マグロ
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マグロ | ||||||||||||||||
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回遊するマグロ |
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分類 | ||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||
Tuna |
マグロ(鮪)は、スズキ目 サバ亜目 サバ科 マグロ属の魚の総称である。狭義にはそのうちの1種であるクロマグロを指す。いずれも海産魚で、食用にする。その身は美味で、日本人にもっとも好まれる食用魚のひとつである。
マグロは世界中の大洋に生息し、海中を高速で回遊する。かなりの大型魚であり、最大級のクロマグロになると、体長 3 m、体重 400 kg を超える。
常に水中を回遊し、休息時でも回遊しており一時も身体を休める事が無い魚である。また、身体を休めると死んでしまう。
目次 |
[編集] 日本人とマグロ
日本人は古くからマグロを食用とし、縄文時代の貝塚からマグロの骨が出土している。しかし腐敗しやすいこともあって高級魚としての扱いは受けなかった。江戸時代の豊漁の際、(腐敗を遅らせるために)マグロの身を醤油づけにした「づけ」が握り寿司のネタとして使われ出したのが普及のはしりという説がある。
近代以降も戦前までは大衆魚で、主として赤身の部分が生食されていたという。脂身の部分である「トロ」はことに腐敗しやすいことから不人気で、もっぱら加工用だったが、冷凍保存技術の進歩と生活の洋風化に伴う味覚の濃厚化で、1960年代以降は生食用に珍重される部位となった。なお、マグロの品質が低下しない冷凍温度帯は-30℃以下であり、実際の流通上では-50℃の超低温冷蔵庫に保管する。
1995年の統計では、世界のマグロ漁獲量191万tに対し、日本の消費量は71万tと圧倒的で、しかもそのうち60万tを刺身・寿司等の生食で消費している。加工品では「ツナ」もしくは「シーチキン」(商標名)と呼ばれるサラダオイル漬けの缶詰が好まれる。
過去、米国およびオセアニアにおいては脂身であるトロは商品的価値が低く、需要が低かったので、日本の商社はトロを安価で購入することが出来たが、日本食の「sushi」ブームの影響で欧米でもトロに対する需要が起こり、嘗てのような値段では購入出来ない状況にある。また、1990年代後半には台湾で、2000年代に入ってからは中国で日本食を中心とした海洋魚の人気が高まり、中国向けの漁獲が急増しているため、競争はますます熾烈になる情勢である。
[編集] 乱獲問題
マグロは一般にはえなわ漁で捕獲される。国内からの遠洋漁業だけではとうてい需要をまかないきれず、世界各国から冷凍マグロが大量に輸入されている。しかし、圧倒的な日本の需要に引きずられた世界中での乱獲が問題となり、国際的な資源保護が叫ばれている。特に運動の中心となっているオーストラリアの環境団体には、クジラ並みにマグロ漁禁止を求める強硬派がおり、日本も対応を迫られている情勢である。前述のように、マグロの需要は増加傾向にあって、資源確保と環境保護は漁業関係者の急務となっている。
[編集] 価格高騰
イラク戦争以降の世界的な原油価格高騰により、マグロ漁船の運航にも影響が出た。ほとんどの漁協・水産企業では漁船の燃費節約に迫られたが、対応できない水産企業が続出し、倒産が相次いだ。漁協の解散例もある。このため、国内でのマグロの漁獲高が減少し、マグロの価格は全体的に上昇している。
90年代後半から2000年代初めにかけて、台湾漁船の大量漁獲によって、日本での水揚げが減少したため、日本は減少分を台湾から輸入して維持したが、海洋資源保護の立場から、台湾のマグロ漁急拡大が批判されたため、台湾政府はマグロ漁の規制に乗り出し、マグロ漁船を公開解体するなどで海外にアピールした。台湾での規制によって日本へ入るマグロが減少し、原油高騰による価格上昇に拍車をかけている。
さらに、中国都市部での日本食ブームによってマグロ需要が急増し、日本の漁獲減少の隙を突いて、中国漁船による活動が拡大し、競争が激化している。また、乱獲防止と資源保護のため漁獲量が2割減が決まりさらに高騰するといわれる。
[編集] 水銀問題
海洋の食物連鎖の頂点に存在し、世界各地の海を回遊するマグロは水銀等の有害物質を蓄積しやすいという指摘がなされ、アメリカのFDA(食品医薬品局)は2003年に、妊婦のマグロ摂取量制限の勧告を行っている(6オンス=約170g/週)。 日本でも厚生労働省(旧厚生省)による見解が2003年と2005年に示されており、2003年の発表において海外の調査報告が行われ、2005年の発表では妊婦の摂取に関して言及している。そこでは便宜的に有機水銀を単に水銀と表記している。(注記あり)
厚生労働省の公開文書:2003年6月、2005年6月
[編集] ダイオキシン類問題
地中海産のマグロはダイオキシン類濃度が20pg-TEQ/g含まれていると農林水産省は発表している。日本における人のダイオキシン類の許容摂取量は4pg-TEQ/g/体重kg/日なので体重60kgの人の許容摂取量は240pg-TEQ/g/人・日となる。即ち、12gの地中海産のマグロを食べると許容摂取量を超過してしまうことになる。今後も農林水産省から「農畜水産物に係るダイオキシン類の実態調査」が発表されるので注意しなければならない。
[編集] マグロの主な種類
マグロ属には下記の種が含まれる。
- クロマグロ
- 学名 Thunnus thynnus または Thunnus orientalis、英名 bluefin tuna
- 別名 ホンマグロ。マグロとしてはもっとも大型の種類で、最大で 3 m を超える。最も美味い、最上等種とされる。日本近海をはじめ世界各地に分布。太平洋に分布するクロマグロと大西洋に分布するクロマグロを別種とする考え方があり、この場合、日本を含む太平洋に分布するクロマグロはThunnus orientalisと呼ばれる。絶滅危惧種に指定されている。幼魚をヨコワ、若魚をヨコ、メジと呼ぶ。地方によっては成魚をシビ、クロシビと呼ぶ。「黒いダイヤ」とも呼ばれる。
- ミナミマグロ
- 学名 Thunnus maccoyii、英名 Southern bluefin tuna
- 別名 インドマグロ。2~3 m になる。南半球の低温海域に生息する。身の脂が豊富で、寿司ねたに好んで用いられる。
- メバチマグロ
- 学名 Thunnus obesus、英名 Bigeye tuna
- 2 m 程になる中型種。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。マグロの中でもっとも漁獲量の多い種類。他のマグロより深海に生息するため、大きな目を持つ。和名の「メバチ」や英名は、その大きな目玉から。
- キハダマグロ
- 学名 Thunnus albacares、英名 Yellowfin tuna
- 別名 キワダ。1~1.5 m の小型種で、マグロの中でも特に細い体型を持つ。「キハダ」の称は表皮が黄色みを帯びることから。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。トロに当たる部分がない。
- ビンナガマグロ
- 学名 Thunnus alalunga、英名 Albacore tuna
- 別名 ビンチョウ。漢字では鬢長~。体長 1 m 程で、マグロ属の中では小型。「ビンナガ」の称は胸ビレが極端に大きく長いことから。これをトンボの翅に見立て、「とんぼ」とも俗称される。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。身が淡赤色のため、缶詰などの加工食品にされることが多い。近年では生食の需要も高まっている。
- コシナガ
- 学名 Thunnus tonggol、英名 Longtail tuna
- 体長は数十 cm で、主に加工して用いられる。太平洋、インド洋など。
- 近年、日本近海での回遊が増加しており、夏季に捕獲される。外観のよく似たヨコワ(クロマグロの幼魚)と混同されるが、ヨコワの漁期は春・秋であり、また、胸鰭の形状により区別できる。
- 食味はヨコワより劣り、市場では「ヨコワもどき」「にせヨコワ」と呼称されることがある。
- タイセイヨウマグロ
- 学名 Thunnus atlanticus、英名 Blackfin tuna
- 主に大西洋西岸に分布する。体長 1 m 未満程度。
[編集] Tuna
日本語の「マグロ」と、英語の「Tuna」は、呼ぶ種類の範囲が異なることがあり注意が必要である。日本語のマグロが、マグロ属の上記の各種類を指すのに対し、英語の tuna は、マグロ属以外の魚も指す場合がある。具体的には、マグロ属を含む、大きな分類群であるサバ科のマグロ族 (Thunnini) をみな「~ tuna」と呼ぶ。マグロ族には、マグロ属のほか、カツオ属(カツオ)、ソウダガツオ属(マルソウダ、ヒラソウダ)、スマ属(スマ)なども含まれる。なお、魚屋等で言われるカジキマグロはカジキの俗称であり、完全な別物である。
[編集] 主な陸揚げ港(上位5港)
[編集] その他
- カジキマグロはカジキの俗称でありマグロとは別種の魚である。
- 魚市場で競りにかけられるマグロの姿の連想から、何らかの事情で横たわったままで動かない人間を、比喩的に「マグロ」と呼ぶ隠語が存在する。
- 上記に由来し、性交時に性的反応を示さない人間を「マグロ男(女)」と呼ぶ事もある。詳しくはマグロ (アダルト)で。
- 鉄道事故の被害者の遺体に対する業界用語→マグロ (鉄道事故)
- 海上自衛隊おやしお型潜水艦のニックネーム。
- MS-DOS時代、日本のパソコン通信で普及していた画像フォーマットMAGの通称は「マグロ」。
- テレビ朝日・石原プロモーション共同制作のドラマ→マグロ (テレビドラマ)