シューティングゲーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シューティングゲームは主に弾丸やレーザーなどの飛び道具を用いて敵機を撃ち落とすコンピュータゲーム。 STGやSHTと略記される場合もある。外国ではshooterという表記が一般的。
目次 |
[編集] 概要
シューティングゲームの分類は、視点、スクロール方向、攻撃手段によって分類されることが多い。 大別すると2Dシューティングと3Dシューティング、ガンシューティングゲームに分類される。
そのほとんどがアクションゲームとは区別されるが、中にはアクション要素のあるシューティングや、シューティング要素のあるアクション、また完全に中間に位置するゲーム等があり、両者の判別を困難にしている。シューティングはアクションの一ジャンルであるといった考え方もある。
[編集] 世代、国境ごとの用語や定義の違い
アメリカではシューティングゲームといえばファーストパーソン・シューティングゲームをさす。 アメリカでの2Dシューティングゲーム(以下2DSTG)はshmups(shoot'em up)で、画面のスクロールを伴う2DSTGはscrool shooterである。
一方日本では、古い世代においてシューティングゲームといえば暗黙に2DSTGをさす層が存在する。これは日本で一時期2DSTGがシューティングの大部分を占めていたことによる。 現代の世代ではシューティングといえばファーストパーソン・シューティングゲームやガンシューティングをさす層のほうが多い。
また、日本では2DSTG全盛期に、2DSTGを好むゲーマーを「シューター」と呼ぶことがあった。これは現在でも一部のゲーマーに使われている。
以下、シューティングゲームの種類を記す。
[編集] 2Dシューティングゲーム
コンピュータゲームでも極めて早期に登場したゲームジャンルで、1962年の『スペースウォー!』が初出とされる。2Dとは「二次元的視点」の意味で、オブジェクトの拡大縮小でパースを付けたり3Dポリゴン処理などをしていても2D視点のゲームはこちらに含まれる。
[編集] 固定画面シューティング
- 画面がスクロールしないシューティングゲーム。世界初のシューティングゲームとされる『スペースウォー!』はこの形式。その他の代表的なタイトルは『スペースインベーダー』、『アステロイド』、『ロボトロン2084』、『グロブダー』など。
- 敵を全て破壊すると面クリアとなり、次の面に進むものが多い。
[編集] 縦スクロールシューティング
- 画面が主に上から下へ縦方向にスクロールするトップビューの画面構成を持つシューティングゲーム。通称「縦シュー」。『ゼビウス』、『究極タイガー』、『怒首領蜂』など。
- 『シルフィード』、『レイストーム』の様に3D処理をして手前を大きく、奥を小さく表示する(パース処理)ようにしたハーフトップビューの縦シューティングもある。
- 1990年代後半からは障害物の類はあまり出現しない代わりに「敵弾を避ける(避け)を主体とする」というものが多く、大量の弾幕を小さな当たり判定を持つ自機で潜り抜ける弾幕系シューティングというムーブメントが発生した。(詳細は、弾幕系シューティングの項を参照)
- 縦スクロールシューティングはモニターを縦置きにして使用するものがほとんどであり、家庭用移植の際に弊害が出る場合がある。
- 『ソニックウィングス2』、『レイストーム』、『レイディアントシルバーガン』、『ギガウイング』などはモニターを横置きにして使用する縦スクロールシューティングとして存在するが、タイトル数は極めて少ない。
[編集] 横スクロールシューティング
- 画面構成がサイドビューになる事により、必然的に上下と地形の概念が発生する。
- そのため爽快感を追求する方向性に行きやすい縦スクロールシューティングとは対照的に、戦略性を追求するタイトルが多く、ごくまれに『プロギアの嵐』のように、地形(自機が衝突する意味においての)が無いゲームも存在する。
- 横スクロールシューティングはモニターを横置きにして使用するものがほとんど。例外的に『バスター』、『フォーメーションZ』などがモニター縦置きの横スクロールシューティングとして存在する。
- スカイキッドは常に右から左へスクロールする。『ディフェンダー』、『チョップリフター』は任意で左右方向にスクロール可能。
ごく少数の例外として、『沙羅曼蛇』、『アクスレイ』、『フィロソマ』のように、横スクロールシューティングと縦スクロールシューティングが交互に行われる構成のゲームも存在する。
[編集] クォータービューシューティング
- 画面が主に斜め方向にスクロールするシューティングゲーム。背景が3D的になっている。『ザクソン』、『ブレイザー』、『メルヘンメイズ』、『ビューポイント』など極めて少数。
[編集] 多方向スクロールシューティング
- 画面がプレイヤーの任意の方向にスクロールし任意の方向への攻撃を行なうシューティング。『ボスコニアン』、『タイムパイロット』、『バンゲリングベイ』、初期の『サンダーフォース』、『グラナダ』、『ガーディアンフォース』、『ずんずん教の野望』など極めて少数。
[編集] 3Dシューティングゲーム
二次元的視点でなく、3Dポリゴン技術や、擬似3D処理としてスプライト・一枚絵の拡大縮小を使っているシューティングゲーム。 「二次元的視点 (斜め見下ろし視点のものを含む) で、ポリゴンを使用して3D処理している」ゲーム(『レイストーム』、『斑鳩』、『グラディウスV』など)は3Dシューティングとは呼ばれない。
アーケードゲームではいわゆる「大型筐体」を採用し、プレイヤーが操作と連動して揺らされる「体感ゲーム」が多い。
同じシューティングゲームではあっても、強制スクロール型の2Dシューティングとはゲーム性が大きく異なる。
[編集] ファーストパーソン・シューティング (FPS)/サードパーソン・シューティング (TPS)
- 兵士やロボット等を操り、3Dマップを自由に移動して戦うシューティングゲーム。一人称視点のものはファーストパーソン・シューティング (FPS)、三人称視点のものはサードパーソン・シューティング (TPS)と呼ばれる。代表的なものは、『HALO』シリーズ、『DOOM』シリーズなど。日本ではあまり馴染みが無いが、海外ではたいへん人気のあるジャンルである。主人公に扮した1人のプレイヤーがステージをクリアしていく単独プレイのほかに、プレイヤー同士がLANやインターネットを通じて対戦・協力プレイもできるようデザインされたゲームも多い。ファーストパーソン・シューティングゲームも参照のこと。
[編集] フライトシューティング
- 戦闘機等を駆って自由な空間移動が可能なシューティングゲーム。フライトシミュレーションにシューティングゲームの要素を混ぜたもののうち、特にシューティングゲームとしての要素を重視しているもの。代表的な作品は3Dポリゴンを用いた『ACE COMBAT』『スカイガンナー』など。
[編集] スペースコンバットシューティング/スペースコンバットシミュレーション
- 宇宙船を操って宇宙空間を舞台に自由な空間移動が可能なシューティングゲーム。宇宙空間を舞台としたフライトシューティングとも言える。『スターラスター』『PROJECT SYLPHEED』『FreeSpace』等はここに分類される。このうち、シューティングゲームとしての爽快感を重視したものはスペースコンバットシューティング、高い戦術性や複雑な機体操作など、シミュレーションゲームとしての要素が強いものはスペースコンバットシミュレーションと呼ばれるが、明確な区分があるわけではない。
[編集] 奥スクロール・シューティング
- 奥から手前にスクロールする強制スクロール型の3Dシューティングゲーム。3Dポリゴンによる本格的な3D処理が可能になる以前から、擬似3D処理としてスプライト・一枚絵の拡大縮小を用いてこの種のタイトルが作られてきた。代表的なタイトルは『スペースハリアー』、『アフターバーナーII』、『ギャラクシーフォース』、『スターフォックス』シリーズなど。
[編集] ガンシューティングゲーム
「光線銃」などを用いるもの。3Dシューティングゲームよりも発祥は古い。(詳細はガンシューティングゲームの項目を参照)。
- 強制スクロールするもの
- 『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』、『デスクリムゾン』など。
[編集] シューティングゲームの関連事項
[編集] 連射と2Dシューティング
1980年代末期まではボタンの高速連打(連射)による攻撃力の増強を主眼とした頼るものが多かったが、ボタンの連打には体力が要求されることやボタンそのものの破損を理由に衰退した。折りしも流行したハイスコア競争においてはゲーム機器外部に取り付ける自動連射装置の普及で手動の連射の場合と点数差が開くというチート問題があり、初めからプログラム上で理想的な自動連射が組み込まれているものもある。(参考→高橋名人)
[編集] ゲーム音楽
シューティングゲームのゲーム音楽はクオリティが高いといわれている。1980年代後半から1990年代のゲーム音楽の中心の一つが当時のアーケードのシューティングゲームであり、タイトーのZUNTATA、コナミの矩形波倶楽部などゲームミュージックのチーム・ブランドが生まれるきっかけの一つとなった(現実、当時アーケードのシューティングゲームのサウンドトラックやアレンジ版が多数発売されている)。
当時のシューティングゲームのサウンドトラックにはテレビのニュース番組やバラエティ番組などのBGMや効果音としていまだに使われているものもある。
[編集] シューティングゲームの歴史
シューティングゲーム、ゲーム業界に影響を与えたものを記す。
- 2Dシューティングゲーム
- 1978年 - スペースインベーダー。模倣作品と違法コピーが出回る。
- 1979年 - ギャラクシアンがポストインベーダーゲームとなり、後の縦スクロールSTGの素地となる。
- 1980年 - ムーンクレスタ。合体や着陸をゲーム化。
- 1981年 - スクランブル。撃ち分けSTGの始祖。
- 1981年 - ギャラガ。ギャラクシアンの続編。1985年までロングヒット。
- 1983年 - ゼビウス。奥深い世界観、地上と空中を撃ち分けるSTGを確立(初めてではない)。違法コピー作品が多く出回る。
- 1984年 - スターフォース。撃ち分け無し縦STGの始祖の一つ。
- 1985年 - ツインビー。ポップ路線がヒット。
- 1985年 - グラディウス。ギミックの多彩な横スクロールSTGの始祖の一つ。
- 1985年 - ファミコンブームに乗り、家庭用STGも数十万本という単位で売れる。
- 1986年 - スターソルジャー。ファミコンオリジナルのSTG。高橋名人が16連射を必殺技とし日本全国を巻き込む一大超連射STGブームを巻き起こす。
- 1986年 - ザナック。サブウェポンの選択、自動難易度調整機能といった斬新なシステムを導入したSTG。また、ディスク片面、高速スクロールなど高い技術力も誇っていた。コンパイルSTGは一時代を築く。
- 1986年 - ファンタジーゾーン。
- 1986年 - ダライアス。3画面を並べた筐体と併せて演出の重要性を説いたSTGの始祖の一つ。
- 1987年 - R-TYPE。H・R・ギーガーの美術要素をゲームに持ち込んだ。グラディウスとは別路線のギミック(フォース)を発明し後のSTGに大きな影響を与える。敵の攻撃の多彩さも相俟って戦略STGを確立することになる。
- 1987年 - 究極タイガー。縦スクロールボンバーSTGを確立。
- 1988年 - グラディウスII。自機選択とパワーアップ種類の増加を主軸にグラディウスを正常進化させ極めて高い完成度を持ち、高評価を得る。
- 1988年 - 達人。パターン学習を重視したSTGを提唱。
- 1988年 - イメージファイト。R-TYPEの続編的なカラーを持ち、自機と敵にはさらに多彩なギミックが詰め込まれた。2周目の超高難度が話題になる。
- 1989年 - グラディウスIII。高評価だったグラディウスIIの続編として期待されたが、序盤面からの超高難度やバグによりプレイヤーを失望させた。STG冬の時代のきっかけの一つ。
- 1990年 - 雷電。分かりやすさで幅広い客層にヒット。驚異的なロングランを誇り、多くのコンシューマにも移植される。
- 1991年 - メタルブラック。STGとしての評価は低かったが、過剰なまでの演出が後の多くのSTGに影響を及ぼした。
- 1991年 - ストリートファイターIIの大ヒットで対戦格闘ゲームブームとなり、商業的な不利さからSTGの市場は縮小する。
- 1992年 - ソニックウイングス。自機選択、簡略化されたパワーアップ方式を提示。以後このスタイルが縦STGの主流となる。
- 1993年 - バツグン。比較的低難度でヒットするも
- 1994年 - 多くの優良STGを出産した東亜プランが倒産。
- 1994年 - ダライアス外伝。シールドとボムにより難易度を軽減。音楽や演出がファンを生む。
- 1994年 - レイフォース。雄弁な演出とゼビウスを踏襲した隙の無いゲーム性で傑作と呼ばれる。
- 1994年 - 雷電DX。雷電の正常進化。分かりやすい内容。低難度を用意し新規STGプレイヤーの受け入れ姿勢を示した。
- 1995年 - SS、PSが発売され、家庭用ゲーム機でもアーケードゲームが原作に近い品質での移植が可能になる。
- 1996年 - バトルガレッガ。STGは「撃つゲーム」から弾幕を「避けるゲーム=弾幕系シューティングに変遷していくきっかけとなった。
- 1996年 - レイストーム。全編ポリゴンによる派手な映像と音楽が話題になる。
- 1996年 - ティンクルスタースプライツ。対戦型シューティングの先駆けとなるかと思われたが、後が続かず。
- 1997年 - 怒首領蜂(どどんぱち) 。弾幕系シューティングの金字塔。その後もロングラン。
- 1997年 - ストライカーズ1945II 。怒首領蜂と対照的な仕立てでロングラン。
- 1998年 - レイディアントシルバーガン。豊富なギミックと狙い撃ち重視など温故知新を意識。
- 1999年 - ギガウィング。弾幕と目新しさを感じさせる敵弾処理システム。この頃から「敵弾=避けるだけの物」というシューティングの基本構造に変化が現れ始める。
- 2000年 - サイヴァリア。極めて美しい弾幕群。過激な敵弾対処システム。
- 2001年 - 斑鳩。シンプルなゲーム内容。斬新な敵弾処理システム。極めて高い完成度と統一感のあるデザインを持つ。
- 2002年 - 怒首領蜂 大往生。
- 2003年 - 式神の城II。ライトノベル的設定とキャラクターによりライトユーザー層にヒット。
- 2004年 - グラディウスV。家庭用(PS2)でのみ発売。5.5万本をセールス。米国でGame of the Yearを受賞。
[編集] 関連項目
- カンスト
- ウソスコア
- Hey (ゲームセンター)
[編集] 外部リンク
- STGWiki
- STGのあるゲームセンター集
- 系譜 - STG系譜
- 弾幕型-Shmups News!-(シューティング関係のニュースサイト)
- Stardog's Nest(スペースコンバット関係のまとめwiki)
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 加筆依頼 | アクションゲーム | シューティングゲーム | コンピュータゲームのジャンル