感染症
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感染症(かんせんしょう、Infectious disease)とは、寄生虫、細菌、真菌などの病原性微生物や、ウイルス、異常プリオン等の病原体が体内に侵入し感染して増殖し発症する疾患の総称である。感染していても全く症状が出ない場合もあり、その場合には無症候感染と呼ばれる。
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[編集] 概要
世界での感染症での死亡者は全死亡者数の1/4程度を占める。現在でも新興感染症と呼ばれるエボラ出血熱やSARSのような新たな感染症の出現が大きな話題となっている。日本でも結核患者数の再増加、MRSAに代表される院内感染など、現在でも様々な問題が存在している。
日本では、感染症に対応するための法律として、従来の「伝染病予防法」、「性病予防法」および「エイズ予防法」が廃止・統合され、1999年4月1日から「感染症法」が施行されている。
一部の感染症は、悪性疾患の原因として関与していることが知られている。例えば、子宮頚癌や外陰部癌の原因となるヒトパピローマウイルスや、肝細胞癌の原因となるB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスや、バーキットリンパ腫の原因となるEBウイルスなどがあげられる。
[編集] 感染経路
感染経路は大きく分けて3つある。
- 患者の咳やくしゃみによって病原体が空気中に散布され、長時間に渡りそのまま浮遊し長い距離を移動して広がり、それを呼吸と共に吸い込む事で感染する。飛沫核感染とも言う。結核・麻疹・水痘がこの感染経路を示す。
- 患者の咳やくしゃみによって、唾液や鼻汁に付着した病原体が、唾液・鼻汁が人にかかることによって感染する。通常の風邪ウイルスやインフルエンザなどが感染経路を示す。
これ以外にも細かい経路がある。どの感染路を通るかは病原体ごとに決まっている。
- 血液感染
[編集] 病原体による分類
[編集] 細菌感染症
- レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA)、表皮ブドウ球菌、腸球菌、リステリア、髄膜炎球菌、淋菌、病原性大腸菌(0157:H7など)、クレブシエラ(肺炎桿菌)、プロテウス、百日咳、緑膿菌、セラチア菌、シトロバクター、アシネトバクター、エンテロバクター、マイコプラズマ、クラミジア、クロストリジウムなどによる各種感染症
- 結核、コレラ、ジフテリア、赤痢、猩紅熱、炭疽、トラコーマ、梅毒 、破傷風、ハンセン病、レジオネラ、レプトスピラ、ライム病、野兎病、Q熱など
[編集] 真菌感染症
[編集] 原虫感染症
- アメーバ赤痢、トキソプラズマ症、マラリア、 クリプトスポリジウムなど
[編集] 寄生虫感染症
[編集] ウイルス感染症
- インフルエンザ、ウイルス性肝炎、ウイルス性髄膜炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)、成人T細胞性白血病、エボラ出血熱、黄熱、風邪症候群、狂犬病、サイトメガロウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、進行性多巣性白質脳症、水痘、帯状疱疹、手足口病、デング熱、伝染性紅斑、伝染性単核球症、天然痘、風疹、急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹 、咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱、ハンタウイルス腎出血熱、ラッサ熱、流行性耳下腺炎、ウエストナイル熱、ヘルパンギーナなど
[編集] プリオン病
- 牛海綿状脳症(BSE)、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症(FFI)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)など
[編集] 感染部位による分類
[編集] 脳など中枢神経
[編集] 顔
- 鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎、眼窩蜂窩織炎など
[編集] 首
- 甲状腺炎、レミエール症候群など
[編集] 肺・気管支
[編集] 心臓・血管
- 感染性心内膜炎、心外膜炎、心筋炎、感染性大動脈炎、敗血症など
[編集] 腹
[編集] 泌尿器
- 腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、膣炎、骨盤内感染症など
[編集] 皮膚
[編集] 関節、筋肉、骨
- 感染性関節炎、骨髄炎、筋膜炎、筋炎など
[編集] リンパ節
- リンパ節炎
[編集] 感染症専門医とインフェクションコントロールドクター(ICD)
- 感染症専門医は日本感染症学会が認定する専門医資格であり、ICDは感染症や院内感染防止などを総合的に行う感染症対策のエキスパートである。
- 感染症専門医とICDは、感染制御の知識と実践に優れた医師・歯科医師であるが、ICDは医師、歯科医師以外でもなることが出来る。
- 両資格とも更新性資格の為、更新しないと無効となる。
- 看護師の場合、感染症対策看護師(感染症管理看護師とも呼ぶ)(ICN)という専門資格があり、それ以外にも医療現場の環境管理を行う医療環境管理士などの専門資格が存在する。
[編集] 関連学会
- 日本感染症学会*
- 日本環境感染学会*
- 日本口腔感染症学会
- 日本小児感染症学会*
- 日本性感染症学会*
- 日本眼感染症学会*
- 日本外科感染症学会*
- 日本結核病学会
- 日本エイズ学会
- 日本ハンセン病学会
- 日本骨・関節感染症研究会*
- 日本産婦人科感染症研究会*
- 日本耳鼻咽喉科感染症研究会*
- 日本臨床微生物学会*
- 日本細菌学会*
- 日本ウイルス学会*
- 日本医真菌学会*
- 日本寄生虫学会*
- 日本臨床寄生虫学会*
- *はICD協議会加盟団体であり、インフェクションコントロールドクターの登録機関である。
[編集] 関連
- 伝染病
- 感染症学/感染制御学(感染制御科学)
- 感染症新法
- 医学/歯科学
- 医療/医療行為/医業/歯科医業
- 公衆衛生学/疫学
- 微生物学/細菌学(口腔細菌学)/ウイルス学/免疫学
- 医師/歯科医師/薬剤師/臨床検査技師/看護師/歯科衛生士/臨床検査技師/診療放射線技師
- 感染症専門医/インフェクションコントロールドクター/感染制御専門薬剤師/感染症管理看護師(感染症対策看護師)/感染制御認定臨床微生物検査技師/医療環境管理士/滅菌技士
- 感染制御委員会(感染対策委員会)/感染制御チーム(感染対策チーム・院内感染対策チーム)