようになること)
- 底(一番低い価格)例:底を打つ
- 手サイン(かつて立会場があったときに、注文を伝えた身振り手振りのこと)
- 天井(一番高い価格)
- ナンピン買い(価格が下がったときに株を追加購入して損失を減らすこと)
- 風説の流布(ふうせつのるふ、嘘を言って株価を操作すること)
- 火柱、火柱ら(ひばしら、特定の、もしくは全体の株価が急激に上がること 例:火柱高)
- 保振(ほふり、保管振り替え機構)
- 寄り付き(取引が始まること)
なお、一部の企業については独自の俗称が存在する。(例:「マルロク(屋号から)」=松井証券)
[編集] 大学
- キャンパス(大学の敷地、または大学)
- シラバス(「授業概要」を指す。これを読んで、授業の選択を行う)
- 般教(パンキョーと読む。一般教養科目の略。「共通」という大学もあり)
- 二外(第二外国語の略)
- フラ語(フランス語の略)
- ドイ語(ドイツ語の略。Germanから「ゲル語」とも言う)
- チャイ語(中国語のこと。Chineseから)
- 卒論(卒業論文の略。法学部は必須でない大学が多い)
- 代返(点呼の際出席していない人の代わりに返事をすること)
- カテキョー(家庭教師の略)
- ジュクコー(塾講師の略)
- 二重生活(学費や生活費を稼ぐため、授業以外の時間を勤労にあてること)
- 院(大学院)
- 飛び(飛び級の略)
- お飛びさん(大学3年から飛び級をして、大学院に進学した人のこと。「飛び」「三年」の略)
- 学食(学生食堂の略。味よりも安さ、というのが一般的)
- 就活(就職活動)
- 入院する(大学院に入る。暗に「大学院に入る人は病人だ」という意味も)
- シケプリ(「試験対策プリント」の略)
- ダブルスクール(他の学校にも通うこと)
- サティアン(大学の校舎。オウム真理教騒動のときに頻繁に使われて、1号館のことを第1サティアンなどと言っていたが現在は死語。異様な風貌をした校舎を指すことも)
- アブノーマル(A(優)B(良)の成績ばかりをnormal(普通)にとること。つまり「abnormal=異常」なこと)
- CDプレイヤー(C(可)D(不可)の成績ばかりをとること)
- 阿部さん・エビちゃん(A(優)B(良)のみの人を指す。ABがドイツ語で「アーベー」)
- 可山優三(可が山ほどあり、優は3つだけの成績を称して)
- 仮進(「仮進級」の略。進級単位数には満たないが、未達分は次期に取ることを前提に進級が認められること。大学によっては仮進単位数にも満たないにもかかわらず進級させることもあり、その際は「ヤミ進」と呼ばれる)
- 回生(関西の大学では、「○年生」という呼び方はせず「○回生」と呼ぶ。意味は全く同じ)
- ドツボ(非常に単位が取りにくい科目、またはその担当教授。逆は「ラクショー」)
- ヨンダイ(四年生の大学。短大の反語)
- ゼミ(ゼミナール、演習科目のこと。学部によっては任意)
- 新歓(新入生歓迎の行事。新入生に対して、部員獲得のために行なう行事の総称。「新歓コンパ」はその典型)
[編集] 鉄道
電報略号 (鉄道)も参照
- ウホ(運輸状況報告 うんゆ―ほうこく)
- ウヤ(列車を運休にする うんこうやすみ)
- 上屋(うわや、プラットホーム上の屋根)
- ウンチ(運転司令長 うんてんしれいちょう)
- オジヤ(ごちゃごちゃ。窓口で、釣り銭のコインが金種別に分類されておらず混ざってしまっている様子)
- オレカ(オレンジカード)
- 架線(仮線・河川などと区別するため、「がせん」と発音)
- カマ(蒸気機関車)
- カレチ(客扱専務車掌・旅客列車長 りょかくれっしゃちょう。腕章等には「乗客専務」と標記)
- カント(カーブにおける左右線路の傾き)
- スジ(列車。ダイヤグラムにおける列車の線。列車課員はダイヤ編成を担当する事からスジ屋と呼ばれる)
- スジを立てる(列車を速める)
- スジを寝かす(列車を遅くする)
- スジを殺す(列車の運行を中止する)
- タシカニ(鉄道駅における発車確認)
- タンコロ(単行機関車列車 貨車を引かず機関車単独で回送する)
- ターンテーブル(機関車転車台)
- とりこ(虜から。踏切上で動けなくなった自動車)
- トンネルドン(トンネル微気圧波。新幹線などがトンネルに進入したとき、反対側出口で発生する振動音)
- ニレチ(荷扱専務車掌・荷物列車長 にもつれっしゃちょう)
- ノリホ(乗車人員報告簿 のり人数のほうこく)
- ハザシ(普通車座席指定席 一・二・三等のイ・ロ・ハとざせきしてい) 同種にロザシ(グリーン車座席指定席)
- ハネ(B寝台 三等のハに“寝る”)同種にロネ(A寝台)
- バラス(砂利 本来は「バラスト」)
- 便長(びんちょう。郵便車の責任者。鉄道職員ではなく郵政職員)
- 本屋(駅長室を持つ建物)
- マグロ(轢死体)
- マルカン(新幹線)
- 耳ツン(トンネル進入時に気圧低下で耳が痛くなる現象)
- ラッチ(改札口)
- レチ((普通)車掌・列車長 れっしゃちょう)
[編集] パチンコ・パチスロ
- シマ:パチンコ・パチスロ店において、機種ごとの列を意味。「●●のシマ」
- ハズシ:パチスロの「リプレイハズシ」の意味。
- バケ:パチスロの「レギュラーボーナス」の意味。「ビッグがレギュラーに化けてしまった」というオカルト表現。
- リーチ目:パチスロでは「ボーナスの取りこぼし目」を意味し、ボーナス成立の目印。パチンコにおいては「近い内に当たりが来るサイン」といったオカルト表現で使われる。
- スベリ:パチンコでは液晶の数字が従来より滑って止まる演出を指し、概ね何らかのチャンスを示す。パチスロではリール制御を意味する。何らかのチャンス成立を意味する機種もあり。
- 確変:パチンコの「確率変動」の意味。当選すると次回の大当たり確率の期待値が約10倍になる。「次回のボーナスを保証する」といった解釈となる。通常確率に転落する機種も一部ある。
- 交換率:特殊景品の現金交換率を暗喩。「等価」は貸出価格と同率を示す。その他、パチンコでは「●.●円交換」、パチスロでは「●枚交換」と示す。前者は玉一個あたりの価格。後者は100円あたりの枚数を示す。
- オカルト:パチンコ・パチスロにおいて、科学的な根拠が無い攻略法を指す。特に違法性は無い。
- 役モノ:主にパチンコで演出に使用する可動式の器具を指す。作動した場合、概ね大チャンスの到来を意味する。
- ゴト:パチンコ機・パチスロ機に対し、何らかの器具などを使用し不正に出玉を得る方法。当然犯罪行為。ゴト行為をする人間をゴト師と呼ぶ。
- サクラ:店側が雇った人間を当たり台で遊戯させることで、一般客から見た店の印象を良くする行為。
- 持ち玉:主にパチンコ用語。出玉を交換せずに、その出玉で継続して遊戯すること。換金率の低い店の場合、客に有利な状態。
- フダ:パチンコ用語。交換札、無制限札。客席の上部に挿して、客の持ち玉遊戯の状態を把握する。
- 無制限:パチンコ用語。どの出目で大当たりしても、出玉で持ち玉遊戯が可能なルール。
- ラッキー:パチンコ用語。持ち玉遊戯が可能となる大当たりの出目。3,7等が多い。近年は無制限営業が多い。
- ネカセ:パチンコ用語。遊戯台の傾斜のこと。入賞率に影響する。