探偵物語
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探偵物語(たんていものがたり)
- 小鷹信光が企画原案を手掛けた松田優作主演のテレビドラマ及びその小説版。1979年日本テレビ系で放映。本項で記述。
- 1951年製作のアメリカ映画(パラマウント配給)。ウィリアム・ワイラー監督、カーク・ダグラス主演。原題"Detective Story"。シドニー・キングスレーの舞台劇の映画化作品。
- 別役実の小説。1977年刊。
- 赤川次郎の小説。
- バラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』内のコーナー。加藤茶と志村けんが探偵に扮する。THE DETECTIVE STORYを参照のこと。
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『探偵物語』は、1979年9月18日~1980年4月1日に日本テレビ系で全27話が放送されたテレビドラマ。主演の松田優作の中期の代表作。その後も再放送が繰り返された。現在でも名作として人気は高い。
小説版は原案者の小鷹信光が執筆しているが、原案として書かれたものではなく、ドラマ用の企画原案から派生したものである。
目次 |
[編集] ドラマ版
[編集] 概要
私立探偵の工藤俊作が、街の仲間達の協力を得たり、彼を邪魔者扱いする刑事をおちょくったりしながら様々な事件を捜査して行く。
作品の企画に伴いプロデューサー山口剛の早稲田大学在学時代からの友人でハードボイルド評論家・翻訳家である小鷹信光を招いてハードボイルド講習会を主催したりと企画段階では小鷹自身のハードボイルド論に基づいて本格的な主人公の設定が提案されている。しかし、実際の映像ではアドリブが頻発するなど、本気と冗談の境界線を行き来するかのような独特の世界観が築かれた。口数が多くコミカルな演技と吹き替えなしのアクションシーンのギャップ等、優作の演じた本作品の主人公はそれまでのシリアスでニヒルなハードボイルドのヒーロー像を一変した。優作が担当した予告編ナレーションも回を重ねるごとにエスカレートし、後半はあらすじがまともに紹介されず、舞台裏の事情や優作自身の近況報告に終始するなど放映当時としては画期的な楽屋ネタ。但し、最終回は一転してハードボイルドな展開であった。
[編集] 放送形式
- 日本テレビ系 火曜日 21:00~21:54
- この放送枠では本作の前に『大都会 PARTIII』、後に『大激闘マッドポリス'80』が放送された。このように、この枠はハードなアクションの作品が多く、コメディ色が比較的強い本作は、やや例外的である。
[編集] 登場人物
- 工藤俊作(松田優作)
- 東京都千代田区平河町の一角にあるビルに工藤探偵事務所を構える私立探偵。ユーモアと自由を愛する男。
- サンフランシスコで刑事をしていた過去(本編では殆ど紹介されていない。服部や松本も知らないようだ。)を持ち、市民権も持っているが、とある事件で仲間が殺された事で、その悲しみから仲間を作る事を恐れるようになり、日本に戻る(だが、舞い戻った日本でも、その性格から自然と仲間が出来るが、それが最終回での悲劇につながる事となる)。
- スーツと派手なカラーシャツを着こなし、ソフト帽とサングラスを愛用。移動手段はベスパP150X。タバコはキャメル(これについては第17話で「パチンコに行ったらキャメルが無かった」との発言がある)を好み、(カルティエ製)ライターの火力は常に最大。冬季はスーツの上からダウンジャケットを着込む。聞き込みの際には情報提供者にマイク付きテープレコーダーのマイクをかたむける。
- 「コーヒーに砂糖とミルクは入れない主義」、「午前中と日曜日は仕事をしない主義」、「職業蔑視はしない主義」、「手相は見ない主義」など多くの主義を持つ。
- 業務内容から警察に嫌疑をかけられしょっぴかれる事も多々あるが、前科はない。
※よく紹介文等で「マルボロ」と書かれているが、劇中では一貫して「キャメルフィルターズ」のソフトパックを愛烟している。一度だけ「ピース10」(通称ショートピース)を爪楊枝に刺して吸っている場面が有る(事務所にマルボロのロゴ入り灰皿がある)。
- ナンシー(ナンシー・チェニー)
- 工藤探偵事務所と同じビルに住むファッションモデル。頻繁に事務所を訪ねては工藤の世話をやきたがる。
- かほり(竹田かほり)
- ナンシーと同居している女優の卵。ナンシーと共に、頻繁に工藤の事務所を訪ねている。
- イレズミ者(野瀬哲男、前田哲郎)
- 工藤を慕うチンピラ風の男。野瀬哲男演じる初代は影が薄かったが、第19話で前田哲郎演じる二代目のお披露目が行われ、それ以降は活躍の場が増えた。最終話で殺される。
- 服部刑事(成田三樹夫)
- 事あるごとに工藤に付きまとい、因縁をつける刑事。そのために工藤からは煙たがられている。このドラマで有名な「工藤ちゃ~ん」というセリフは彼によるもの。極度の肩こりでよく金槌で肩を叩いている(本作の企画意図を理解した成田が、アドリブで舞台設営用の金槌を小道具として用いたのが始まりとのこと)。
- 松本刑事(山西道広)
- 服部の部下。工藤のことを目の敵にしているが、その腕前だけは認めており、第25話で服部が濡れ衣を着せられ逮捕された時は真っ先に工藤を頼ってきた。
- ダンディー(重松収)
- 工藤の昔からの腐れ縁。いつもマフィアの様に決めているが、一人の子持ち。最終話の終盤、工藤と最後に言葉を交わした。
- サブロー(庄司三郎)
- 山崎(榎木兵衛)
[編集] スタッフ
- 企画:加藤教夫(NTV)、黒澤満(東映芸能ビデオ)
- プロデューサー:山口剛(NTV) 伊藤亮爾、柴垣達郎(東映芸能ビデオ)
- 原案:小鷹信光(徳間書店刊 現在は幻冬舎刊)
- 脚本:丸山昇一、那須真知子、佐治乾、柏原寛司、中島紘一、宮田雪、白坂依志夫、和久田正明、内田栄一、井戸晶雄、桂千穂、田中陽造、大和屋竺
- 監督:村川透、西村潔、澤田幸弘、長谷部安春、加藤彰、小澤啓一、小池要之助、飛川三義
- 音楽:SHOGUN(CBSソニー)
- 音楽監督:鈴木清司
- 制作:東映芸能ビデオ
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ:「Bad City」
- 作詞・作曲:Casey Rankin 編曲:大谷和夫 歌:SHOGUN
- エンディングテーマ:「Lonely Man」
- 作詞:Casey Rankin 作曲:大谷和夫、芳野藤丸 編曲:大谷和夫 歌:SHOGUN
2曲ともシングル用、アルバム用、タイトルバック用、予告編用の4種類の音源が作られた(すべて別個に録音されたものであり、演奏やボーカルが微妙に異なっている)。「Lonely Man」は、録音時には「Once Again」という仮題が付けられていた。なお、シングルでは「Lonely Man」がA面扱いになっている。
1997年には、SHOGUNの再結成第1弾シングルとしてリメイクされた。こちらは「Bad City」が1曲目になっている。
[編集] サブタイトル
- 聖女が街にやって来た ゲスト:緑魔子、熊谷美由紀、山谷初男、佐藤蛾次郎
- サーフシティ・ブルース ゲスト:中島ゆたか、河原崎次郎、栗田洋子、藤木敬士
- 危険を買う男 ゲスト:藤木悠、長門勇、成瀬正、桑山正一
- 暴力組織 ゲスト:大友柳太朗、風間杜夫、山口美也子、江角英明
- 夜汽車で来たあいつ ゲスト:水谷豊、古尾谷雅人、原田美枝子、村松英子
- 失踪者の影 ゲスト:亜湖、片桐竜次、長島暎子、林ゆたか、今井健二、殿山泰司
- 裏街の女 ゲスト:赤座美代子、梅津栄、たこ八郎、丹古母鬼馬二、草薙幸二郎
- 暴走儀式 ゲスト:片桐竜次、八城夏子、加藤大樹、近藤宏、香山浩介
- 惑星から来た少年 ゲスト:樹木希林、岸部一徳、トビー門口、山本由香利、森川誠、三谷昇
- 夜の仮面 ゲスト:田口久美、内藤陳、久富惟晴、睦五郎、北原義郎
- 鎖の街 ゲスト:岩城滉一、三浦リカ、池乃ひろみ、内田稔、飛鳥裕子
- 誘拐 ゲスト:藤村有弘、ホーン・ユキ、岡本麗、関川慎二
- 或る夜の出来事 ゲスト:岸田森
- 復讐のメロディー ゲスト:范文雀、長谷川明男、江角英明
- 脅迫者 ゲスト:内田良平、山本麟一、明日香泉、草薙幸二郎、友金敏雄、汐路章
- 裏切りの遊戯 ゲスト:ジョー山中、根岸とし江、柄本明、小鹿番、長谷川弘
- 黒猫に罠を張れ ゲスト:高品格、宮下順子、葉山良二、久遠利三、桑山正一、梅津栄
- 犯罪大通り ゲスト:石橋蓮司、ハナ肇、熊谷美由紀
- 影を捨てた男 ゲスト:鹿内孝、中島ゆたか、戸浦六宏、山本昌平、片桐竜次、佐藤蛾次郎
- 逃亡者 ゲスト:清水健太郎、長島暎子、汐路章、山谷初男、大前均
- 欲望の迷路 ゲスト:岩城滉一、風吹ジュン、草薙幸二郎、三谷昇、浅香光代
- ブルー殺人事件 ゲスト:寺田農、片桐夕子、志賀勝
- 夕陽に赤い血を! ゲスト:結城しのぶ、田村亮、渡辺とく子、磯村健治、河合絃司、栗津號
- ダイヤモンド・パニック ゲスト:香山麗子、多々良純、天本英世、今井健二、団巌、林ゆたか
- ポリス番外地 ゲスト:中尾彬、田島令子、片岡五郎、池玲子、高城淳一
- 野良犬の勲章 ゲスト:峰竜太、水原ゆう紀、浜田晃
- ダウンタウン・ブルース ゲスト:古尾谷雅人、岡本ひとみ、南原宏治、内田稔、藤山浩二
[編集] 劇場版
1998年2月に『蘇る優作 -探偵物語特別編-』のタイトルで公開された。内容は竹中直人のナレーションによるメモリアル映像と、画面サイズを劇場用に調整した第1話・第5話。
[編集] 小説版
基本的な設定はドラマ版と共通してはいるが、工藤の事務所の所在地が下北沢になっていたり、松本に相当する刑事の名前が「松木」になっている等、細部が異なっている。内容もまったく異なり、小鷹信光が得意とするハードボイルド色を強く打ち出したものになっている。
ドラマ版の放送中に第2作まで発表されたが、第3作の展開を巡って小鷹と徳間書店の意見が分かれ、そのまま中断されてしまった。
1995年、全日空の機内誌に掲載された短編小説で工藤が復活。その後、工藤を主人公にした短編が断続的に発表されていった。それと平行して1998年10月に第1作が、1999年2月に第2作が幻冬舎から文庫化された。その際の条件として新作が刊行されることになり、短編の内容を大幅に膨らませた形で『新・探偵物語』2作が発表された。
[編集] パロディ
- フジテレビ系のバラエティ番組、『SMAP×SMAP』のワンコーナーとして『探偵物語ZERO』(主演:木村拓哉)が放送された。「THE ESPER SHOGUN」と名乗るグループが音楽を担当しているが、SHOGUNとの関係は不明。
- 同じフジテレビ系のバラエティ番組、『とんねるずのみなさんのおかげです』のワンコーナーとして『探偵物語'93』が放送された(石橋貴明が工藤役を演じる)。
- 2006年4月~6月期にTBS系で放送されたドラマ『弁護士のくず』も、本作のオマージュ的な色合いが非常に強く出た作品である。主人公の九頭元人(豊川悦司)が白いスーツにソフト帽で登場したり、ドラマだとあからさまにわかるアドリブや、カメラ目線や台詞などが多数使われていた。また、九頭が所属する弁護士事務所と同じビルの4階に「工藤興信所」が入居していた。
[編集] 関連項目
日本テレビ系 火曜21時台 | ||
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