RPG福袋
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RPG福袋(あーるぴーじーふくぶくろ) とは、ホビージャパンが発売していたテーブルトークRPGのオムニバス作品集。ここではその後継であるエンターブレインの『TRPGスーパーセッション大饗宴』についても併せて解説する。
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[編集] 概要
「ルールがデータが多くて覚えるのが大変」「1回のプレイにかかる時間が長い」「プレイ当日までに事前準備が必要である」など、面倒で敷居が高いという印象があるテーブルトークRPGの市場に風穴を開ける意図で作られた製品。
「手軽に遊べるミニゲーム」を6作品纏めて一冊にした本で、それぞれのゲームは一回のプレイが1~2時間で終えれるものがほとんど。ルールも単純で、シナリオ作成などの事前準備も手間がかからないものも多い。 ルールやデータのほかに遊び方を紹介するリプレイも各ゲームごとに収録されている。
収録されているゲームはアニメや漫画の特定のジャンルを再現した、二次創作的なノリを持つものが中心。これは「ゲームの雰囲気の説明に長い時間をとらなくてすむように」というコンセプトからだと思われる。システムに関しては「バカゲー」のような一発ネタのものが多いが、中にはかなり本格的なものも存在する。
ホビージャパンより『RPG福袋 '93』『RPG福袋 '94』『RPG福袋 '96』の三冊が販売され、後にエンターブレインから『福袋』のコンセプトを強く受け継ぐ製品『TRPGスーパーセッション大饗宴』が発売された。
[編集] RPG福袋 '93
[編集] 書誌情報
- RPG福袋 '93 RPGアンソロジー
- 著者:山北 篤/松本富之/高平鳴海ほか
- 出版:ホビージャパン
- 価格:定価1,800円(本体1,748円)
- 発行年:1993/09/29
- ISBN:4-89425-001-2
- 判形:変形A4書籍(127p)
[編集] 収録ゲーム
[編集] 魔女っ子 ダイスレス ロールプレイング
- 魔法少女ものをテーマにしたTRPG。作者は山北篤。
- タイトルの通りダイスは使わずに、GMを「いかに言いくるめられるか」で行為の成否が決定される。多岐に渡る項目をもつ魔法少女ヒロイン決定チャートが圧巻で、かなり変なヒロインができあがりやすいのが特徴。正統派魔法少女ものというよりも、ノリと勢いで暴走する電波系魔法少女ものになりやすい。
- タイトルは『アンバー・ダイスレス・ロールプレイング』(ロジャー・ゼラズニイの「真世界アンバー」シリーズをテーマにした米国のRPG)のパロディ。
[編集] -聖戦士RPG-プラネットナイツ
- 『聖闘士星矢』のようないわゆる「ヨロイもの」のアニメを再現するゲーム。作者は原田有里子。
- 戦闘におけるヴィジュアル的な要素が重視されており、プレイヤーキャラクターが傷つくさまや必殺技を打ったときの見た目などがシステムに組み込まれている。
[編集] -ホラームービーRPG-死霊のお中元
- 海外製のB級ホラー映画を再現するTRPG。作者は原田有里子。
- 「犠牲者がいかに間抜けな行動をとるか」がシステムに組み込まれており、”人死にが出ている中でのんきにシャーワを浴びる”、”仲間を疑って「こんな奴らと一緒に寝られるか!」と一人で部屋に篭る”などといった誘い受けを行う事を楽しむゲームでもある。
[編集] -特撮戦隊RPG-英雄戦隊セイギマン
- 戦隊ヒーローものを再現するTRPG。作者は山北篤。
- 必殺技を使う場合は全員で技の名前を同時に叫ばなければならない」などといった、ヒーローもののお約束をルール化している。
[編集] U.F.S.ウルトラファイター物語
- 怪獣と戦う巨大変身ヒーローを再現するTRPG。作者は松本富之。
[編集] 超☆少年時代
- いわゆる「すこし・ふしぎ」系の日常ファンタジーを再現するTRPG。作者は藤浪智之、吉森真吾。
- コンセプトとしては藤子不二雄作品とその傍系の雰囲気を再現するTRPGということなのだが、作者の趣味により実際にはエブリデイ・マジック全般を扱うゲームになっている、
[編集] RPG福袋 '94
[編集] 書誌情報
- RPG福袋 '94 RPGアンソロジー
- 著者:山北 篤ほか
- 出版:ホビージャパン
- 価格:定価1,800円(本体1,748円)
- 発行年:1994/09/29
- ISBN:4-89425-048-2
- 判形:変形A4書籍(136p)
[編集] 収録ゲーム
[編集] バトルエンジェルRPG
- セーラームーンを始めとする『コスプレスーパーヒロインもの』を再現するRPG。作者は設楽英一。
- コスチュームの見た目の恥ずかしさが羞恥心という形で表現され、一定以上羞恥心が高いと変身できなくなるが、同時に羞恥心が高いほど強さにつながるというセクハラめいたルールが売りになっている。
[編集] 太陽の警察
[編集] プアープレイ
- 貧乏生活を楽しむファンタジーTRPG。作者は藤浪智之、吉森真吾。
- 見た目は普通のファンタジーTRPGだが、財力が全てを支配する世界であり、息をするにも金がかかるようなデストピアである。
- プレイヤーキャラクターはそんな中で生き残るために倹約生活を続けながら、冒険で地道に金をためたり借金をかえしたりさらに借金をふやしたりするゲーム。
- タイトルは『パワープレイ』のパロディ。
[編集] もう誰も横浜の果てで涙という名の同窓会だけ見えない
- 1990年代前半に日本で流行し、2000年代には韓流のもとで再びTVを席巻した「ジェットコースタードラマ」のジャンルを再現するためのシステム。作者は松田耕作。
- プレイヤーキャラクターたちがとにかく次々と不幸な出来事に巻き込まれ、また、出生の秘密などが次々と明かされていくという独特の展開を、チャートを振るだけで再現可能にしている。
[編集] '学園薔薇ダイス
- ボーイズラブをストレートにテーマにした耽美系同性愛RPG。作者は細江ひろみ。
- ただし、本気で腐女子向けというわけでなく、基本的にはボーイズラブをギャグとして楽しむゲームである。
- システム的にはプレイヤー間対戦ものであり、愛情や肉欲の行動を他プレイヤーに仕掛け、攻めと受けのせめぎあいを経て、いかに相手を「オトす」かを競うことになる。
- タイトルは『学園ぱらだいす』のパロディ。
- ルールはネット公開されている。
[編集] 悪の秘密結社RPG
- 仮面ヒーローものに出てくるような悪の秘密結社の怪人となるゲーム。作者は松本富之、南郷隆。
- ヒーローにばれないように悪事を行ったり、ヒーローと直接対決を挑んだりする。
[編集] 毒薬と短剣
- ルネサンス期のイタリアを舞台にした、一族の興亡を描くRPG。作者は宮川健、渕上哲也、片柳歩。
- TRPGというよりも一種の国家経営シミュレーションとしての雰囲気がある。
[編集] RPG福袋 '96
[編集] 書誌情報
- RPG福袋 '96 RPGアンソロジー
- 著者:山北 篤ほか
- 出版:ホビージャパン
- 価格:定価1,800円(本体1,748円)
- 発行年:1996/07/01
- ISBN:4-89425-048-2
- 判形:変形A4書籍(127p)
[編集] 収録ゲーム
[編集] 大々ハード
- 『ダイ・ハード』とそれを模倣した無数のハリウッド映画のノリを再現するTRPG。作者はたのあきら。
- 「ビルや船などの閉鎖空間にテロリストが占拠した」というお約束の展開がコンセプトで、舞台となる閉鎖空間から脱出する一種のダンジョン探索ゲームである。
- ゲームプレイの実時間により時間制限が決められていて、一回のプレイに30分とかからない。時間制限がすぎるとゲームオーバーなので映画同様に非常にスリリングな進行になる。
[編集] 魔法使いの弟子たち
- 『赤ずきんチャチャ』や『魔法陣グルグル』のようなアバンギャルド風味なコミカルファンタジーをテーマにしたRPG。作者は設楽英一。
- プレイヤーキャラクターは魔法使いの弟子になり弟子同士でパーティーを組んで冒険を繰り広げるのだが、このゲームの魔法は全て「その場で何かを召喚する魔法」になっている。
- 召喚のルールはかなり特徴的で、特定の一文字がダイスでランダムに決定され、その文字を「頭文字」に持つ名前の"何か"をプレイヤーは任意に召喚することができる。召喚物はプレイヤーキャラクターの召還術の得意分野(建築物や生物など)に属するものでないとならない。つまり、召喚術を使うそのときまで何が召喚されるか全く分からないのである。
[編集] ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ(抄訳版)
- 「日本を舞台にしたRPGをプレイしている欧米人のゲーマーを、日本人がプレイする」という設定のメタフィクションTRPG。
- このゲームのプレイヤーキャラクターは「外国人のゲーマーがプレイしている和風ファンタジーのキャラクター」となる。彼らがプレイしている和風ファンタジー『ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ』はすさまじく勘違いした日本観をもっている。現代の世界にニンジャやサムライが闊歩し、ハラキリが日常的に行われている世界だ。もちろん空手と禅は国民の義務である。
- そんな神秘の国「NIPPON」を表現するためのルールもまた独特で、判定ルールはチンチロリンを基本にしている。役やションベンもルール化されている。
- そしてこのゲームの最大の特徴が、これをプレイしている「外国人のゲーマー」はこの日本の世界観を現実のものと思っているという前提である。プレイヤーは「外国人のゲーマー」を演じている限りはこの奇妙な国の風景に突っ込むことは推奨されないし、むしろこの風景に感動する演技をすることが推奨される。
- なお、作者は「A.Mountnorth」となっているが、これは山北篤のこと。
- ネット公開されている。
[編集] ぴよぷるん物語
- ディスコミュニケーションをテーマにしたTRPG。作者は臼木照晶。
- このゲームでプレイされるキャラクターは人間ではなく、全てスライムのような不定形の下等生物である。しかも固体ごとにまったく違う特性があり言語コミュニケーションが出来ないという設定になっている。
- キャラクターはゲーム中は「ぴよん」や「ぷるん」などの意味をもたない単語(ランダムで決定)しか発することができない。このルールはプレイヤーにも適応され、「キャラクター間の意思疎通」は発音できる単語のイントネーションと身振り手振りだけで行う必要がある。
[編集] 怪盗三世!
- 現代を舞台にした怪盗もののジャンルを再現するTRPG。作者は水木智。
- 怪盗ものらしく、判定にはトランプが使用される。トランプのスートによりそのシーンの雰囲気がギャグ風味になったりシリアス風味になったりするのが特徴。
[編集] 戦え!正義の巨大ロボットRPG
- その名の通り、巨大ロボットものをテーマにしたTRPG。作者は南郷隆。
- 福袋作品には珍しく大量のデータが掲載されており、それを組み合わせロボットを構築していくゲーム。
[編集] 付録
『RPG福袋 '96』には、単独のゲームとは別に、どんなゲームシステムにも組み込める汎用ツールが二つ掲載されている。
- 悪のお代官様と愉快なやつらども!
- プレイヤーキャラクターごとに定められた6つのセリフを“数多く”“ドラマティックに”語り、それによって得られる得点を競うというルールで、他の既存のRPGシステムに実装することで、「悪役のお約束セリフ」をしゃべることにゲーム的な意味をもたせることができる。
- Tony Tani Tune(トニー谷調で)
- キャラクターの名前によりキャラクターの能力に修正をあたえることができるルール。
[編集] TRPGスーパーセッション大饗宴
[編集] 書誌情報
- TRPGスーパーセッション大饗宴
- 著者:山北篤、山本弘、高平鳴海、和栗朗、鈴木銀一郎、設楽英一
- 出版:エンターブレイン
- 価格:定価3,000円(本体2,857円)
- 発行年:2002/05/25
- ISBN:4-7577-0868-8
- 判形:B5判(176p)
[編集] 収録ゲーム
[編集] 英雄戦隊セイギレンジャー
- 戦隊ヒーローのTV番組作成をテーマにしたメタフィクションTRPG。作者は山北篤。
- 『RPG福袋 '93』収録の『英雄戦隊セイギマンRPG』の続編と言うことになっているが、実際はまったくの別ゲームである。
- ゲームの目的は一回のセッションで設定された時間内で、全52話のTVドラマの最終話をプレイすることである。ゲームはすごろくのようなボードを用い、それぞれのマスが1話から52話までをあらわしている。一話分をクリアする(一話分は数十分でクリアできる)ごとに、サイコロを振りマス目をすすめていく。そしてとまった話数のストーリーをプレイすることになる(つまりとまらなかったマスに対応する話はプレイしなくていい)
- 52話分のストーリーはあらかじめ決められていてGMはそれを基本に演出することになる。ただし、展開はそれまでの話により大きく変わることはままある。
- 特徴的なルールに「スポンサー」があり、あらかじめ決定した番組スポンサーに関係する小物をセッション内でさりげなく広告することでプレイヤーキャラクターに有利になるというものになっている。
[編集] 元気全開!~スーパー少年少女RPG~
- プレイヤーキャラクターが全員「小学生」であることにひたすらこだわったTRPG。作者は山本弘。
- 小学生が主人公のアニメのノリの再現をテーマにしており、子供であるがゆえの利益と不利益がシステム化されている。
- 山本弘が「ゲームデザイン」を行った唯一の商業ベースのTRPGである。
[編集] モンスターメーカー戦記~ロード・トゥ・ヴァルハラ~
- モンスターメーカーをテーマにしたシミュレーションRPG。作者は鈴木銀一郎。
- コピーして使用するヘックスマップとカラーコマが付属しており、それを使ってモンスターメーカー世界の戦場を体験する。
- ルールはかなり軽く、ウォー・シミュレーションゲームの入門としての位置もある。
- また、2004年にこのルールのバージョンアップともいえるゲーム『モンスターメーカーレジェンド』が国際通信社より単独で発売されている。
[編集] サバイバー~孤島からの生還~
- 無人島漂流ものをテーマにしたTRPG。作者は高平鳴海。
- TRPGというよりもボードゲームに近く、仲間を協力したり足をひっぱりあいながら、食料や水を集めながら救助まで生き残るゲームである。
[編集] Heroes&Heloines~へろへろファンタジー~
- ファンタジーRPGのハック・アンド・スラッシュな楽しさを手軽に再現することをテーマにしたTRPG。作者は和栗朗。
- 二次創作的なノリもなくイロモノでもないごく真っ当なTRPGであり、『福袋』のゲームの中では『RPG福袋 '94』の『毒薬と短剣』に並んで異彩を放っているゲームである。
- プレイヤーキャラクターやモンスターが全てカード(ルールブックに収録されている)の組み合わせによって表現されていることが特徴で、これにより、トレーディングカードゲームのようなスピーディな戦闘が楽しめる。
[編集] Burnin'X'mas~たたかうサンタさん~
- 『T.P.ぼん』と『頭文字D』を混ぜ合わせてサンタクロース風味にしたイロモノ中のイロモノなTRPG。作者は設楽英一。
- プレイヤーキャラクターたちは、時空を超越して存在する「サンタクロース」もしくは「トナカイ」であり、特定の時代、特定の場所に対して、ターゲットに夢と希望を”強制的に”届けることが目的になる。
- 届ける最中には、ライバルサンタの妨害やら歴史の復元機能やら、様々な障害がたちふさがるため、サンタクロースは殺人鬼一歩手前の強靭な戦闘能力、トナカイはスピード狂としてのソリの操縦能力が必須になる。
- プレゼントを届けるまでの展開は独特のチェイスルールにより表現され、レースものRPGとしての側面も持つ。
- 付属シナリオは「織田信長に桶狭間の戦いでの”勝利”をプレゼントしにいく」というもの。
[編集] 外部リンク
- ゲイシャガール ウイズ カタナ (デザイナーによるルール無料公開)
- 学園薔薇ダイス (デザイナーによるルール無料公開)
カテゴリ: テーブルトークRPG | スタブ