ゼルダの伝説
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ゼルダの伝説 The Legend of Zelda |
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ジャンル | アクションアドベンチャーゲーム |
対応機種 | ディスクシステム |
開発元 | 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1人 |
メディア | ディスクカード |
発売日 | 1986年2月21日(日本) 1987年8月22日(北米) 1987年11月27日(欧州) |
価格 | FDS:2400円 FC:4900円 GBA:2000円 |
対象年齢 | CERO:全年齢対象 ESRB:Everyone (2004年ファミコンミニ版) |
売上本数 | 約651万本(世界累計) 約169万(日本) |
『ゼルダの伝説』(ぜるだのでんせつ、The Legend of Zelda)は、任天堂から発売されたゲームソフトである。ただし表記はパッケージやタイトル画面では『THE HYRULE FANTASY ゼルダの伝説』となっている。日本では1986年2月21日にディスクシステム用として、ディスクシステムが発売されなかった日本国外ではROMカセットとして発売された。
目次 |
[編集] 概要
任天堂のディスクシステムの第一弾ソフトとして発売された。それまで任天堂のソフトには純粋なアクション作品ばかりであったが、本作にはアクション要素だけでなく、謎解き要素も含まれており、今までの任天堂ファンからは異色の存在として受け取られたようである。しかしながら『ゼルダの伝説』は大きな人気を博し、その後もシリーズ作品は継続して作られ続けている。
[編集] ストーリー
ハイラル地方にある小王国で、旅を続けていた少年リンクは魔物に襲われていた老婆を助け出した。老婆の正体はこの小王国の姫の乳母、インパであった。彼女の話によると、大魔王ガノンの軍勢がこの小王国に攻め込み、力のトライフォースを奪い取った。これに対し小王国の姫であるゼルダは、捕まる直前に知恵のトライフォースを8つに分け、各地に隠したという。それを聞いたリンクは大魔王ガノンの打倒と姫の救出を決意する。
[編集] ゲームシステム
8つのカケラになってしまった知恵のトライフォースを完成させなければ、力のトライフォースを持ったガノンには太刀打ちできない。リンクは8つの迷宮に隠されたトライフォースのカケラを集め、最後にはボスの待つ迷宮に闘いを挑む。
尚、ゲームを1回クリアするか、主人公の名前を決められた名前にしてゲームを始めることにより、通称「裏ゼルダ」と呼ばれる高難易度モードが始まる。表ゼルダと裏ゼルダの相違点は、アイテム、マップ、迷宮の位置の変更、敵キャラの強化等。
[編集] メッセージの表示形式
本作と『リンクの冒険』ではゲーム中の文章は「ヒトリデハキケンジャ コレヲ サズケヨウ」といった具合に、片仮名で表記が行われている。当時のアクションゲームにおいて、メッセージが全て平仮名または片仮名というのは珍しくは無いが、当初はカセットを越える大容量の記憶容量を持つメディアとして登場したディスクカードが、本作の時点で既に容量が足りなくなってきている事を物語っている。尚、ディスクシステム末期に発売された、タイムツイスト 歴史のかたすみで…では逆に、現代日本及び欧米が舞台のアドベンチャーゲームにも係らず、全て平仮名による表記になっている。
[編集] 登場人物
[編集] 味方キャラクター
- リンク(Link)
- 本作の主人公。まだ左利きという設定が固まっていなかったらしく、説明書内には右手に剣を持ったイラストも多く見受けられる。本作の説明書には、ガノンを倒し姫を助けた後、再び旅の途につくとあるが、続編の『リンクの冒険』ではこの小王国に残ったことになっている。
- ゼルダ(Zelda)
- ハイラル地方にある小王国の姫。この時代のハイラルは、一つの大きな国ではなく幾つもの小さな国に分かれているらしい。
- インパ(Impa)
- ゼルダの乳母。ゼルダの命を受けガノンを倒してくれる勇者を探していた。
- ガノン(Ganon)
- LEVEL9のボス。ゼルダをさらった悪の根源。豚の化け物。剣とともに特殊なアイテム(銀の矢)が無いと倒すことが出来ない。
[編集] 敵キャラクター
本作では地上の敵と地下(ダンジョン)の敵に分かれており、地上の敵がダンジョンに登場したり、ダンジョンの敵が地上に登場することはない。また、敵によっては赤と青の2種類が存在し、総じて青の方が攻撃力・耐久力が高い。
[編集] 地上の敵
- オクタロック(赤・青)
- タコ。口から岩を吐き遠距離攻撃。青は赤より耐久力が少し高い。
- モリブリン(赤・青)
- ブルドッグのような小鬼。槍を投げて遠距離攻撃。説明書には槍とあるが、グラフィックでは矢に見える。青はよく爆弾を持っていることがある。戦いを嫌って隠れている臆病なものもいる。
- テクタイト(赤・青)
- クモのような姿で飛び回っている。青は5ルピーをよく落とす。赤は飛び跳ねることが多い。
- ピーハット
- 花のモンスター。普段は空を飛んでおり、止まっているときにしか倒せない。
- ゾーラ
- 水辺に住む半魚人。時折顔を出してビームを放つ。ビームはリンクが最初から所持している小さな盾では防げない。マジカルクロック(後述)を取ると水から出てこなくなる。
- リーバー(赤・青)
- 地中からいきなり現れる。赤はリンクの立つ位置の上下左右から一方向しか動かないが、青は出現したりもぐったりを繰り返す。
- アモス
- 石像兵士。リンクが触れることによって動き始める。移動速度は遅いものと速いものがいる。アモスが移動した場所に何かが隠れていることがある。真正面から触れるとダメージを受ける。
- ライネル(赤・青)
- ケンタウロスのような敵。剣でビームを放ってくる。ザコ的の中では非常に強力な部類。
- ギーニ
- オバケ。墓石に触れると出てくるものもいる。触れて出てきたものは攻撃を受け付けないが、最初から出ているものを倒すと消滅する(アイテムは出る)。アモスと同様、真正面から墓石に触れるとダメージを受ける。
[編集] ダンジョンの敵
- ゾル
- ゼリー状のモンスター。ソード(ウッドソード)やロウソクで倒すと2匹のゲルに分裂する。5ルピーを持っていることが多い。
- ゲル
- ゾルの分裂した姿。動きはゾルよりも早い。ブーメランで倒せる。
- ロープ
- 毒ヘビ。リンクと縦軸または横軸が合うと突進してくる。裏ゼルダでは点滅していて、耐久力が上がっている。5ルピーを持っていることが多い。
- ゴーリア(赤・青)
- ブーメランによる遠距離攻撃を行ってくる。赤は爆弾を持っていることが多い。リンクのブーメランがパワーアップすると、ゴーリアのブーメランもパワーアップする。
- キース
- こうもり。壁を突きぬけ攻撃してくる。ブーメランで倒せる。
- バイア
- キースたちを統率する悪魔。ピョンピョン跳ねながら移動する。マジカルソードやバクダンでないと一撃では倒せず、2匹のキースに分裂してしまう。キースに分裂させずに倒した場合、爆弾を持っていることが多い。
- スタルフォス
- ガイコツの剣士。通常は上下左右に移動するだけで攻撃してこないが、裏ゼルダではライネルのような剣ビームで攻撃してくる。
- ウォールマスター
- 手首だけの魔物。捕まるとスタート地点に戻される。
- ギブド
- ミイラ男。シリーズの以降の作品とは異なり、リンクの動きをとめる能力はない。攻撃力、耐久力とも高い。爆弾を持っていることが多い。
- ポルスボイス
- 巨大な耳を持つ魔物。剣などの攻撃も効くが、IIコントローラーのマイクに向かって叫ぶと簡単に倒すことが出来る。ただし、Nintendo Entertainment Systemや、AV仕様ファミリーコンピュータにはマイク機能は無いので、この方法では倒せない。ファミコンミニはマイク機能をサポートしている。説明書に「ポルスボイスは大きな音に弱い」と書いてあるため、笛(後述)を吹けば倒せると勘違いしたプレイヤーもいる。
- モルドアーム
- 円形ミミズ。攻撃を受けるたび短くなっていく。
- ラネモーラ(赤・青)
- 直線ムカデ。モルドアームよりすばやい。
- ウィズロープ(赤・青)
- 魔法を放つ。雑魚敵の中では最強の部類に属する。赤はランダムに出現して魔法を放った後に消え、また別の場所に出現することの繰り返しだが、青は絶えず動き続け、ブロック、水路もすり抜け、リンクの正面にいる時には連続で魔法を放ってくる。マジカルシールドで魔法を防ぐことができるが、ウィズロープの部屋ではライクライクとバブルも一緒に出現することが多い。
- ライクライク
- 捕まるとマジカルシールドを食べられてしまう。後の作品と違い、捕まると一定時間内に倒さない限り、盾を取り戻すことは出来ない。ちなみに命名はことわざの「たで食う虫も好き好き」→「たて食う虫も好き好き」→「盾食う虫も好き好き」より「好き好き」→「好き=like(ライク)」→「好き好き=ライクライク」である。
- タートナック(赤・青)
- 鎧をまとった騎士。前方からの攻撃は全てシールドで防がれてしまう。
- パタラ
- LEVEL9の中ボス。集団で攻撃してくる。子パタラを一定時間放つタイプと斜め回転の2タイプの攻撃を仕掛けてくる。子パタラを全滅しないと親パタラを倒せないが、親パタラは単体では何もしない。
- バブル
- 触れると、しばらくの間剣が抜けなくなる。倒せない。裏ゼルダでは、赤と青のものがいて赤いものに触れると時間が経っても絶対に剣が抜けなくなる。青いバブルに触れる、もしくは命の水を使う、地上にある泉に住む妖精に回復してもらう、トライフォースのかけらを入手するなどで回復ができる。
- トラップ
- とげが生えており、リンクが近づくとはさんでくる。破壊不可能。
- 石像
- ビームを放つ。リンクが近づくと放ってこなくなる。破壊不可能。
- アクオメンタス
- LEVEL1および7のボス。一角ドラゴン。3方向にビームを放ってくる。ボスモンスターの中では比較的弱い部類。
- ドドンゴ
- LEVEL2のボス。サイ。表皮に対する攻撃は一切通じない。爆弾を2個飲ませるか、爆風により動きが止まったところを剣で倒すの2パターンのみ。
- テスチタート
- LEVEL3のボス。4方向に大きなハサミを持つ植物。手が1本なくなるごとに動きが速くなる。放つビームはマジカルシールドでも防げない。剣や矢でも倒せるが爆弾ならうまくいけば一回で倒すことも可能。
- グリオーク
- LEVEL4および8のボス。2~4つの首を持つドラゴン。マジカルシールドでも防げないビームを放ち、また一定のダメージを与えると首が外れ、首単体も攻撃してくる。剣とマジカルロッド本体以外の攻撃は一切通用しない。
- デグドガ
- LEVEL5のボス。ウニ。普段は攻撃を一切受け付けないが、ある衝撃波を受けるとしぼむ。中には3体に分裂するものもいる。
- ゴーマー(赤・青)
- LEVEL6のボス。カニ。硬い甲羅は攻撃を弾き、マジカルシールドでも防げないビームを放ってくる。ある特定の武器を弱点に当てないと倒せない。
[編集] アイテム
名称は2つあるものは、左が説明書、右がゲーム中での名称
- ソード
- スタート地点近辺で入手できる、最初の武器。
- ホワイトソード
- ソードの2倍の攻撃力を持つ。ハートの数が5以上でないと持てない。
- マジカルソード
- ホワイトソードの2倍の攻撃力を持つ。ハートの数が12以上でないと持てない。
- シールド
- 最初から持っている盾。
- マジカルシールド
- 魔法攻撃も防ぐことができる盾。店のみ(90ルピー~160ルピー)。
- ブーメラン
- 遠距離攻撃ができる。
- マジカルブーメラン
- ブーメランより早く遠くまで飛ぶ。
- 弓
- 矢を撃てるようになる。
- 矢
- 本作では矢の本数を消費するのではなく、矢1本=ルピー1ルピーで換算され、消費される。店で80ルピーで購入できるが弓がなければ使えない。
- 銀の矢
- ガノンを倒すために必要。
- イカダ
- 川を渡れるようになる。
- ハシゴ
- 1マス分の穴を渡れる。
- 笛
- 迷宮の入り口に移動できる。一度クリアした迷宮のどこかへ飛んで行く。笛を吹いた際に右向きであれば迷宮のレベル数のプラス方向に、左向きであればマイナス方向に移動できる。又、隠し階段を出現させることもある(竜巻が出なかった時)。ダンジョン内ではあるボスを倒すために必要なアイテムでもある。
- ロウソク(青・赤)
- 炎を放ち暗い部屋を明るくできる。フィールド上では特定の木に使うと隠し階段が現れる。青は1回(店で60ルピー)。赤は何回でも。
- マジカルロッド
- ウィズローブと同様の魔法攻撃を行える。
- バイブル
- 魔法で炎を出せるようになる。
- キー
- 迷宮内の鍵の掛かった扉を開けることが出来る。店でも購入できる(60ルピー~120ルピー)。
- マジカルキー
- 何回でも使えるキー。カギの個数部分にはA(オールマイティの意味)と表示される。
- ブルーリングとレッドリング/指輪
- 被ダメージを青は2分の1(店で250ルピー)、赤は4分の1に軽減する指輪。
- パワーブレスレット
- 岩を動かせるようになる。
- バクダン
- 壁に穴を開けることが出来る。隠し部屋を発見し、ルピーや貴重なアイテムを入手できることもあるが、壁の修理代を取られる場合もある。
- ハート
- ハートを一つ回復する。
- ハートの水筒/命の器
- ハートの最大値を一つ増やす。
- 妖精
- ハートを三つ回復する。
- ルピー(黄・青)
- この小王国の通貨。黄色は1ルピー。青は5ルピー。
- マジカルクロック/時計
- モンスターの動きを止める。リンクは無敵になり、アモスに真正面からぶつかるなどしない限りはダメージを受けない
- 敵のエサ/エサ
- 使うとエサの所に敵が集まる。使ってもなくならない。ダンジョンで必要になることもあり、その際はなくなってしまう。
- おばあさんへの手紙/手紙
- 身分を証明する手紙で、特定の場所にいるおばあさんに渡すと命の水を売ってくれるようになる。
- 命の水(青・赤)
- 体力を全回復。青は1回、赤は2回。青は42ルピー、赤は68ルピー。青を持っている状態で青を買うと赤になる。尚、赤はフィールド上の隠し階段等でハートの水筒と好きな方を選べるイベントで命の水の方を選択するとタダでもらえる。
- マップ/地図
- 迷宮の形が分かる。
- コンパス
- 迷宮におけるトライフォースの位置、LEVEL9ではゼルダ姫の位置が分かる。
- トライフォースのカケラ/隠された知恵のトライフォース
- 8つ集めるとLEVEL9の迷宮の深部へ行けるようになる。
[編集] 移植作品など
- 『ゼルダの伝説1』 (FC・1994年2月19日発売)
- 本作をROMカセットに移植したもの。ごく一部のみデータを変えられている。また、ディスクシステムに内蔵されていたPWM音源が使えないため、OPで印象的な笛の音などに違いがある。前述の通り、日本国外では当初からROMカセットとして販売された。
- 『BSゼルダの伝説』 (サテラビュー・1995年8月放送)
- 移植やリメイク作品ではないが、本作のシステムに独自のイベントやナレーションを追加して製作された。
- 『ファミコンミニ05 ゼルダの伝説1』 (GBA・2004年2月14日発売)
- ファミコンミニシリーズの内の1作、同タイトル(ROMカセット版)を移植したもの。ドット比の特性が違うため、若干画面の印象が異なる。
- 『ゼルダコレクション』 (GC・2004年3月18日交換開始)
[編集] 漫画
- 『ゼルダの伝説』(乱丸、徳間書店、1986年)
- 『ゼルダの伝説』(未将崎雄、JICC出版局、1989年)
- リンクが旅人ではなく城に住み込みの庭師見習いになっており、耳が尖っているのは彼がハーフエルフであるから(『リンクの冒険』の説明書のイラストでは、インパ達の耳も尖っている)、インパが大幅に若くなっている(ゼルダ姫をリンクと同年代に明言した為だと思われる)など、ゲーム本編と大幅に設定が異なる。
[編集] 関連項目
- テトリスDS(一部に本ゲーム画面、音楽が使われている)